ホンダ・ステップワゴン スパーダ ハイブリッドG・EX Honda SENSING(FF)
より上質に、力強く 2017.10.25 試乗記 ホンダのミドルクラス箱型ミニバン「ステップワゴン」に、いよいよハイブリッドモデルが登場。「アコード」や「オデッセイ」ゆずりのパワープラントが搭載された新グレードは、高級ミニバンに比肩する快適さと力強さを備えていた。待望のハイブリッド
ステップワゴンにもハイブリッドが出た。2015年4月の登場以来、ダウンサイジングターボの新型1.5リッター1本で通してきたシリーズに、アップサイジングの2リッターハイブリッドが加わったのが、今度のマイナーチェンジの目玉である。
ハイブリッドが搭載されたのは、「スパーダ」系。これまで販売の6~7割を占めていた上級シリーズだ。現行オデッセイにハイブリッドが追加されたのは2016年2月だが、以来、6割の販売シェアを占めているという。ミドルクラス以上のホンダミニバンでも、ハイブリッドが待望されているのだ。
ステップワゴンに載るのは、オデッセイと同じ「スポーツハイブリッドi-MMD」である。駆動用モーターは前輪に直結されている。クラッチを挟んでもう1基のモーターは発電専用のジェネレーターで、駆動用モーターに直接給電したり、バッテリーを充電したりする。エンジンは高効率なアトキンソンサイクルの2リッター4気筒だが、これは基本的にジェネレーター用の原動機と考えていい。現行アコードで初めて出たこの2モーター式ハイブリッドをほぼオデッセイ仕様のまま搭載したという。
第一印象はアルファード!
3グレードあるハイブリッドのうち、今回試乗したのは、最上級の「スパーダG・EX Honda SENSING」(355万9680円)である。シリーズ全モデルに運転支援システムが標準装備されたのも、マイナーチェンジの要目だ。
試乗車は、新色のシックなモスグリーン。ドアを開けると、オプションのレザーシートが付いていた。となると、ドアの重さまでこれまでのステップワゴンより重厚な気がしたが、あとで確認したら、ドアは何も変えていないそうだ。
1996年の初代から知っていると、本革シート付きのステップワゴンなんて、浦島太郎気分である。さらに備え付けの仕様書を見て驚いた。試乗車はオプション込みで約420万円である。
ダッシュボードのATセレクターが、電気接点の短いコントローラーに代わるのが操作系の大きな違いだ。システムをオンにして、スタートする。何十メートルか、何百メートルか走ったところでの第一印象。これは“ホンダのアルファード”だ!
ハイブリッドユニット搭載にあたって、ボディーやシャシーにも新たな対策が施されている。リチウムイオンバッテリーが置かれる前席アンダーフロア部を中心に補強が加えられ、ボディーの静剛性は1.5リッターより8.5%向上したという。フレームの前後にはパフォーマンスダンパーが付いた。走行中のボディーの細かな振動を減衰するヤマハパテントの車体制振ダンパーだ。遮音対策はさらに入念に施され、サスペンションもハイブリッド専用チューンとなる。
1.5リッターとは走りが違う
こういったスペックがどれだけ実を結んでいるかをチェックするのが“試乗”だが、たしかに走りだしてすぐ、ボディーと足まわりが1.5リッターより明らかに上等になっていることがわかった。いい家に引っ越した感じである。
このハイブリッドシステムは、3つのモードを自動的に使い分ける。モーターのみで走るEVドライブ、エンジンでジェネレーターを回し、その電気でモーターを駆動するハイブリッドドライブ、クラッチを締結してエンジンのみで走るエンジンドライブ。EVドライブ時は静かで、力強い。遮音がいいから、エンジンが回りだしても粛々と走る。1.5リッターと比べると、圧倒的に静かで、地力に勝る。
145psのエンジン、184psのモーターというアウトプットは最新のオデッセイとまったく同じだが、1810~1880kgのオデッセイに対して、ステップワゴンは1780~1820kgとわずかに軽い。当然、動力性能も有利なはずだ。
90分枠の試乗会では、高速道路を走る時間がなかった。そのかわり、峠を急ぎ足で往復した。重いバッテリーを床下の低い位置に“ミドシップ”したせいか、ワインディングロードでも意外や腰高感はない。上り坂でも力はある。1.8tオーバーでも、“走れるミニバン”である。
ハイブリッドの豊かさが際立つ
上にも開き、一部、横にも開く「わくわくゲート」は、ステップワゴンのキラー装備だ。購買理由の柱にもなっているという。
ただ、ドアの中にドアを持つ構造だから、テールゲート全体を開け閉めする上開き時はかなり重い。特に閉め切るとき、妙に力がいる。高いハイブリッド系には電動開閉機構がほしかったところだ。
キャビンは2列目にキャプテンシートを備える3列7座。ハイブリッド化で失ったものは、唯一、2列目シートのつま先のスペースで、バッテリー搭載のため1列目の床が上がり、シートの下に足が入れられなくなった。でも、2列目のキャプテンシートは、一番後ろまで下げるとラクに脚が組めるフロア面積を持つから、大した問題ではない。この位置にバッテリーを収めたおかげで、最後尾の床下に収納される3列目のマジックシートは健在だ。
この日は、比較のために1.5リッターFFの最上級モデル「スパーダ クールスピリット」にも乗った。筆者はベーシックモデルや、少しでも安いグレードに味方したくなる緊縮財政ライターだが、直接乗り比べると、動力性能でも乗り心地でも、ハイブリッドの豊かさが際立った。というか、ハイブリッドのステップワゴンは、見事に高級ミニバンに化けていた。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=荒川正幸/編集=堀田剛資)
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テスト車のデータ
ホンダ・ステップワゴン スパーダ ハイブリッドG・EX Honda SENSING
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4760×1695×1840mm
ホイールベース:2890mm
車重:1820kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
エンジン最高出力:145ps(107kW)/6200rpm
エンジン最大トルク:175Nm(17.8kgm)/4000rpm
モーター最高出力:184ps(135kW)/5000-6000rpm
モーター最大トルク:315Nm(32.1kgm)/0-2000rpm
タイヤ:(前)205/60R16 92H/(後)205/60R16 92H(ブリヂストン・トランザER33)
燃費:25.0km/リッター(JC08モード)/20.0km/リッター(WLTCモード)、18.8km/リッター(市街地モード:WLTC-L)、21.7km/リッター(郊外モード:WLTC-M)、19.5km/リッター(高速道路モード:WLTC-H)
価格:355万9680円/テスト車=418万5900円
オプション装備:ボディーカラー<フォレストグリーン・パール>(3万7800円)/本革シート&100V AC電源<1500W>(17万5340円)/Hondaインターナビ+リンクアップフリー+ETC車載器<ナビゲーション連動>(29万6440円) ※以下、販売店オプション フロアカーペットマット(5万7240円)/ドライブレコーダー(3万0240円)/ハンズフリースライドドア(2万9160円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:1664km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
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