フォード・エクスプローラー XLTエコブースト(FF/6AT)【試乗記】
最新の本場モノ 2012.02.26 試乗記 フォード・エクスプローラー XLTエコブースト(FF/6AT)……440万円
「エクスプローラー」に、ターボ、直噴、可変バルブタイミング機構を組み合わせた次世代エンジン「EcoBoost(エコブースト)」搭載グレードが追加された。フォード最新低燃費モデルの走りを試す。
ついに日本に上陸
「エコブースト」のプレス試乗会場はベイサイドマリーナホテル横浜。初日に行ったときは早く着きすぎちゃったのでプレゼン前にクルマを借り、並木料金所からヨコヨコ(横浜横須賀道路)を通って横須賀方面へ。個体の走行距離は1100km。電動パワステは、先に発売された3.5リッターV6+4WDのモデルよりも電動クサい? 6速で100km/hの回転数は2000rpm未満。フムフム。で、41.5kmを34分19秒で走った。割り算すると、平均速度は73km/hちょい。オンボードコンピューターが表示した区間燃費の額面は100kmあたり8.9リッター、つまりリッター約11.2km。ほほー。なお、エクスプローラーなので、エコブーストでもガソリンはレギュラー。
エコブーストとは、要するにいまの時代にゼヒともなくてはならないガソリン直噴+ターボのエンジン(のテクノロジー)。フォルクスワーゲンでいったらTSI。それのフォード版と思っとけばいいでしょう。
今回、プレゼンを聞いていてちょっとウケたのは、「ディーゼルエンジンより安い」と言っていたこと。ま、常識なんですけど。ディーゼル車よりは安いけれど、エクスプローラー用の2リッター直列4気筒エコブーストエンジンモデルは、自然吸気の3.5リッターV6モデルよりも高い。どれぐらいかというと、本国ではプラス1000ドル払って選ぶオプション装備という扱いになっているそうな。なお、エコブーストエンジンを選ぶと4WDは選べなくなる。4WDではないということは……そうですFF。フロント横置きエンジンで、かつフロント二輪駆動。
ちょっと余談を。現行モデルで日本仕様にラインナップされている「エスケープ」と「クーガ」は、2013年モデルで一緒になる。ハードウェア的には、次期クーガにエスケープが統合されるかたちで。
フツーに考えたら日本仕様のエンジンは4気筒エコブーストになるはず。2012年春アヴェイラブルで、エスケープの場合1.6と2.0があり、どっちでもFFか4WDが選べるようだ。その場合クーガは欧州産だから「95RON」ガソリン、つまり日本ではハイオク指定スペックだけど、エスケープだったらレギュラー? なんてことになるんでしょうか。それとも、名前以外ほぼ同じ兄弟モデルだからどっちかに統一、みたいな? でも、エスケープは右ハンドル仕様、あるのかな? 両モデルともなのかどっちか一方だけなのかは聞かなかったけど、新型は来年中には日本へ導入されるそうです。以上、余談でした。
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価格はV6ヨンクと同じ440万円
日本仕様のエコブーストエンジン搭載モデル、正確には「エクスプローラー XLTエコブースト」の車両本体価格は440万円。3.5リッターV6で4WDの安いヤツ、すなわちエコブーストではないほうの「XLT」も、車両本体価格は440万円。
ヨンク関係がないぶん安いけど、エンジンがエコブーストなぶん高くて、差し引きプラマイゼロ……ではなくて、実はエコブーストはレザーシートが標準装備なのだ。V6のXLTは布オンリー。それにともなってということなのか、V6のXLTは運転席のみ6way電動調整機構付きだけど、エコブーストは運転席10way、助手席6wayの電動調整機構付きとなる。
でもやはりXLTはXLTで、例えば電動開閉テールゲートや電動パタパタ3列目シートはつかない。地味にオッと思うペダル位置調整機構(電動)もつかない。そういうのがついてないとどうしてもイヤな人は、プラス90万円払って上級グレードの「リミテッド」を買いましょう。わざわざインバーターを車内に持ち込むことなくACアウトレットにプラグをつないでパソコンを充電したい人も、リミテッドを買いましょう。あと……って、リミテッドの説明をするページではここはないですね(笑)。
今回借りた「XLTエコブースト」の前後重量は1110kg:910kg(車検証記載値)。そこから計算するとフロントの重量配分は約55%で、リミテッド(1190kg:980kg)とほぼ一緒。エンジン横置きのクルマとしてはバランス上、すごく前が軽い(もちろん絶対的な静荷重は十分あるわけだけど)。
なお、個体がその場になかったので車検証はチェックしてないけど、V6ヨンクのXLTのカタログ記載の車重は2130kg。それと比べると110kg軽いXLTエコブースト。さて乗ってみると……。
V6ヨンクと直4FFの違い
ナンか全然フツーなんですけど。アクセルペダルの踏み込みに対して、エンジンをフリーかそれに近い状態でサッと回して回転を上げてやっている状況がV6ヨンクのモデルの場合はわりとあって、「ま、こんなもんか」と思っていたけど、この4気筒だとそれがあまり、またはほとんどない。要は、エンジンにラクをさせていない。なのに、ヘーゼンと走る。グーッと走る。いかな直噴でターボつきとはいえ、車重2トン超に2リッター。フツーに走らせているかぎり、これじゃあどっちが大排気量モデルなのかにわかにはワカラン感じ。
「4気筒でじゅぅーぶんですよ。わかってくださいよ」と、これは映画『ブレードランナー』に出てくるソバ屋のオヤジのモノマネで。そんな、懇願するまでもない。トルクがあるからできること。
ところで、V6ヨンクとエコブースト(直4FF)、6段ATの各段のレシオは、5速の変速比がどっちも1.000である以外は全部違う。他の段は、いずれもV6ヨンクよりエコブーストのほうが加速重視タイプ。でも最終減速比はV6ヨンクのほうが加速重視タイプ。で、掛け算してみると……。例えば、6速×ファイナルの数字は2.50656と2.51538。どっちがどっちか忘れましたが、一方がエンジン回転1000rpmのとき相手は1003rpmぐらいの差なのでカンケーないレベル。もちろんというか、タイヤ外径の差は考慮の必要なし。なにしろサイズ同じ。
つまり、FFとヨンクの違い、正直わかりませんでした。パッと乗って最初のうちはお尻の下の後ろのほうがナンかスースー寂しい感じがしたけれど、いまとなっては気のせいレベル。思いこみ。別にナンも、問題ないっしょ。
「ヨンクは、フツーに走ってても、けっこうヨンクになってますよ」とはフォードのスタッフ談。なぜそんなことがわかるかというと、ヨンクのエクスプローラーでは計器盤内のディスプレイ(向かって右端にあるほう)にトランスファークラッチの作動状況を表示させることができる。モードを適宜に選ぶと。俺はそれ、知りませんでした。今度借りたらゼヒ見てみよう。
気になる燃費は?
マリーナベイホテルを出て杉田から首都高に上がり、大黒埠頭(ふとう)方面へ。撮影場所の海釣り公園までのジャスト20km、区間タイム23分36秒だから平均速度は……51km/h弱。最後の1kmは本気で数字を出しにいく走りをしましたが、平均燃費7.9リッター/100km、つまり約12.7km/リッター。記録更新。
撮影終了後、大黒埠頭から首都高を今度は羽田方面へ。川崎でグルッと回って横羽線で戻ってきて、杉田で降りるまでの48.3km区間。平均速度64.4km/hで、ついに出ました7.6リッター/100km。ナニが「ついに」かというとリッター13km超え。13.15km/リッターとか。そこからちょっとした渋滞に突入し、燃費計をリセットしないままさらに11分30秒かかって3.1km走って、ホテルに着いた時点では8リッター/100km、つまり12.5km/リッター。
ちなみにV6ヨンクの燃費は、ザックリいうと「おとなしく走ったらリッター10kmは……」ぐらいの感じ。「……超えるよな」と。実際におとなしく走った区間の燃費というのをメモったことがないのでアレですが、時と場所を得たなら100kmあたりなんとか9リッター台に入れる自信はあります。燃費計(横バーグラフ伸び縮みの瞬間燃費と、縦棒イッポンの区間平均燃費のダブル表示モードはオススメ)を見ながら合計800kmぐらい運転した経験からして。
タダというかデモというかヤハリというか、ある速さ(周囲のクルマに迷惑をかける“動くパイロン”にならないだけの速さ)を保って走るなかで、「あーいま無駄に燃料吹かせちゃった!!」ってなりにくいということでは断然、エコブーストのほうが運転しやすい。し、速い。でもって実際、燃費も確実にイイ。どうやら、かなりベター。
デカくて快適なのがお好きなら
あらためてエクスプローラー、ナニモノかというと、要はアメリカを代表するフツーのクルマのひとつだと思う。アチラの感覚では、ちょっと大きめの。いわゆるミニバンは「所帯じみてるからちょっと……」な人たちが選ぶ、SUVタイプの大勢乗りの乗用車。そういうのに対して、実に合理的なハードウェア構成のクルマに現行型はなった。
旧型からのモデルチェンジっぷりの激しさは、俺に言わせたら「テレビがブラウン管から液晶になったみたい」。その意味ではすごく新しい。けれど、乗っていてパキパキぎすぎすした感じはない。トバせばすごいけど、基本ゆったり系。それはエコブーストでも同じで、というか、もっとノンビリ系とも言えて……。デカくて快適なのがお好きなら、ゼヒ一度ご試乗を。最新の本場モノ。440万円の値づけと装備内容は、おそらく「トヨタ・アルファード」の売れ線仕様あたりをも意識している。って、アタリマエっちゃあアタリマエですが。
エコブーストのプレス試乗会へはもう一度行った。2度めは初日の4日後で、偶然なんだけど初日に乗ったのと同じ個体をドライブした。走行1100kmが2000km弱まで増えて、そのためかステアリング系における「V6ヨンクより電動クサい?」な感じはなくなっていた。低速から手応えをギュッと締めにかかるようなワザとらしさが消えたのと、あとはそう、油圧モノっぽくエッジをうまくボカした感じのアシストの入りかた。そのへんの印象は、「ユニットも制御も特に変えてないはずです」という説明どおり……かな。フロント軸重、けっこう違うけど。
なお、エコブーストもV6ヨンクも、現行型日本仕様エクスプローラーにはいまのところGPSナビ機能がない。というか使えない。あと、iPodをBluetoothとかでつないで音楽を聴くことはできるけど、少なくともメイン画面用には日本語フォントというものがまったくないので表示がヤワ。
といって市販品を別にポンづけして売るわけにもいかなくて(なぜそうなのかはダッシュボードの写真を参照ヨロシク)、目下対応のための作業をやってます。対応完了の暁にはレトロフィット……というかナビなしで売られたクルマもあとからナビありにバージョンアップできること“前提で”。とフォードの人は言っておりました。
バージョンアップ、ホントにやったらすごいと思う。
(文=森慶太/写真=郡大二郎、フォード・ジャパン・リミテッド)

森 慶太
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