フォード・エクスプローラー タイタニアム(4WD/6AT)
ピンときたらお早めに 2016.03.18 試乗記 フォードの3列7人乗りSUV「エクスプローラー」に新グレード「タイタニアム」が登場。3.5リッターV6ツインターボエンジンがかなえるパワフルな走りやいかに? 日本での販売は“在庫限り”という、最上級モデルの魅力を報告する。いいことずくめの最上級グレード
フォードの日本撤退というニュースが流れてはや1カ月半。フォードのディーラーは閑古鳥かと思いきや、実はそうでもないらしい。フォード・ジャパンの広報部によれば、クルマは売れているのだそうである。そのけん引役はやはりエクスプローラー。ニューモデルが出て、かつ今後買えないとなればやはり食指は動くということか。今回の試乗車はその新グレード、エクスプローラー タイタニアムという最上級モデルだ。
外観はグリルやホイールのデザインが異なる以外、既存のモデルとは区別しにくい。それに対して内装は「ニルヴァーナレザーシート」と称するキルティング風ステッチを施した豪華なシートが目を引く。1列目はマッサージ機能付きで、シートヒーターは1列目と2列目の両方に備わる。
搭載されるエンジンは、フォード車ではこれが日本初お目見えの3.5リッターエコブーストツインターボユニットである。直噴ツインターボのこのエンジン、ルーツは今年のルマン24時間レースを走ることになっている「フォードGT」と同じもの。すでに北米市場ではフォードの他の車種にも搭載されているが、そのパフォーマンスはかなりのものだ。
エクスプローラーの場合、車重は2280kgと完全な重量級なのだが、高速道路などで前が空いた時、パーシャルスロットルから加速すると、スルスルと、それもかなりの勢いで加速を始める。「これ、下手をすればヨーロッパの高性能SUVをカモれるんじゃないか?」と思わせるスピードだ。また、もともと静粛性では定評のあったエクスプローラーだが、そこにも一層磨きがかかっている。残念ながらアイドリングストップは付かないが、停車してもエンジンの存在に気付かないこともしばしば。それほど静粛性が高い。定常走行時もまずメカニカルノイズというものが聞こえない。
装備については、スマートキーレスエントリーと「フォード・パワースタート」と名付けられたスタートシステムの採用が新しい。ただし、これは特に珍しいものではない。要するにキーをポケットに入れておけばドアハンドルを握るだけで開錠され、閉める時はドアハンドルに付く黒いボタンを押せば施錠できるようになったというだけ。フォード・パワースタートという大層な名前の装備も、実はプッシュボタンスタートのことである。
とはいえ、あるとうれしい装備であることに違いはない。このほかにも、ついにナビゲーションシステムはインダッシュ装備になったし、シフトパドルも付いた。ほとんどいいことだらけのモデルながら、販売は在庫限り。もったいない。
(文=中村孝仁/写真=郡大二郎)
【スペック】
全長×全幅×全高=5050×2000×1820mm/ホイールベース=2860mm/車重=2280kg/駆動方式=4WD/エンジン=3.5リッターV6 DOHC 24バルブ ターボ(370ps/5500rpm、48.3kgm/3500rpm)/トランスミッション=6AT/燃費=7.2km/リッター/価格=635万円
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