日産GT-Rトラックエディション engineered by nismo(4WD/6AT)
好き者にはたまらない 2016.12.27 試乗記 「日産GT-R」のラインナップのなかでも、標準仕様のルックスの下にNISMOチューンのボディーとアシを隠し持った特異なキャラクターの「トラックエディション engineered by nismo」。マニア心を刺激する、このグレードならではの魅力をリポートする。“田村GT-R”の集大成
「MY17」と称される最新GT-Rのカタログには計5つのグレードがあるが、“乗り味”を条件にすると3種に分類される。
快適性も強く意識された標準仕様というべきは、価格で下から3つめまで。具体的には「ピュアエディション」「ブラックエディション」「プレミアムエディション」である。逆にスピードを徹底追求して乗り味的にも究極的にイッてしまっているのが、最高価格の「NISMO」である。
今回の「トラックエディション」は価格でも乗り味でも、標準仕様と「NISMO」の中間的な存在だ。その正式グレード名にはさらに脚注っぽく「engineered by nismo」なる文言が続くのだが、その文言がトラックエディションのけっこうなミソでもある。
GT-Rの開発責任者が、それまでの水野和敏氏から現在の田村宏志氏に交代したのは2013年なので、「MY14」以降が“田村GT-R”ということになる。水野GT-Rがニュル一辺倒(!?)だったのに対して、一般道での走りの質感を強く意識した味つけを持ち込んだのが、田村GT-Rの大きな特徴である。
水野GT-Rがかたくなに「ニュルは標準仕様でアタックすべし」とのこだわりを貫いていたが、田村GT-Rは初年度から標準仕様とは別仕立てのニュルアタッカーとしてNISMOを新設定した。田村GT-Rの体現せんとするところは、この事実ひとつからも、なんとなく理解できるだろう。トラックエディションが登場したのは、さらに翌年のMY15だった。
GT-R開発チームはその後、軌道修正しながら田村GT-R本来の姿を、あらためて確立すべく大幅改良作業に着手する。そういう経緯もあって、GT-Rには「MY16」と類別すべきモデルは存在せず、1年間の空白を経たMY17で、田村GT-Rはひとつの集大成をむかえることになった。