トヨタ・プリウス プロトタイプ(FF/CVT)/プリウス プロトタイプ(4WD/CVT)
全方位的な進化が光る 2015.11.20 試乗記 6年半ぶりのフルモデルチェンジを迎える、トヨタのハイブリッドカー「プリウス」。従来モデルからの進化の度合いは? プロトタイプに試乗しての印象を報告する。走りはもはや別次元
基本グレードで40km/リッター(JC08モード)もの超低燃費を目標に掲げる新型トヨタ・プリウスだが、初代から18年間の歩みを振り返れば、ある程度は想定の範囲内。むしろ気になって仕方ないのは、いつPHVが追加発売されるのか、その先にレンジエクステンダーEVとの境界が崩れる時が訪れるのか、PHVにも4WDがあるのか、などだ。
それより印象に刺さったのは新型の走り。これまでも決して鈍足ではなかったが、乗ってみると次元が異なる。低重心と高剛性をうたう新プラットフォームの御利益は明らかすぎる。サーキットで思い切り攻めても、どこまでも操作に忠実に応じてくれる。特にステアリングの反応が快く、切れば切っただけ、時間差ゼロで前輪の踏ん張り感が感じられ、間髪を入れずスパッと曲がる。
乗り心地が柔らかく快適なのに、そこそこロールは小さい。そこからの全開加速でも、余計なアンダーステアは顔を出さない。同じ舞台を走った先代と比べると、ステアリングの切り込み量が大幅に少ない。手応え自体はマイルドでソフトだが、足取りはGT的だ。
4WDも重要な注目点。起動トルクの強いモーターで発進するプリウスは、滑りやすい路面で強く出ようとすると、予想外に前輪が空転することがある。ところが泥の上で4WD仕様を急発進させてみると、ある程度ホイールスピンしながらも確実に速く行けた。後輪用モーターはメインの前輪用(72ps)より大幅に低出力の7.2psだが、これで十分。引きずり抵抗のない誘導モーターなので、普通に走る限り存在を意識せずにすむ。激しいコーナリングでも、FFと4WDの違いは意識させられない。
もちろん、こんな走りはプリウスの本筋ではない。それより格段に静かになったことや、室内の作りが上質になったことの方が大切だ。しかし、限界性能が高いということは、そのぶん通常状態での安全性のマージンが大きくなったことを意味する。また、コーナーごとに大きく減速することが減れば、それだけ次の加速を緩やかにできて、平均燃費の改善につながる。エンジンの熱効率向上も動力分割機構の改善も、このような車体の進化があってこそ効果を発揮できる。HV界の圧倒的な先駆者として、単にバッテリーとモーターを活用するだけでなく、満遍なく全体に気配り目配りを行き渡らせたところに、4代目プリウスの大きな価値が輝く。ただ残念なのは、またも大型化してしまったこと。使い勝手が最高だった初代より、なんと23cmも長いのだ。
(文=熊倉重春/写真=峰 昌宏、トヨタ自動車、webCG)
【スペック】
プリウス プロトタイプ(FF車)
全長×全幅×全高=4540×1760×1470mm/ホイールベース=2700mm/車重=--kg/駆動方式=FF/エンジン=1.8リッター直4 DOHC 16バルブ(98ps/5200rpm、14.5kgm/3600rpm)/モーター=交流同期電動機(72ps、16.6kgm)/トランスミッション=CVT/燃費=--km/リッター/価格=--円
プリウス プロトタイプ(4WD車)
全長×全幅×全高=4540×1760×1475mm/ホイールベース=2700mm/車重=--kg/駆動方式=4WD/エンジン=1.8リッター直4 DOHC 16バルブ(98ps/5200rpm、14.5kgm/3600rpm)/モーター=交流同期電動機(前:72ps、16.6kgm/後ろ:7.2ps、5.6kgm)/トランスミッション=CVT/燃費=--km/リッター/価格=--円
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熊倉 重春
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