「トヨタ・カムリ」がフルモデルチェンジ

2017.07.10 自動車ニュース 鈴木 真人
「トヨタ・カムリG“レザーパッケージ”」
「トヨタ・カムリG“レザーパッケージ”」拡大

トヨタ自動車は2017年7月10日、ミドルサイズセダン「カムリ」の新型を発表。同日、販売を開始した。

2017年のデトロイトショーでデビューした新型「カムリ」。日本ではハイブリッドモデルのみが販売される。
2017年のデトロイトショーでデビューした新型「カムリ」。日本ではハイブリッドモデルのみが販売される。拡大
リアまわりは、車体のワイドさを強調するようにデザインされている。
リアまわりは、車体のワイドさを強調するようにデザインされている。拡大
インテリアは、左右非対称デザインのセンターパネルが特徴。広々とした前方視界が確保される。
インテリアは、左右非対称デザインのセンターパネルが特徴。広々とした前方視界が確保される。拡大
先代に比べ、全長は35mm、ホイールベースは50mmアップ。一方で全高は25mm低められている。
先代に比べ、全長は35mm、ホイールベースは50mmアップ。一方で全高は25mm低められている。拡大

初の“ALL NEW TNGA”モデル

カムリは世界100カ国以上で販売されているグローバルモデル。特に北米では圧倒的な人気を誇り、ベストセラーカーの座を守り続けている。セダン人気が低迷している日本では苦戦を強いられているが、2011年以来のフルモデルチェンジで存在感の向上を狙う。

「官能へと、極まる。」が開発コンセプト。性能(走りや乗り心地などクルマとしての基本性能)と智能(ちのう:先進技術を用いた環境性能や安全性)を突き詰めることで、官能性を高める狙いだ。数値では表現できない価値を追求し、五感に訴える上質なセダンを目指した。

開発のベースとなったのは、トヨタが進めるクルマづくりの構造改革たる「TNGA(Toyota New Global Architecture)」。すでに「プリウス」や「C-HR」でも採用されているが、カムリは初のALL NEW TNGAモデルを標榜(ひょうぼう)する。プラットフォームに加えてパワートレインも一体的に開発することで、TNGAのポテンシャルをフルに引き出すことが可能になったという。

ボディーサイズは全長×全幅×全高=4885×1840×1445mmで、ホイールベースは2825mm。低重心パッケージの恩恵で、全高は従来モデルよりも25mm、エンジンフード高は40mm低くなった。フロア高が20mm下がったことにより乗員のヒップポイントも低くなり、十分な室内空間が保たれている。さらに、エンジンマウント位置を見直すなどして低重心化も図られた。ハイブリッドバッテリーの搭載位置を下げたことは、荷室容量の拡大にも貢献している。

デザイン面にも低重心プラットフォームが生かされている。「“Sensual-Smart” CONFIDENCE」というコンセプトのもとに、セダンの実用価値を保持しながらクーペに匹敵する「官能的な動感」を追求した。フロントフェイスにはトヨタのアイデンティティーであるキーンルックを用いて、ワイドなスタンスを強調している。

安全性の高さも新型「カムリ」のセリングポイントのひとつ。「Toyota Safety Sense P」が全車に標準装備される。写真は、レーダークルーズコントロールの操作スイッチ。
安全性の高さも新型「カムリ」のセリングポイントのひとつ。「Toyota Safety Sense P」が全車に標準装備される。写真は、レーダークルーズコントロールの操作スイッチ。拡大
ハイブリッドユニットは、新開発の2.5リッター直4エンジンがベース。JC08モードの燃費値は、先代よりも30%以上アップした。
ハイブリッドユニットは、新開発の2.5リッター直4エンジンがベース。JC08モードの燃費値は、先代よりも30%以上アップした。拡大
シート表皮はレザーまたはファブリック。レザー仕様では、ブラックのインテリアカラーに加えて、写真のベージュも選択できる。
シート表皮はレザーまたはファブリック。レザー仕様では、ブラックのインテリアカラーに加えて、写真のベージュも選択できる。拡大
発表会場では、新型「カムリ」のチーフエンジニアを務める勝又正人氏(写真左端)、トヨタ自動車の専務役員である吉田守孝氏(左から2番目)とともに、カムリのアンバサダーに就任した演出家のテリー伊藤氏(右端)も登壇。「ニューカムリは大人が楽しめて、乗りこなせるクルマ。ぜひ、家族や仲間、恋人と思い出をつくってほしい」などとコメントした。
発表会場では、新型「カムリ」のチーフエンジニアを務める勝又正人氏(写真左端)、トヨタ自動車の専務役員である吉田守孝氏(左から2番目)とともに、カムリのアンバサダーに就任した演出家のテリー伊藤氏(右端)も登壇。「ニューカムリは大人が楽しめて、乗りこなせるクルマ。ぜひ、家族や仲間、恋人と思い出をつくってほしい」などとコメントした。拡大

新エンジンでスポーティーな走りと低燃費を追求

先代と同様、日本で販売されるのはハイブリッドモデルのみ。「Dynamic Force Engine」と名付けられた新型2.5リッター直4エンジンは、世界トップレベルの最大熱効率41%を誇る。吸気ポート形状の工夫などで高吸気効率と高タンブルを両立させ、熱効率を高めた。

プリウスでも使われている最新ハイブリッドシステムの「THS II」と組み合わせることにより、優れた動力性能と低燃費を得たという。最高出力211psのパワーユニットで、スポーティーな走りと、最高33.4km/リッター(「X」グレードのJC08モード値)の低燃費を実現した。

最新の先進安全装備「Toyota Safety Sense P」が全車に標準装備されているのもトピック。ミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせで、クルマだけでなく歩行者も認識して衝突回避を支援する。「プリクラッシュセーフティシステム」「レーンディパーチャーアラート」「オートマチックハイビーム」「レーダークルーズコントロール」という4つの機能のパッケージだ。

さらに安全性を高めるオプションの用意もある。アクセルの踏み間違いなどで起きる衝突被害を軽減する「インテリジェントクリアランスソナー」、後退時に死角を検知する「リアクロストラフィックアラート」と自動的にブレーキ制御を行う「リアクロストラフィックオートブレーキ」、車線変更時の後方確認をサポートする「ブラインドスポットモニター」が設定されている。

インテリアには新しい室内配色の手法「フレックスコーディネーション」が取り入れられた。これは複数の色や素材を用い、室内の統一感を保ちながらコーディネートするもので、ブラックとベージュの2タイプがある。ボディーカラーについては、エモーショナルレッドやダークブルーマイカメタリックを含む7種類がラインナップされる。

カムリのラインナップと価格は、以下の通り。

  • X:329万4000円
  • G:349万9200円
  • G“レザーパッケージ”:419万5800円

(文=鈴木真人)

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