マツダCX-5 XD Lパッケージ(FF/6AT)/CX-5 25S(4WD/6AT)
いぶし銀のような改良 2013.11.24 試乗記 マツダのクロスオーバーSUV「CX-5」に追加された、2.5リッターガソリンエンジン搭載モデルに試乗。新機構となったリアダンパーの乗り心地についてもリポートする。随時改良を加えていいクルマにしたい
マツダの5人乗りクロスオーバーSUV「CX-5」がマイナーチェンジを受け、従来の2リッター直列4気筒(155ps、20.0kgm)、2.2リッター直4ディーゼルターボ(175ps、42.8kgm)のラインナップに、ガソリンの2.5リッター直4(FF:188ps、25.5kgm/4WD:184ps、25.0kgm)モデルが追加された。
2.5リッターモデル追加のほか、全車リアに新構造のダンパーを採用して、「上質な乗り心地を実現」したのもニュースだ。また、ATセレクターまわりのデザインが変更されたのも新しい。シフトブーツが装備され、「質感の向上」が図られた。
「SKYACTIV-G 2.5」を搭載したニューグレードの価格は、4WDのベーシックグレード「25S」が253万500円。FFは装備をおごった「25S Lパッケージ」のみの設定で260万4000円。4WDの「25S Lパッケージ」は281万4000円。ざっくり、FF車はディーゼルモデルのベーシックグレードと同じ金額で上位の装備を手に入れられ、4WD車は、40万円弱安い値付けとなった。
CX-5のプレス試乗会に参加すると、「商品説明」を皮切りに、実車の試乗を挟みながら、「乗り心地の深化について」「SKYACTIV-G 2.5技術説明」「4WDシステム技術説明」と、充実したカリキュラムが組まれていた。
新たにCX-5開発主査に就任した大塚正志さんが、にこやかに言う。
「これまでは、3年ないし4年ごとに、大騒ぎして新車を発表すると、後は放りっぱなし。そんな状態でした。でも、ドイツ車メーカーは違いますよね。ニューモデルが発売された後も、随時、改良を加えて、どんどんよくなる。マツダも同様に、新しい技術が搭載可能になり次第、採り入れるようにします」
トヨタ、ホンダなどと比較すると、相対的に少ない車種を、それぞれ大事に育てていく、ということだ。立派な志である。
既存のテクノロジーを磨き上げる
2012年に、“フル”スカイアクティブ搭載車の第1弾として登場したマツダCX-5。たちまち国内SUV市場でのトップランナーになった。2013年に入ってからも息切れすることなく、むしろ月別の販売台数はアップ! 依然としてナンバーワンの座を維持している。
まずは、2.2リッターディーゼル車の新旧モデルを乗り比べた。マイナーチェンジの眼目は、新しい機構を採用したダンパーである。言うまでもなくダンパーは、クルマの揺動を抑え、例えばロールする速度をコントロールする役割を持つ。ボディーの揺れをサッと抑え、よりスポーティーなフィールを与えようとすると、足が硬くなり、乗り心地が悪化しがち。その逆もまた真(しん)である。
こうした二律背反を解決するために、状況によって減衰力を変化させる、つまり硬軟を使い分ける、いわゆる可変ダンパーが開発された。“可変”の方法は多種多様。オイルが行き来する穴の大きさを変えたり、路面からの入力の大小によって開閉される経路を別に用意したり、はたまたオイルの粘性そのものを電気的に変化させたりと、興味深いテクノロジーがめじろ押し。ただし、いずれを採用しても「コストが跳ね上がる」という問題がある。
そこで、マツダの技術陣が着眼したのが、ロッドの先に付くチェックバルブ。サクションスプリングというバネをバルブのふたに仕込んで、開閉を積極的にコントロールするようにした。ダンパーが伸びる際には、ガバッと開いてオイルをスムーズに流す。縮む時には素早く閉じて、ダンパー内側の筒から外側の筒へのオイルの動きを妨げない。
これまでだと、路面の細かい凹凸を拾うような、入力が小さいときに合わせて柔らかめにセッティングすると、「大きな段差を越える」といった大入力がある際に、ボディーの揺れを十分に抑えられなかった。しかし新機構のバルブはサッと閉じるので、減衰力の立ち上がりが早い。乗り心地を犠牲にすることなく、しっかりした足まわりを実現できるわけだ。
オイルという流体相手ゆえ、あいまいだったダンパー内部の動きをキッチリ制御することで、本来の性能を引き出す。既存のテクノロジーを磨き上げることで、総体として大きな進歩を得るスカイアクティブに通ずる、いぶし銀のような改良方法だ。
“Zoom-Zoomな”クロスオーバー
新機構のリアダンパーを「装備する/しない」で、乗り心地の違いがわかるか? 人一倍ニブいセンサーの持ち主なので内心不安だったが、わかった。新ダンパーを装備しないCX-5ディーゼルでも、適度に締まった足まわりで、「これはこれで……」と満足していたのだが、マイチェン後のCX-5で同じ路面の荒れた京浜道路を行くと、サーっと薄いじゅうたんが敷かれたかのように滑らかな乗り心地。地味で細かい改良のわりに(失礼!)、存外効果は抜群で、驚いた。担当エンジニアの方に、拍手!
さて、2.5リッターモデルである。圧縮比13:1と高圧縮の直噴エンジンは、「マツダ・アテンザ」にも使われるユニットで、アウトプットも同じ最高出力188ps/5700prm、最大トルク25.5kgm/3250rpm。そしてアテンザ同様、42.8kgmの大トルクを誇る出来のいいディーゼルがあるのに、「4気筒の2.5リッターモデルが必要なのか?」という疑問を個人的には抱く。
「必要なのだ」とマツダはいう。スマッシュヒットとなったCX-5ゆえ、「もっと上等なグレードを」と望むユーザーが一定数存在する。2.5リッターモデルと併せて発売された、内外装に特別仕様をおごった限定999台の特別モデル「2013アニバーサリー」は、そうした要望に応えたものだ。カタログモデルとしても、「ディーゼルはちょっと……」という人向けに、2.5リッターモデルが用意されたわけだ。ちなみに、2リッターからの排気量増加分は、そのまま動力性能アップに使われる。6段ATのギア比は、ファイナルも含めて、2リッターモデルと同一である。カタログ燃費は、「20S」が16.4km/リッター、「25S Lパッケージ」(FF)が15.2km/リッターとなる。
運転していて「おもしろいな」と感じたのは、CX-5がドライバーの心を読み取ること。具体的には、アクセルを踏み込む速度によって、加速度合いが変わる。ゆったりした気持ちで運転していると、クルマもゆったり。「ここぞ!」と思って気合を入れると、瞬時に応えてくれる。なるほど、CX-5は“Zoom-Zoomな”クロスオーバーである。
(文=青木禎之/写真=田村 弥)
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テスト車のデータ
マツダCX-5 XD Lパッケージ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4540×1840×1705mm
ホイールベース:2700mm
車重:1530kg(電動ガラスサンルーフ非装着車)
駆動方式:FF
エンジン:2.2リッター直4 DOHC 16バルブ ディーゼル ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:175ps(129kW)/4500rpm
最大トルク:42.8kgm(420Nm)/2000rpm
タイヤ:(前)225/55R19 99V/(後)225/55R19 99V(トーヨー・プロクセスR36)
燃費:18.4km/リッター(JC08モード)
価格:301万3500円/テスト車=315万円
オプション装備:セーフティーパッケージ(5万2500円)/電動スライドガラスサンルーフ(8万4000円)
テスト車の年式:2013年型
テスト車の走行距離:1378km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
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マツダCX-5 25S
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4540×1840×1705mm
ホイールベース:2700mm
車重:1540kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段AT
最高出力:184ps(135kW)/5700rpm
最大トルク:25.0kgm(245Nm)/4000rpm
タイヤ:(前)225/65R17 102V/(後)225/65R17 102V(ヨコハマ・ジオランダーG98)
燃費:14.6km/リッター(JC08モード)
価格:253万500円/テスト車=260万9250円
オプション装備:オーディオレス+Boseサウンドシステム(7万8750円)
テスト車の年式:2013年型
テスト車の走行距離:1159km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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