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これからは声が決め手!
CES 2018に見る「次世代コックピット」

2018.01.19 デイリーコラム 鈴木 ケンイチ
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いずれはインパネ全面が液晶に!?

2018年1月9日~12日にラスベガスで開催された「CES 2018」に、初めて取材で訪れた。CESとはコンシューマー・エレクトロニクス・ショーの略であり、本筋は家庭用の電気製品だ。ざっと斜めに見ただけでも、次世代通信の5G、VRを利用した次世代エンターテインメント、ドローン、スマートスピーカー対応家電などがひしめきあっており、展示ブースがオープンされる4日間すべてをかけても、全部はとても見切れないほどたくさんの製品と最新技術が展示されていた。

そして自動車関連の最新技術も家電に負けず劣らず、大量に見ることができた。レーザーレーダーやデジタルマップのような自動運転に必要な技術から、次世代のインストゥルメントパネル、数多くのモニターをコントロールするCPU、情報通信の際に必須となるセキュリティー技術など、まさに百花繚乱(りょうらん)である。

その中で、筆者が気になったのが「次世代のコックピット」だ。クルマとドライバーのインターフェースは、これからどうなるのか? 

会場では、さまざまな次世代コックピットのコンセプトが展示されていたが、どれも一様に、非常に大きなモニターを備えている。ディスプレイ自体は、極薄でありながら非常に明るく、しかも湾曲面に表示することも可能だ。インパネ全体がディスプレイになるのも、そう遠い未来の話ではないだろう。

サイドミラーをカメラで代用した場合、側方の映像はそうしたインパネ前面ディスプレイの一部に表示させるのだが、コンチネンタルでは面白い提案があった。ドライバーの顔の向きをセンサーで認識し、サイドミラーをのぞき込むときのように頭や顔を動かすと、それに連動してディスプレイ上の表示も変化するのだ。さらにコンチネンタルでは、ディスプレイの表面に凹凸をつけて、触っただけでボタンの位置がわかる「3Dディスプレイ」という提案もあった。

コンチネンタル以外でも、ルームミラー部にサイドのカメラの映像を表示したり、ダッシュボードの上や天井にディスプレイを置いたり、数多くの次世代コックピットの展示が見られた。

砂漠の街でありながらも、会期中の2日間、ラスベガスは本降りの雨。その影響で展示ホールが停電になるというハプニングが発生した。
砂漠の街でありながらも、会期中の2日間、ラスベガスは本降りの雨。その影響で展示ホールが停電になるというハプニングが発生した。拡大
コンチネンタルが提案するインパネ全面形のディスプレイ。左右両端にはサイドミラー代わりの表示部がある。
コンチネンタルが提案するインパネ全面形のディスプレイ。左右両端にはサイドミラー代わりの表示部がある。拡大
こちらは、ルネサス社の展示。サイドミラー代わりの表示モニターは、ダッシュボードの上に設置されている。
こちらは、ルネサス社の展示。サイドミラー代わりの表示モニターは、ダッシュボードの上に設置されている。拡大

クルマは「しゃべって乗る」時代に

日産はドライバーの脳波をセンシングして、ドライバーの運転操作にコンマ数秒先んじて意思を察知、運転操作をシステムがアシストすることで、よりドライバーのイメージに合った走りを実現する運転支援技術を発表した。これも次世代のコックピットにおける、新しいHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)の提案といえるだろう。

しかし、次世代コックピットの真打ちというべきは、音声での操作だろう。カーナビやオーディオ、ニュースなどのインフォテインメントだけでなく、エアコンの設定など、さまざまな操作をすべて声でコントロールするのだ。声での操作は、今でもある程度始まっているが、未来ではさらに、それが進化する。音声認識などの技術を備えたニュアンス社の提案は、アップル社のSiriや、Google Home、Amazon Echoなども、一括してクルマからの音声コントロールが可能になるというものであった。例えば、スマートフォンに入力しておいたスケジュールを読み上げる。声を文字にして、それをメールで送信する。自宅の家電や鍵などをクルマの中から操作する。すべて声で済ませてしまうのだ。

またニュアンス社の最新の技術を使えば、クルマに備わるシステムだけで、サーバーを介した場合と同程度の精度で音声認識ができるという。ネットでつながっていなくても高精度の音声認識ができてしまう。それだけでも驚きだ。

音響メーカーであるボーズは、そうした車内での音声認識を高める技術も提案していた。車内で、大音量で音楽やラジオを流していても、ドライバーの声だけを抽出して、電話に伝えることができるという技術だ。車内のオーディオの音は、どれだけ大きくても、車内のアンプを通して出力されている。つまり、その“アンプ経由の音”を選んで消音し、ドライバーの声だけをクリアに抽出することが可能なのだ。

ちなみにCES 2018では、Google HomeやAmazon Echoといったスマートスピーカー対応の家電たちが、新製品として非常に多く出品されていた。照明から鍵、エアコン、カメラ、オーディオなど、多彩なラインナップが文字通りに山のように置かれた。日本では、スマートスピーカーが販売されるようになって間もないが、アメリカはすっかり定着している。家の中の用事がすべて声で済ませられるなら、クルマの中も同じように声で! となるのだろう。クルマの中での操作が声で済ませる方向に向かうのも、当然のことではないだろうか。

(文と写真=鈴木ケンイチ/編集=関 顕也)

グーグルのブース内部。数多くのスマート家電が展示されていた。
グーグルのブース内部。数多くのスマート家電が展示されていた。拡大
Google Homeを使うときの合言葉は「Hey Google」!
Google Homeを使うときの合言葉は「Hey Google」!拡大
最新の音声認識技術を披露するニュアンス社のスタッフ。ニュアンスでの呼び名は「ドラゴン・ドライブ」だ。
最新の音声認識技術を披露するニュアンス社のスタッフ。ニュアンスでの呼び名は「ドラゴン・ドライブ」だ。拡大
鈴木 ケンイチ

鈴木 ケンイチ

1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

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