トヨタ、新たなテレマティクスサービスを発表

2014.06.20 自動車ニュース 高山 正寛
トヨタの新テレマティクスサービス「T-Connect」のメニュー画面。
トヨタの新テレマティクスサービス「T-Connect」のメニュー画面。
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トヨタ、新たなテレマティクスサービス「T-Connect」を発表

トヨタ自動車は2014年6月18日、同社が展開する「G-BOOK(ジーブック)」を進化させた新たなテレマティクスサービス「T-Connect(ティーコネクト)」の概要を発表した。サービスの開始、およびT-Connect対応ナビゲーションシステム(以下、T-Connectナビ)の発売は、同年夏以降を予定している。

「T-Connect」の概要を発表する、トヨタの友山茂樹常務役員。
「T-Connect」の概要を発表する、トヨタの友山茂樹常務役員。
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東京ビッグサイトで開催されていた「スマートコミュニティJapan2014」(開催期間:2014年6月18日~6月20日)では、今回の「T-Connect」を含む、トヨタのインフォテインメントサービスに関する取り組みが紹介されていた。
東京ビッグサイトで開催されていた「スマートコミュニティJapan2014」(開催期間:2014年6月18日~6月20日)では、今回の「T-Connect」を含む、トヨタのインフォテインメントサービスに関する取り組みが紹介されていた。
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■枠組みを超えて進む自動車メーカーとIT企業の協業

東京・台場で行われた発表会では、トヨタの友山茂樹常務から自動車にまつわるテレマティクスの動向について説明が行われた。それによると、現在は高度な対話型のインターフェイスや車両の走行情報を集積したビッグデータがクルマの新たな価値を創出しており、それに伴って自動車メーカーとIT企業の垣根を越えたアライアンスが進んでいるという。

そこでトヨタは、操作インターフェイスやカーナビ、ビッグデータのシステムといったコア領域については自らが主体性を持って取り組みつつ、その周辺領域であるインフォテインメント系のサービスやコンテンツに関しては、オープンな枠組みを構築することで一般企業の参画を促進。また操作に関連する一部のソフトウエア(運転中にスマートフォンを使えるようにするソフトなど)についても、安全と情報セキュリティー性を見極めた上でIT企業に開発をまかせ、採用を検討するとしている。

今回発表されたT-Connectは、こうしたトヨタのスタンスを反映した新たなテレマティクスサービスとなっている。

「エージェント」は音声認証システムを利用した対話型の情報提供およびルート検索サービス。口頭でカーナビの目的地設定やニュース検索などができる。
「エージェント」は音声認証システムを利用した対話型の情報提供およびルート検索サービス。口頭でカーナビの目的地設定やニュース検索などができる。
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「エージェント」機能に対してユーザーの要件がうまく伝わらない場合は、有人のオペレーターサービスを利用することも可能。その際、オペレーターセンターには自動でユーザーとエージェントのやり取りが転送させるため、スムーズにコミュニケーションを引き継ぐことができるという。
「エージェント」機能に対してユーザーの要件がうまく伝わらない場合は、有人のオペレーターサービスを利用することも可能。その際、オペレーターセンターには自動でユーザーとエージェントのやり取りが転送させるため、スムーズにコミュニケーションを引き継ぐことができるという。
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■さらに進化したエージェント機能

T-Connectは、大きく分けて3つのサービスによって構成される。まずは、定評のある有人オペレーターサービスを自動化した「エージェント」、車両データや走行データなどと連動した専用アプリを提供する「Apps(アップス)」、そして、有人オペレーターサービスやプローブ情報を反映したルート検索機能などからなる「オンラインケア」である。このうち、エージェントとオンラインケアについては、クラウドプラットフォームを使うことで、スマホやタブレットからの利用も可能としている。

エージェントは従来のG-BOOKにも用意されていた機能だが、T-Connectでは音声による目的地設定などの機能がさらに進化しているのが特徴となっている。
例えば、エージェントに対話機能を搭載することで、「○○街道沿いのレストラン」「そのうち、現時刻で営業しているお店」「駐車場があるお店」と、コミュニケーションをとる形で検索条件を絞り込み、ドライバーが求める要件をスムーズに導き出すことができるという。

また、ビッグデータを活用したアプリ「エージェントプラス」(ダウンロードが必要)では、日々増え続ける走行履歴などのデータをもとに、目的地を設定しなくても3カ所の推定目的地を提示。予測したルート上の事故や渋滞、天気情報などの提供に加え、燃料の残量が減ると給油場所を音声で案内し、ナビのルートに反映する「先読み情報サービス」機能などが備わっている。

「Apps」は「T-Connect」を介した専用アプリの提供サービスである。
「Apps」は「T-Connect」を介した専用アプリの提供サービスである。
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トヨタは一般のデベロッパーにもアプリの開発ができるよう、開発ソフトを提供する仕組みを構築している。写真は完成したアプリが正常に作動するかを、エミュレーターを使ってテストしている様子。
トヨタは一般のデベロッパーにもアプリの開発ができるよう、開発ソフトを提供する仕組みを構築している。写真は完成したアプリが正常に作動するかを、エミュレーターを使ってテストしている様子。
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車内から「Apps」のアプリを使って自宅のエアコンを操作するデモンストレーションの様子。トヨタスマートセンターとパナソニックのクラウドを連携させることで実現したもので、自宅に近づくと「エアコンをONにしますか?」と確認してくれる。
車内から「Apps」のアプリを使って自宅のエアコンを操作するデモンストレーションの様子。トヨタスマートセンターとパナソニックのクラウドを連携させることで実現したもので、自宅に近づくと「エアコンをONにしますか?」と確認してくれる。
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■オープンな枠組みで一般企業の参画を狙う

一方、Appsはトヨタスマートセンター内に「T-Connectアプリストア」を設置し、「ドライブアシスト(運転支援)」「インフォテインメント(情報&娯楽)」「コミュニケーション(交流)」「ライフサポート(暮らし)」という4分野でアプリを提供するというサービスである。サービス開始時には15個のアプリを用意。夏以降発売予定のT-Connectナビには20個のアプリがインストール可能で、ユーザーの好みに応じてナビをカスタマイズすることができるという。

また、一般のコンテンツ事業者がこのアプリを開発できるよう「TOVA(トーバ):Toyota Open Vehicle Architecture」と呼ばれるオープンなスキームも用意している。具体的には、デベロッパーは専用の開発ツールであるSDK(Software Development Kit=開発環境はJAVA)の提供を受けてアプリを開発。トヨタの認証を経て、T-Connectアプリストアから一般ユーザーへアプリを提供する仕組みとなっている。なお、TOVAでは有償アプリ向けの課金システムも準備。「Appsのコンテンツをアプリストアに上げることに関しては基本無料だが、有償コンテンツに関しては20%の料金回収代行手数料を予定している」(友山常務)とのことだ。

また、オンラインケアについては2014年秋よりトヨタの物流車両の走行データをプローブ情報に追加することで、従来以上の情報精度や密度の充実を図るとしている。

ネットワークに対するアクセス性も改善しており、T-Connect対応ナビにはネットワークへのアクセスをより簡単に行うためにWi-Fiリンク機能を搭載。ユーザーのスマートフォン経由(通信料はユーザー負担)はもちろん、コンビニをはじめとした全国20万カ所の「au Wi-Fiスポット」を介してトヨタスマートセンターに接続すれば、無料で各種サービスを利用できる(有償アプリの利用料は除く)。

もちろん、従来採用している車載通信モジュール“DCM”にもオプションで対応。初年度は無料、次年度からは1万2000円/年で使い放題となる。

(文=高山正寛/写真=webCG)
 

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