【東京モーターショー2017】日産のブースは電動化モデルずくめ
2017.10.26 自動車ニュース 拡大 |
日産自動車は2017年10月25日に開幕した第45回東京モーターショーにおいて、クロスオーバーEVのコンセプトモデル「IMx」や、ハイブリッドシステムを搭載したミニバン「セレナe-POWER」などを披露した。
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IMxは単なる構想にとどまらない
ブース天井からスパイラル状のオプジェをつり下げ、東京ビッグサイトの東展示場の中にあっても際立って広いスペースを確保するなど、一見して“やる気”の強さが感じられたのが日産ブース。
が、何とも間の悪いことに完成検査にまつわる例の“不祥事”が発覚したのがショーの直前。すでに準備が整っていたこともあってか「出展中止」の事態は免れたものの、プレスデー初日の10時45分から始まったカンファレンスでは、まずは冒頭2分ほどの時間が“謝罪会見”に費やされることとなった。
東京モーターショーを主催する、日本自動車工業会の会長でもある日産の西川廣人(さいかわひろと)社長が、モーターショー期間中の会長職務代行をトヨタの豊田章男社長に依頼したということもあり、このカンファレンスの舞台に登壇したのは西川社長ではなく、日本やアジア、オセアニア事業を担当しているダニエレ・スキラッチ副社長。日本の流儀で深々と頭を下げた後は一転、日産が将来に向けて展開する、電動化モデルを中心とした「日産インテリジェントモビリティー」について、声高にプレゼンテーションをスタートさせた。
まず会場が暗転すると同時に流されたのが、「カント」と呼ばれるいかにも未来的な電子音。これは、この先各国で電動車に必要となる歩行者に向けた車両接近通報音。端的に言って、少なくともトヨタが「プリウス」などに採用するあの“おどろおどろしい”音色よりは、はるかに耳に心地(?)良い。
「いずれこの音色が世界中で鳴り響くでしょう」と、日産の電動化モデルの普及に自信を見せるスキラッチ副社長は、次いで日産インテリジェントモビリティーを代表する新型「リーフ」や「ノートe-POWER」。そして、来春に発売予定というセレナe-POWERを次々と紹介。特にセレナe-POWERは「『プロパイロット』と組み合わせることで、日産インテリジェントモビリティーの重要なモデルになる」と予告した。
再度会場が暗転した後に登場したのが、このショーで世界初披露となるコンセプトモデルのIMx。2基のモーターが発生する計320kWという大パワーと600kmの航続距離をうたうこのピュアEVは単なる構想にはとどまらず、「極めて近い将来のゼロエミッション・クロスオーバーカー」という触れ込みもつくものだ。
「日産の将来のモビリティーの世界観のひとつでもある」と説明されたこのモデルは、3サイズが全長×全幅×全高=4700×1880×1620mmと、なるほど確かに“現実的”だ。
「フォーミュラEに参戦」というトピックもあったものの、こちらは実質的には現在参戦中のルノーと交代というもので、正直なところ「驚くには足らず」というニュースだ。
一方、2018年の量産化が予定されている可変圧縮比エンジンの話題に全く触れなかったことについては、EVのリーダーであり続けたいという、現在の日産の強い思いを感じさせられた一方で、「もはや内燃機関には見切りをつけた」というその作為的なアピールの方法に、ちょっとばかりの拙速感を抱かされてしまったのもまた事実であった。
(文=河村康彦)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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