「ロールス・ロイス・カリナン」
拡大 |
英ロールス・ロイス・モーター・カーズは2018年6月11日、ロールス・ロイス初のSUV「カリナン」を日本国内で初披露した。
ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋リージョナル・ディレクターのポール・ハリス氏(写真右)とロールス・ロイス・モーター・カーズ カリナン商品企画マネージャーのジョン・シアーズ氏。
拡大 |
ハッチゲートを持つ「カリナン」だが、ロールス・ロイスではそのボディー形状を3ボックスタイプと呼んでいる。
拡大 |
後席が3人掛けとなるラウンジシート仕様車の荷室容量は、600リッター。後席の背もたれを倒すことで最大1930リッターにまで拡大できる。
拡大 |
待ち望まれていたロールス・ロイス
高級SUVの元祖である「レンジローバー」を、俗に「砂漠のロールス・ロイス」と呼ぶことがあるが、今後その表現は使えなくなった。言うまでもなく、本家ロールス・ロイスが砂漠も走れる本格的SUVであるカリナンをリリースしてしまったからである。
ベントレーやランボルギーニに続いて、ついにロールス・ロイスからも登場した究極の高級SUVであるカリナン。だが、映画『アラビアのロレンス』で知られる英国陸軍将校の砂漠での戦いに、ロールス・ロイス製装甲車が貢献した実話があるように、ロールス・ロイスとSUVは、意外やそう遠くない組み合わせなのかもしれない。
冒険する際にも、妥協のないぜいたくな空間を楽しみながら、どんな地形、場所でも快適に走破できるクルマ、という顧客からの要望に応えて生まれたモデルであり、史上最も待ち望まれていたロールス・ロイスともうたわれるカリナン。ロールス・ロイスといえば、セダンやリムジンであっても背の高いモデルを見慣れているせいか、SUVならではの高い車高に大径のホイール/タイヤを持つ車体とパルテノングリルのマッチングに、あまり違和感はない。
ロールス初となる、SUVには必須のテールゲートを備えながらも、テールに短いノッチを持つようにも見えるボディー。後席とラゲッジスペースの間に、ちょうどリムジンの前後席間を仕切るようなガラス製パーティションを備えることで(「個人シート」仕様の場合)、SUV初となる「3ボックスのハイボディー」とロールスでは主張している。そのサイズは全長×全幅×全高=5340×2000×1835mmで、ホイールベースは3295mmである。
左右対称のデザインが採用されたインストゥルメントパネル。
拡大 |
「個人シート」と呼ばれる独立型の後席。荷室との間は、パーティションにより仕切られる。
拡大 |
こちらは「ラウンジシート」。ベンチ型の作りで、3人掛けとなる。
拡大 |
リアシートは2種類用意
シャシーは「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」と名付けられた、新世代のオールアルミ製プラットフォームをベースに開発。サスペンション形式はフロントがダブルウイッシュボーン、リアが5リンクで、自動レベリング式エアサスペンションシステムを構築。パワーユニットは、最高出力571ps/5000rpm、最大トルク850Nm/1600rpmを発生する6.75リッター12気筒ツインターボエンジン。ロールス・ロイス初となる4WDシステムを介して、空車重量2660kg(欧州仕様車)のボディーを電子制御リミッターが利く250km/hまで引っ張る。燃費はNEDC複合モードで15.0リッター/100km(約6.7km/リッター)と公表されている。
バリエーションは、後席の形式により大別して2種。後席が3人掛けベンチタイプの「ラウンジシート」と、2人掛け独立シートの「個人シート」が用意される。前者のラウンジシートには、ロールス・ロイス初となる後席の折り畳み機構が備わっており、通常600リッターのラゲッジスペースを1930リッターまで拡大することが可能。荷室の前後長は、高級SUV「レンジローバー ヴォーグ」のロングホイールベース版より長い2245mmが確保される。個人シートの場合、ラゲッジ容量は526リッターとなるが、ガラス製のパーティションでキャビンと荷室を仕切ることにより、3ボックス車としてのさらに静粛で快適な居住空間を実現したという。
SUVとしてクラス有数のオンロード性能を保証しつつ、すべての地形において、ロールス・ロイスを紹介する際の決まり文句である“魔法のじゅうたん”のような乗り心地を実現した、まさに究極の高級・高性能SUVであるカリナン。日本市場での価格は3800万円となっている。
(文=沼田 亨)
関連キーワード:
カリナン,
ロールス・ロイス, 自動車ニュース