トヨタが新型タクシー「ジャパンタクシー」を発表
2017.10.24 自動車ニュース![]() |
トヨタ自動車は2017年10月23日、新たなタクシー車両である「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」を発表した。
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キーワードは「おもてなしの心」
ジャパンタクシーは、日本の「おもてなしの心」を反映し、誰にとっても優しく快適なタクシー専用車として開発された新型車であり、タクシーなどを中心にビジネスカーとして活躍してきた「クラウン セダン/クラウン コンフォート」などの後続車にあたる。
ユニークなトールワゴンスタイルについては、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインであるとともに、利用客が一目でタクシーであると認識でき、さらに流行に左右されないロングライフなものを目指したという。このため、フロントマスクにはタクシー向けクラウンのフロントマスクをほうふつとさせるダミーグリルを採用。リアまわりにも、タクシーの定番であるセダンの形を連想させるため、あえて“段付き”を取り入れている。ボディーサイズは大きく見えるが、実際には全長×全幅×全高=4400× 1695×1750mmと5ナンバーの枠をキープ。取り回しにも配慮している。
乗車定員はドライバーを含め5人。キャビンは大きな窓が特徴の開放的な空間に仕上げられている。特に後席については、1065mmの前後席間距離と230mmのヘッドクリアランスを確保。体の大きさに左右されず、誰もが快適に移動できるよう配慮がなされている。
また、乗降時に主として利用する左側のリアドアは、開口幅×開口高=720×1300mmの大開口電動スライドドアとなっており、フロア高が320mmという低床フラットフロアとも相まって、優れたアクセス性を実現している。また車いす利用者をそのまま乗車させられる着脱式専用スロープを備えており、この際にもドライバーと車いす利用者を含め、最大3人の乗車を可能としている。
ラゲッジスペースにはスーツケースなら平積みで2個、ゴルフバックなら4個の収納が可能な401リッターの容量を確保。狭い場所でも積み下ろしができるよう、テールゲートを開閉する際に必要となる車両後方の長さは560mmに抑えてた。
タクシーとしての機能性に加え、燃費や安全性も重視
シャシーはコンパクトミニバン「シエンタ」をベースとしたものだが、タクシー向けにさまざまな部分に強化や改良が加えられており、特に足まわりは、乗り心地と耐久性、メンテナンス性を考慮し、新たに設計された。パワープラントはシステム最高出力100psを発生する新開発のLPGハイブリッドシステムで、JC08モード計測で19.4km/リッターという燃費性能を実現。こちらも強化タイプの駆動用バッテリーが組み合わされるなど、そのメカニズムはしっかり“タクシー専用仕様”となっている。
トヨタが推進する先進安全運転支援機能もしっかり搭載されており、衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」を全車に標準装備。さらに、アクセルの踏み間違いによる衝突被害軽減に寄与する「インテリジェントクリアランスソナー」がオプションで用意される。このほかにも、6つのエアバックを標準で備えるなど、従来のモデルから安全性能が大幅に高められた。
グレード構成は、黒バンパー仕様の標準モデル「和(なごみ)」と、リアシートヒーターやリア専用サーキュレーターなどを備えた上級モデル「匠(たくみ)」の2タイプ。ボディーカラーは、「ブラック」「スーパーホワイト」「深藍(こいあい)」の3色を設定する。価格は、327万7800円~349万9200円。なお、自家用車としても購入は可能となっている。
東京・台場で行われた発表会では、トヨタ自動車の豊田章男社長が登壇。自身が幼い頃、タクシードライバーになることが夢だったことを明かすなど、タクシーへの深い思いを語りながら、新型車を積極的にアピールした。
またタクシー業界を代表して登壇した全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋一朗会長も、「2020年までに東京のタクシーの3台に1台をジャパンタクシーにしたい」とコメント。これが実現すれば、3年後には都内だけでも約1万台のジャパンタクシーが活躍することとなり、タクシー業界としても積極的に同車を採用し、増加が期待される海外からの観光客を中心に、日本のタクシーならではのおもてなしを提供していく意気込みを見せた。
(文=大音安弘/写真=大音安弘、webCG)