フェラーリ・カリフォルニアT(後編)
2016.06.02 谷口信輝の新車試乗 SUPER GTやD1グランプリなど、数々のモータースポーツシーンで活躍中のレーシングドライバー、谷口信輝が、歯に衣を着せず、本音でクルマを語り尽くす! 今回も引き続き、「フェラーリ・カリフォルニアT」に試乗する。3.9リッターのV8ターボユニットの力強さと洗練されたフィールに感銘を受けた谷口。雨の箱根でFRの跳ね馬に挑むも、そう簡単に乗りこなさせてはもらえなかった……。限界を教えてくれない!?
カリフォルニアTに搭載されるV8 3.9リッターエンジンはフェラーリの新時代を告げるターボチャージャー付き。同じ流れをくむエンジンが「488GTB」にも搭載されているが、ちまたでは過給エンジンの回転フィールやエキゾーストノートについてさまざまな議論が交わされている。その意味では、いま最もエポックメイキングなパワーユニットといえなくもないが、谷口は560ps/7500rpmと77.0kgm/4750rpmを生み出すこのエンジンを大いに気に入ったようだった。
「いま、そこをちょっと走りだしたくらいでも、すごい力強さを感じる。全然アクセルを踏んだわけじゃないんですよ。ちょっと踏んだだけ。そんなふうにすーっと走っていくだけでも、ものすごい分厚いトルク感がある。馬にたとえると、サラブレッドみたいに華奢(きゃしゃ)な競走馬じゃなくて、『北斗の拳』のラオウの愛馬みたいな、ぶっとい感じ。本当に力強いですね」
「しかも、回していってもターボラグとかは全然感じない。というか、ターボくささが全然しないですよね、このエンジンは」
そこに、前編で褒めちぎったギアボックスが組み合わされるわけだから、パワートレインが絶品であることは間違いなさそうだ。
「だからね、あんまり飛ばしてなくても気持ちよくて、すっごい上等なクルマに乗っているって感触がヒシヒシと伝わってくるんですよ」
それでも谷口は全然攻める気にならなかったと前編の冒頭で述べている。なぜだろうか?
「クルマのほうから『もっと攻めても大丈夫ですよ』みたいな信号を全然出してくれていない。もしかすると、本当は攻めてもちゃんと耐えてくれるかもしれないんですよ。でも、それをクルマが教えてくれている感じがしない。少なくとも僕にはわかりませんでした」
もっとも、フェラーリが持つ“特別さ”が、谷口をそんな気持ちにさせたのではないかとの推測も成り立つ。
「まあ、正直、車両の値段は関係しているかもしれませんね。それに、運転していてなんともいえない刺激感もあるから、いきなり乗ってポンと限界まで攻めようという気にはなりませんでした」
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