スズキ・イグニス ハイブリッドMZ(FF/CVT)/イグニス ハイブリッドMZ(4WD/CVT)
ヒルズ族に教えたい 2016.02.24 試乗記 ありそうでなかったAセグメントのクロスオーバーSUV「スズキ・イグニス」。“軽自動車のちょっと上”という絶妙なボディーサイズと、多彩なシートアレンジをはじめとした使い勝手のよさ、そして“メガネ顔”のファニーなデザインが織り成す、その魅力に触れた。親しみやすいメガネ顔
単純な言葉は強い。日本の政治の世界では、小泉純一郎首相以来ワンフレーズ・ポリティクスが横行している。難しい理屈を並べるより、力強い一言のほうが耳に残りやすいからだ。政治に限ったことではなく、商品でも同じ。特徴を単純な言葉で表せたほうが訴求力が強い。そういう意味では、スズキ・イグニスにはハンディーがある。燃費ナンバーワンとか超ハイパワーといった突出した売りはないからだ。しかし、クルマとは複雑で精緻な工作物である。突出していなくても、バランスの妙で秀でた製品になり得る。
試乗する前から、まわりでイグニスを称賛する声が聞こえてきていた。発表会で「ありそうでなかった」と表現されていたように、ぽっかり空いていたポジションなのである。Aセグメントに属するコンパクトなクロスオーバーSUVで、全長3700mm、全幅1660mmという絶妙なサイズだ。日本の交通事情にはジャストにハマる。実用一点張りではなく、流行のスタイルを取り入れた。こういうクルマを欲しいと思っていた人は多いに違いない。
一見して「アルト」との関連をうかがわせるスタイルだ。リアはもちろんのこと、メガネ顔も共通である。LEDポジションランプによって目元をパッチリさせているが、一部のプレミアムブランドのようなこれ見よがしで威嚇的な演出ではない。どちらかというと、ファニーで親しみやすい表情となっている。
メガネ好きのデザイナーが関与しているかどうかは不明である。これからスズキ車のアイデンティティーとしてメガネ推しでいくのかと思ったが、そういう方針はないとのことだった。グリルに頼らず目ヂカラで勝負するというのは、これぞスズキというイメージを確立するには悪くない戦略だと思うのだが。
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