スズキ・イグニス ハイブリッドMZ(FF/CVT)
日本のためのコンパクト 2016.04.08 試乗記 日本の道路事情にマッチしたボディーサイズと、ユニークなデザインで注目を集めるコンパクトクロスオーバーの「スズキ・イグニス」。では、その走りや使い勝手の実力はどれほどのものなのか? 最上級グレードを借り出し、その出来栄えを確かめた。【総評】キラリと光る存在感に注目……★★★☆☆<3>
軽自動車やミニバンなど、いわゆる「ガラパゴス商品」と呼ばれる日本市場に照準を絞ったモデルたち。一方で、それらを除いては「自国ユーザーを考えたクルマづくり」という雰囲気がめっきり感じられなくなってしまったのが、昨今の日本メーカーの作品群だ。
そうした動きを顕著に感じるのは、全幅が1.7mの大台を超えてなおコンパクトという表現を用いるモデルの急増。確かに、欧米など縦列駐車がメインの市場では、クルマのサイズ感は“長さ方向”が基準となる。昨今の現状は、そんなかの地を念頭に置いて開発されたモデル群を、日本市場に向けて半ば無理やりに、そのまま販売しようとするがゆえの副作用でもあるはずだ。
かくして、特に全幅方向の拡大に歯止めが利かない中にあって、幅1660mmというスペックを前面に押し出し、真の小ささを大きな売り物に誕生したのが、これまで海外向けには用いられつつも日本ではブランニューとなるネーミングをいただいたスズキ・イグニスである。
4ドア+ハッチゲートという単一ボディーに、搭載パワーパックはCVTとの組み合わせによる1.2リッターユニットと、こちらも1種類のみ。かように構成はシンプルながら、そこにさまざまな付加価値を上乗せすることで単なるベーシックなコンパクトカーにはとどまらないモデルに仕立てているのが、スズキの巧みで特徴的な商品戦略だ。
1.6mに迫る全高や180mmという大きな最低地上高、15もしくは16インチの、このクラスでは大き目な径のシューズによってSUV風味を醸し出した上で、ルーフをブラックアウト化したツートン仕様を含む多彩なボディーカラーの設定でも“選ぶ楽しさ”を実現させている。
そんなこんなで、このモデルにはかつて「クオリティコンパクト」というフレーズとアクロバティックなテレビCMで一世を風靡(ふうび)したいすゞの乗用車、「FFジェミニ」と同様の爽やかさが感じられるもの。ベーシックカーでありつつも久々に“指名買い”の対象となりそうな、キラリと光る存在感に注目だ。
<編集部注>各項目の採点は5点(★★★★★)が満点です。
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