ホンダのスーパースポーツ「NSX」が復活【デトロイトショー2015】

2015.01.14 自動車ニュース
新型「アキュラNSX」
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【デトロイトショー2015】ホンダのスーパースポーツ「NSX」が復活

ホンダのスーパースポーツカー「NSX」が、ハイブリッド車となって復活。デトロイトショーの会場から、新型NSX誕生の経緯をリポートする。

■10年ぶりのカムバック

大きなスクリーンに映し出される赤いNSXが、デトロイトの街中を抜け、ショーの会場であるコボホールに近づいてくる。不意に、それまでとどろいていた咆哮(ほうこう)がピタリとやんだ。モーター走行の「クワイエットモード」に切り替わったのだ。やがてNSXはコボホールの入り口にたどり着き、スクリーンから抜け出したホンモノのNSXが会場に姿を現した。
この種のセレモニーは時に「アンベール」、すなわちベールを取るという表現がなされるのだが、新しいNSXはその取るべきベールがなく、あたかも街中から会場に走り込んで来るように登場したのである。

NSXが誕生したのは今から25年前の1990年。オールアルミボディーをまとったスマートなスポーツカーであった。しかしながら、ミドシップとはいえV6エンジンを横置きに搭載した当時のNSXは、確かにスーパーカー的スタイルは持っていたものの、あまりにスマートに過ぎ、また「V12とはいわないまでも、せめてV8」という期待を抱いていた向きにとって、フェラーリなどに対抗できる威厳を持ち合わせていなかった。というわけで、スーパーカーと呼ぶにはどうしてもある種の物足りなさがあったことも事実だった。
その初代NSXの生産は、2005年をもって終了。後継モデルが用意されることはなかった。

2012年、ホンダは新しいNSXを作ることを公表。いやが上にもその期待は高まったのだ。

■目指したのは「真のスーパーカー」

ご存じだろうが、新しいNSXの開発は北米R&Dチームの主導によって進められた。初めてその姿が披露されたのは2012年1月のデトロイトショー。日本ではその翌月、東京・青山のHondaウエルカムプラザでお披露目された。開発は順調に進み、2013年の8月には、ミッドオハイオサーキットでのインディカーレースに合わせてデモ走行が行われた。この時走ったブルーのプロトタイプは、自然吸気(NA)のV6エンジンを搭載したものだった。このエンジンについて、プロジェクトのチーフエンジニアであるテッド・クラウス氏は次のように語っている。

「横置きのNAユニットはグッドなエンジンだった。しかし、われわれにとってこのグッドは十分ではなかった。真のスーパーカーに仕立て上げるには、さらなる高みへ引き上げる必要があった」

クラウス氏は、初代NSXに抱かれていた「真のスーパーカーではない」という漠然とした不満を、察知していたのかもしれない。そして彼が下した決断は、エンジンを横置きから縦置きに変更し、そしてV6ユニットに2基のターボチャージャーを装備するという大胆なものだった。無論、その作業は簡単ではなかった。彼に言わせると、「まるで疾走中のマラソンランナーに心臓移植を施すようなもの」だったそうである。ただ、出来上がったクルマは「ものの10秒もステアリングを握れば、その決断が正しかったと理解してもらえる」ものに仕上がっていたという。

パワーユニットに関するこれ以外の部分、すなわちコンセプト当初からの「ハイブリッドシステムを採用する」という基本は変わっておらず、フロントに2つ、リアのトランスミッション内にもう1つのモーターを搭載。新型NSXは、トルクベクトリング機構を備えたクリーンでパワフルなスーパーカーとして登場した。システム全体での最高出力は550hp(本国での発表値)。このパワーユニットだけでも十分に「スーパー」と呼べるパフォーマンスを有している。

そしてスタイリング。エクステリアを担当したのはミッシェル・クリステンセン氏。インテリアはジョン・ノーマン氏を中心とするグループによって仕上げられた。ともに最新のトレンドが取り入れられており、特にエクステリアについてはフローティングピラーを持つ大胆なキャブフォワードデザインとなっている。そのピラーとエアインテークが織りなす「くの字」のデザインアプローチは、同じ日にデビューした新型「フォードGT」によく似ていて、これが最新スーパーカーのトレンドなのかと思わされる。

■デリバリー開始は2015年末

野心的なのは完成したクルマだけではない。このクルマを生産するため、「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(PMC)」と呼ばれる最新鋭の工場がオハイオ州に作られた。新型NSXは、そこから全世界に向けてデリバリーされる。

ではなぜアメリカで作るのか? アキュラのエグゼクティブシニアバイスプレシデント、マイク・アカビッティー氏に尋ねたところ、「それはわれわれにできるからだ」という単純明快な答えが返って来た。新型NSXが果たして日本で何台販売されるか見当がつかないが、北米や中国などの市場から見れば、ごく少数であることは想像に難くない。
そもそも、日本で一度立ち消えになったプロジェクトを強力に推し進めたのは、北米R&Dチームである。そしてテッド・クラウス氏のもと、開発からデザイン、テスト、さらには生産設備の確保まで、全てが北米で行われた。文字通り北米主導で動いたプロジェクトだったのだ。

この夏、新しいNSXの受注が開始される。PMCで生産がスタートするのは秋、年末までに最初のデリバリーが行われるというスケジュールが立てられている。価格については明言が避けられたが、おおよそのスターティングプライスが15万ドルというから、日本円でおよそ1800万円。言っておくが、これはあくまでもスターティングプライスである。また、アカビッティー氏はラインナップの展開について「スペックは複数あるが、細かくは言えない」とした。新しいNSXが、いよいよオンロードに解き放たれる。

(文と写真=中村孝仁)
 

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