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第309回:ボルボセールスの顧客満足度コンテスト!? ~第1回 CS-VESC 全国決勝大会の会場から

2015.08.31 エディターから一言
会場に設けられた、舞台となるショールーム。
会場に設けられた、舞台となるショールーム。
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全国のボルボディーラーでセールスを担当する人たちのコンテスト「CS-VESC」を見学して、自動車ディーラーで新車を買ってみたくなった。
買うとまではいかなくても、ショールームでニューモデルのカタログをもらうくらいしてみようか―― 参加者のホスピタリティーあふれる接客を見ていて、私も「いい気分」になってみたくなった。

競技に参加するファイナリスト。
競技に参加するファイナリスト。
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ボルボ・カー・ジャパン木村隆之代表取締役社長。
ボルボ・カー・ジャパン木村隆之代表取締役社長。
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審査員も厳しい目を光らせている。
審査員も厳しい目を光らせている。
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大会への意気込みを語る、競技者のビデオメッセージも上映された。
大会への意気込みを語る、競技者のビデオメッセージも上映された。
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顧客満足度を競う全国大会決勝

考えてみると、このところクルマをディーラーで購入していない。知り合いから譲ってもらったり、親しくなったショップの人から「いいのがあるよ」と薦められたりして中古車を入手しているので。購入検討のためにディーラーへ行ったのはいつのことだろう……?
そんな状況なので、「セールスのコンテスト」といわれてもピンとこなかった。
いったい何を競技するのだろうか、イマイチ理解しないまま、第1回 CS-VESC 全国決勝大会の会場へと向かった。

CS-VESCとは「Customer Satisfaction-Volvo Excellent Salespersons Contest」の略で、1990年から2008年までは「VESC」として開催されていたものを、CS(顧客満足)により重点を置く形で新たに開催されるイベントだ。
このコンテストは、ボルボ・カー・ジャパンのディーラー全店舗が参加するもので、商品知識や接遇マナーの基礎知識を測るウェブテストや、ミステリーショッパー調査(覆面調査)といった評価のあと、地区予選会を経て、本日の決勝を迎えた。競技は個人戦とチーム戦とに分かれており、個人戦に参加する10人と、7チーム(21人)のファイナリストが、接客スキルナンバーワンを目指して競うのだ。

競技は個人戦が7分間、チーム戦が20分間で行われ、顧客役の俳優が来店したり電話をかけてきたりするのを、いかに適切に対応し、試乗や見積もり、次回来店のアポイントメントを取り付けるかまでを、ロールプレイ形式で実演する。

個人戦では、来店顧客が1名。テレビCMを見たという40歳代前半の新規顧客で、現在所有する「ホンダ・フィット」の車検が2015年12月に切れるという設定だ。この設定のみ競技者に伝えられていて、細かいシナリオはぶっつけ本番のアドリブということになる。
ちなみに競技者は個人戦、チーム戦含めて別室に控えており、自分の出番が終わるまでは、他者の競技を見ることができないようになっている。

「あっぱれ!」な顧客対応

店舗を模した舞台に、顧客役の俳優がやってくると、競技者は「いらっしゃいませ」と出迎えて、7分間の競技がスタートする。
このスタート時点から、競技者の個性が出ていた。名刺入れから名刺を取り出しながら出迎える人、まずは用件を聞く人、なかには「フィットでご来店ですか? きれいに乗られていますね!」という俳優顔負けの演技で出迎える人もいた。

顧客は、ごく自然に振るまい、競技者からの質問に答えたり、逆に競技者に質問したりする。
競技者は顧客から、名前や家族構成、現在所有しているクルマの利用状況などをヒアリングし、それにあった車種を薦める。
舞台には「V60」と「V40」の2車種が展示されており、顧客の「フィットに近いボディーサイズのクルマ」という希望に添って、V40の実車を使って説明をしていくのだが、その流れも人それぞれで、見ていて面白い。顧客から一歩離れて商品説明する人、すぐ近くで話す人、顧客の動きを積極的にリードする人、顧客の動きにあわせて説明する人など、さまざまだ。
どの競技者もさすがファイナリスト、いずれも過剰だったり放りっぱなしだったりせず、的確に接客している。

店内での説明の次は、試乗を勧めるのだが、顧客は「今日は時間がないので」と断る。
これは想像だが、試乗をするしないで成約率がずいぶん変わってくるのではないだろうか。一度ピカピカのニューモデルを運転してしまえば、多くの人が「やっぱり新車はいいね」と思うことだろうし、「試乗までしたのだから」という、スーパーの試食コーナーでウインナーを食べてしまった後の心理と同じものが働くかもしれないし。
けれども顧客は「このあと予定があるので」と断る。であればと、競技者は次回来店の約束を取り付けようとするのだが、1人だけ試乗にこぎ着けた人がいる。

「ちなみにご予定というのはどのような?」とさりげなく質問したところ、顧客は「妻を迎えに行かなければならなくて……」と答えたのだ。
これに「でしたら、私もお供しますのでぜひV40でお迎えに行きませんか? 奥さまにもV40に試乗していただけますので」と返したのだ。
顧客役の俳優もこのトークは想定していなかったようで「いいんですか、じゃあお願いします」と誘いに応じていた。ナイスプレーである。

私は「あっぱれ!」と思ったのだが、結果的にこの方は優勝しなかった。細かい審査の内容は分からないが、顧客満足度向上のコンサルタントや社員教育の専門家などからなる審査員は、「あっぱれ!」と思わなかったようである。日曜朝のテレビ番組でも、張本さんと大沢さんで「あっぱれ!」と「喝!」が分かれることも多かったし、しかたがない。

顧客(写真左)を演じるのはプロの俳優。
顧客(写真左)を演じるのはプロの俳優。
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展示車を前に商品説明。
展示車を前に商品説明。
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シートの座り心地を体験してもらう。
シートの座り心地を体験してもらう。
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参加者それぞれ、接客のスタンスは異なる。
参加者それぞれ、接客のスタンスは異なる。
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ジバニャンに負けないホスピタリティー

続いてチーム戦。3人一組で競技し、20分の制限時間内に、2組の顧客が来店し、1人から試乗の申し込みをする電話がかかってくるというシナリオだ。
まずは、40歳代前半で、2年前の所有車「トヨタ・ハリアー」の車検時に「XC60」の購入を検討するも見送り、次回車検が近づいてきたので再検討しているという顧客が1人来店。前回検討時の担当者が退職しており、その引き継ぎをしつつ接客する。

その後、新規顧客からV40のディーゼルモデルを試乗したいという電話がかかってくるのだが、この客がなんともくせ者なのだ。
試乗したいのは今週土曜日の14時~15時。その前も後も用事があるので、ピンポイントで予約したいのだが、用事の都合によっては来店時間が前後するかもしれない。翌日も予定が詰まっていて、平日は仕事があるから無理。翌週末は泊まりがけのゴルフで、帰りにパーティーがあるのでアルコールが入るから試乗はできない。その翌週は海外出張で、そのまた翌週は妻と泊まりがけで旅行……、というかなりワガママな顧客である。
設定上、今週土曜日の午後は試乗車が埋まっているので、どう対応するかが審査される。
これも各チームで対応が異なった。
あるチームは、空きのあるガソリンエンジンのV40とディーゼルエンジンのV60と両方を試乗し、エンジンとボディーサイズを体感してほしいとの代替案を出した。
また、顧客の予定にあわせて「なんとか用意します」と答えたチームもある。恐らくだが、すでに予約の入っている試乗車のスケジュールを調整して対応するつもりなのだろう。この対応には「仕事ってだいたい、こういうむちゃな調整がほとんどだよな」と妙に納得してしまった。
そんなワガママ客に対して、「では、ゴルフにV40で行かれてはいかがですか?」と提案をしたチームの対応は秀逸だった。
「金曜日の夜に職場までお届けしますので、試乗車でお仲間とゴルフに行っていただき、日曜日は私がパーティー会場まで試乗車を取りに伺って、ご自宅までお送りいたします」というのだ。
そこまでされたら、買ってしまうよね。

次にやってくる顧客は夫婦と子ども1人の家族連れで、現在「V50」のオーナー。DMが届いたので来店したが、営業担当者は最初の顧客と試乗に出掛けており不在のため、別の担当者が対応に当たるという設定だ。
当初ディーゼルエンジンにネガティブな印象を持っていた妻が、臨時セールス担当者の説明に納得し、試乗してみようかとなりかけたところで、キッズコーナーでアニメを見ていた子どもが「ママ、『妖怪ウォッチ』の録画してくれた?」と母親の元に戻ってくる。
「ごめん、忘れた!」と両親。泣きそうになる子どもに「今日はこれで帰ります」とママ。
せっかくの試乗チャンスをジバニャンに阻まれてしまうのだ。気の毒なセールススタッフだが、ほとんどのチームが「では妖怪ウォッチの録画を(ショールームのレコーダーで)予約いたしましょうか」と対応していた。なんと親切な。

展示車が入れ替えられ、チーム戦スタート。
展示車が入れ替えられ、チーム戦スタート。
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第309回:ボルボセールスの顧客満足度コンテスト!? ~第1回 CS-VESC 全国決勝大会の会場からの画像 拡大
着席しての商談も、大切だという。
着席しての商談も、大切だという。
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エンジンルームを見せていたのは、このチームだけだった。
エンジンルームを見せていたのは、このチームだけだった。
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「ワガママな顧客から電話がかかってきた(!)」という場面。
「ワガママな顧客から電話がかかってきた(!)」という場面。
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「ママ、『妖怪ウォッチ』録画した?」
「ママ、『妖怪ウォッチ』録画した?」
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賞品はスウェーデン旅行

全ての競技が終わり、審査が始まった。
結果を待つ間、ファイナリストたちはしばし休憩となるのだが、審査に関係ない休憩中の立ち振る舞いもピシッとしていて、気を緩めている様子はなかった。結果発表まで緊張は続くのだろう。
折しもこの日は、夏の甲子園の決勝戦が行われていた。
会場に入るまでは、「セールスのコンテスト」と聞いてテレビショッピングの「最新のカメラまでお付けして、なんと1万9800円!」と声を裏返してアピールするような姿を想像していたが、出場者の真剣な表情と心のこもった接客にすっかり魅了され、高校球児たちの熱戦を見守るような気持ちになっていた。

審査の結果、個人の部では朝倉徳貴さん(ボルボ・カーズ太田・足利)、チームの部ではボルボ・カーズ目黒(佐藤竜太さん、鈴木裕美さん、高橋智樹さん)が優勝。準優勝に個人の部では金丸博和さん(ボルボ・カーズ市川)、チームの部ではボルボ・カーズ長野(上野篤史さん、清水翔太さん、金子康宏さん)が選ばれた。
準優勝までの個人とチームには、なんとスウェーデンへの研修旅行がプレゼントされる。
個人の部優勝の朝倉さんは「地区予選会で勝ち残り、接客に自信がついた。今までは、自分より年上で、いろいろな経験を持つオーナーさんに自分がアドバイスなどしていいのかという迷いもあったが、決勝に進めたことで自信を持って接客することができるようになった。優勝したことをさらに自信につなげたい」と、誠実さがにじみ出る笑顔で話してくれた。

CS-VESCについて、ボルボ・カー・ジャパンの木村隆之代表取締役社長は、「プレミアムインポートブランドにおいて顧客満足度1位を目指す」ため、今後は「VISTA(Volvo International Service Training Award)」(メカニックなどアフターサービスに関わるスタッフのコンテスト)と併せて、隔年で開催すると発表した。

大会を見学し感じたのは、接客力や販売力の高さはもちろんだが、ぶっつけ本番アドリブでのロールプレイをみんな上手にこなすことへの驚きだった。いくら接客マニュアルを読み込んだところで、こうはいくまい。
その点について、本大会の担当者であるボルボ・カー・ジャパン ブランド・ネットワーク開発部の石榑宏成ディレクターによると、多くの店舗で週に1回程度、このコンテストのようなロールプレイの練習をしているとのこと。
この話を聞き、ここ最近、マニュアル接客のお店ばかり利用していることに気づいた。コンビニにファミレス、チェーンのビジネスホテル……。安く利用できるし、もちろんそういった店で思いがけない心配りを受けることもあるが、やはり「おもてなされ感」は少ない。
たまには思う存分おもてなされてみたいので、近所のディーラーに足を運んでみようか。もちろん、お仕事の邪魔にならない程度に。

(文と写真=工藤考浩)

チーム戦で優勝したボルボ・カーズ目黒(写真右側3人)と準優勝のボルボ・カーズ長野(写真左側3人)。
チーム戦で優勝したボルボ・カーズ目黒(写真右側3人)と準優勝のボルボ・カーズ長野(写真左側3人)。
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個人戦で優勝した朝倉徳貴さん(ボルボ・カーズ太田・足利)(写真右)と準優勝した金丸博和さん(ボルボ・カーズ市川)(写真左)
個人戦で優勝した朝倉徳貴さん(ボルボ・カーズ太田・足利)(写真右)と準優勝した金丸博和さん(ボルボ・カーズ市川)(写真左)
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参加者の記念撮影。
参加者の記念撮影。
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笑顔を見せる、個人戦優勝の朝倉徳貴さん(写真中央)。
笑顔を見せる、個人戦優勝の朝倉徳貴さん(写真中央)。
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