【F1 2016 続報】第12戦ドイツGP「ハミルトン4連勝で後半戦へ」
2016.08.01 自動車ニュース![]() |
2016年7月31日、ドイツのホッケンハイムリンクで行われたF1世界選手権第12戦ドイツGP。1週間前の前戦ハンガリーGPでポイントリーダーとなったルイス・ハミルトンに、ランキング2位に落ちたニコ・ロズベルグがどう勝負を挑んでくるか。注目のレースは、スタートで早くも雌雄が決してしまった。
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■シーズン後半につなげる重要な1戦
昨年はニュルブルクリンクが開催を断念したため、F1がドイツにやってくるのは2年ぶり。今年はニュルと隔年でドイツGPを開いているホッケンハイムリンクが舞台だ。1930年代にはメルセデス・ベンツのテストコースとして使われていた、シルバーアローのホームであり、そのマシンを駆るニコ・ロズベルグにとっても母国GPとなる。
前戦ハンガリーGPで、勝利と、開幕以来守り続けてきたポイントリーダーの座を宿敵ルイス・ハミルトンに奪われたロズベルグ。シーズン序盤の4連勝で築いた43点ものリードは、11戦を消化して6点のビハインドになってしまった。
メルセデスの同士打ちが起きた第5戦スペインGPより後の6戦を見ると、ハミルトン5勝に対しロズベルグは1勝のみ。集めたポイントはハミルトン135点、ロズベルグは86点と、いま波に乗っているのは明らかにハミルトンの方である。
長い夏休みを前にした最後の1戦、ロズベルグは何としても勝利というかたちで反撃に転じ、失った勢いを取り戻したかった。一方ハミルトンとしては、ロズベルグを完膚なきまでに打ちのめし、このまま一気に差をつけたかった。タイトルを目指す2人にとって、ドイツGPはシーズン後半につながる重要な1戦となった。
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■メルセデス同士のポール対決、ロズベルグに軍配
2002年の大改修により超高速コースから中高速コースに生まれ変わったホッケンハイム。それでもターン2から6までの「パラボリカ」と呼ばれるゆるやかなカーブなど全開で駆け抜ける場所は残されており、パワーユニットの力が必要とされるサーキットであることに変わりはない。
となれば、強心臓を持つメルセデス勢の独断場になる。チャンピオンチームは3回のフリー走行すべてで1-2を記録。そのすべてでトップタイムをマークしたのはロズベルグだった。
しかし予選になるとハミルトンが反攻しQ1、Q2と最速タイムをたたき出す。さらにQ3ではロズベルグのマシンに電気系の異常が発生し、最初のアタックを断念しなければならず、その間にハミルトンが暫定首位に立っていた。プレッシャーのかかる中、ロズベルグはなんとかトップタイムを更新し1位に。それを上回ろうと飛ばすハミルトンは、ヘアピンでタイヤをロックさせてしまい2位に甘んじることとなった。
2列目は3戦連続でレッドブルが占拠し、ダニエル・リカルド3位、マックス・フェルスタッペン4位。3列目にはフェラーリの2台が並び、キミ・ライコネン5位、地元ドイツの雄セバスチャン・ベッテルは6位だった。その後ろにはメルセデス製パワーユニット勢が続き、ウィリアムズはバルテリ・ボッタス7位(ニコ・ヒュルケンベルグのタイヤ規定違反ペナルティーで1つ繰り上げ)、フェリッペ・マッサ10位、フォースインディア勢のヒュルケンベルグ8位、セルジオ・ペレスは9位につけた。
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■ロズベルグ、スタートに失敗し4位に後退
予選まで順調にトップの座を守っていたロズベルグが、肝心のレースのスタートで失敗した。抜群の蹴り出しで首位を奪ったのはハミルトン。フェルスタッペンは2位に上がり、リカルドは3位をキープ、ポールシッターのロズベルグはといえば、ホイールスピンが多く4位に脱落してしまい、背後のフェラーリにも抜かれそうになりながらオープニングラップを終えた。
多くが3ストップ作戦を採った今回、12周目にフェルスタッペン、ロズベルグがタイヤ交換の口火を切った。各車最初のピットストップを終えると、上位の順位は変わらないものの、1位ハミルトン(ソフト)、2位フェルスタッペン(スーパーソフト)、3位リカルド(ソフト)、4位ロズベルグ(スーパーソフト)と、各陣営が2人のドライバーに異なるタイヤを履かせてきた。
レース中盤、ロズベルグにまたしても逆風が吹く。4位走行中のロズベルグは、レッドブルをアンダーカットしようと28周目に2度目のピットストップに踏み切った。これに応じて、スーパーソフトに手を焼いていたフェルスタッペンも翌周ピットに飛び込み、ロズベルグの前でコースに復帰した。ロズベルグは諦めず、ヘアピンでフェルスタッペンのインを突き、メルセデスがレッドブルの前に出ることに成功した。
しかしロズベルグのこのオーバーテイクは、フェルスタッペンをコース外に押しやるほどの強引さを伴うもので、これを見たレーススチュワードは、審議の結果、ロズベルグに5秒加算のペナルティーを科すことを決めたのだった。
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■ハミルトン、過去7戦で6勝
2回目のピットストップ後、1位ハミルトン(スーパーソフト)、2位ロズベルグ(ソフト)、3位フェルスタッペン(ソフト)、4位リカルド(スーパーソフト)というオーダーとなったが、ロズベルグには次のピットストップでペナルティーが待っていた。そして速い方のスーパーソフトタイヤを履くリカルドは、早々にフェルスタッペンを抜き3位に上がるとロズベルグのテールを追った。
45周目、ロズベルグが最後のタイヤ交換+5秒ペナルティーを受ける。各車が3度目のピット作業を済ませると、1位ハミルトン、2位リカルド、3位フェルスタッペン、4位ロズベルグとなり、ロズベルグの手からポディウムがこぼれた。
スタートで最大のライバルが消えたことで楽な戦いとなったハミルトンは、終盤スーパーソフトでスパートをかける2位リカルドとの間隔をコントロールし、1度も首位を譲らず完勝。これで7月の4レース全勝、直近の7戦で6勝と文句なしの戦績を残したことになる。
一方故郷で錦を飾るどころか散々なレースを披露してしまったロズベルグは、ハミルトンに19点もの差をつけられてしまった。サマーブレイクの間、この後味の悪さを忘れ、残る後半9戦に向けて心機一転、出直したいところだが……。
次の第13戦ベルギーGP決勝は、夏休み明けの8月28日に行われる。
(文=bg)