第406回:イタリアとフランスの自動車業界で起こったふたつの「卒業」
2015.07.10 マッキナ あらモーダ!シトロエンの看板技術が消える
イタリアの公立学校は先月から、フランスでも7月第1週を最後に、夏休みに入った。ちなみにこちらでは、日本のような賑々(にぎにぎ)しい終業式や卒業式はない。そうしたなか、イタリア、フランス双方の自動車界でも、あるふたつの“卒業”が静かに報じられた。
まずはシトロエン。2015年7月5日、同ブランドのリンダ・ジャクソンCEOは、今後発表する新型車に、油圧サスペンションシステム「ハイドラクティブサスペンション」を搭載しない計画であることを明らかにした。
業界紙『オートモーティブニュースヨーロッパ』のインタビューに答えたもので、カルロス・タバレス率いるプジョー・シトロエンのコスト削減計画の一環という。デビューから7年が経過し、モデル末期にある現行「C5」が最後の搭載車となる。ジャクソン氏はハイドラクティブサスペンションを「もはや古いテクノロジー」としている。
シトロエンがハイドラクティブサスペンションの前身であるハイドロニューマチックサスペンションを最初に搭載したのは1955年の「DS」と思っている人は多いが、実はその前年の1954年に、DSの先代である「トラクシオンアヴァン15 six H」の後輪懸架に装着されたのが最初である。以来61年間、シトロエン史を語るうえで欠かせない技術として取り上げられてきたが、ついに姿を消すことになった。

大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
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