三菱RVRローデストG(FF/CVT)【試乗記】
愛玩乗物 2011.07.20 試乗記 三菱RVRローデストG(FF/CVT)……273万3150円
三菱のドレスアップ仕様「ローデスト」が「RVR」シリーズに登場。装備充実の上級グレード「G」に試乗した。
見た目勝負のスペシャルモデル
三菱自動車のコンパクトSUVたる「RVR」に「ローデスト」という高価格なモデルが追加された。オプション部品を標準装備して、主に外観を着飾ったスペシャルモデルである。
ノーマルモデルとの違いは、以下のようになる。「ROADEST」のエンブレムを付加したフロントのグリルとバンパーは専用デザインに。その両端にはLEDのデイタイムランニングライトを装備。サイドのベルトラインとドアハンドルにはメッキが光り輝く。リアバンパーも専用品となり、排気パイプの周辺にはヒートプロテクターを装備。さらに、ハッチゲートにも「ROADEST」のエンブレムが与えられる。
室内では、サイドシルに専用のスカッフプレートが貼られ、センターコンソールやシフトパネルはピアノブラックのものに。エアコンのダイヤルなどには、クロームのリングがつく。
またローデスト専用のメーカーオプションとして、RAYS製の17インチ専用アルミホイールが設定される。ボディカラーはチタニウムグレーメタリックとブラックマイカ、ホワイトパールの3色のみの設定だ。
いっぽう基本的な“中身”のほうはといえば、エンジンは1.8リッターのDOHC直列4気筒で、139psと17.5mkgのパワー/トルク値は変更なし。カタログ上の重量増加はないが、テスト車はオプション装備の追加で20kgほど重い1380kgとなっている。価格はエントリーグレード「M」のFF車で223万6500円。今回テストした上級グレード「G」のFF車で242万8650円。4WD車はさらに26万2500円高くなる。
絶対値がすべてじゃない
それまでの日本車の例に従えば2リッター以上のエンジンが搭載されるであろうところ、昨今見られる「小排気量エンジンによる高効率化」などを反映してか、RVRは1.8リッターのパワーユニットを採用。燃費をより稼ぐ作戦と見受けられる。ローデストというモデルは、そうした燃費重視の走りに加え、派手な装飾パーツで所有欲を刺激し、ユーザーにより大きな満足感を提供するという販売戦略のモデルである。
実質的な性能向上は望めなくとも、着飾ることをよしとするオーナーは確実に存在する。そのようにクルマを愛玩することはクルマを大切に扱うことにも通じるから、決して悪くはない。20kgの重量増加も、代償としてはわずかなものかもしれない。
ここで、最近の欧州車の傾向と比べてみよう。欧州というと日本ではドイツを参考にしがちだが、そのドイツを含めフランスもイタリアも、いやEU全体で、高速道路の130km/h制限が一般化しつつある。日本はおおむね100km/hではあるが、現実にはもう少し速く走っているクルマもある。だから同じくらいかというと、実際1時間に移動できる距離は80kmでしかない。一般道となると、都市部では20kmそこそこ、よくても30kmほどしか進めない(最近では車載のドライビングコンピューターも普及しているから、自身の平均速度などよくご承知のかたも多いと思う)。
欧州では高速道路で120km、一般道で60km位は普通に移動できる。そんな計算が成り立つのである。
なにを言いたいかというと、最近の欧州車は全体的にギアリングが高められており、100km/h走行時に2000rpmを下回るクルマも増えてきているのだ。静粛性や経済性の見地からも、当然のことではある。そうなると常用回転域の上限は2000rpm〜2500rpmということになり、メーカーも、とくにアイドリングから2000rpm以下でのトルク増強には熱心である。エンジンは上まで回さず、変速機をうまく使って速度を上げていく、そんな使い方が想定されている。
要は、トルクアップは使い方次第。速く走るにしても燃費を稼ぐにしても、有利なことは変わらない。逆に、トルクを下げたら燃費アップは望めない。この傾向は、絶対的に排気量の大きなエンジンにおいても同様だ。
チューニングに期待が膨らむ
この考えをRVRローデストに当てはめてみるなら、数字のうえでは1.8リッターの排気量でも十分に高性能である。ただ、低速トルクは目立って強力なわけではないし、CVTのトランスミッションは、負荷を与えたところでギア比の低い領域にはなかなか移行せず、高いままの状態を保ちがち。車体が重く、動き出しがやや緩慢なようにも感じられる。初めはゆっくり目に発進させておいて、惰性を利用する要領で転がせば、その後の中高速域は元気で高効率を味わえる……という考え方のようだ。
それには、Dレンジ入れっぱなしよりは、手動で積極的にギアを選んで走る方が合っている。足まわりのセッティングも、微低速の乗り心地より少し高い速度域での操縦安定性をより重視する設定になっている。ローデストは、漫然と流れに乗るような怠惰な運転ではなく、SUVとしてはコンパクトなサイズを生かし、より積極的に能力を引き出してやるような運転法が似合うクルマである。
しかし、低速域でもっと元気に、かつ実用域の燃費も……と考えると、もう少し違ったチューニングもありそうな気がする。
ターボ技術には膨大なデータ蓄積のあるメーカーゆえ、たとえばエンジン排気量を1.6にして直噴、ターボ過給して……なんてことは容易に想像できる。あるいは、もうすでに完成しているのかもしれない。発表のタイミングを図るのも企業には大切だろうが、われわれ野次馬からしてみればどんどん先手を打ってもらいたいところ。エンジンの新開発にはコストもかかるだろう。ユーザーにとっても購入価格は安い方がいい。そこで「とりあえず既存の1.8リッターを使って安価で提供しておく」という作戦なら、理解もできる。
先に挙げた欧州車は近年、ボンネットにアルミを採用する実用車も増えた。軽量化はさまざまな点で有効だ。ローデストも、エアロパーツだけでなく、アルミボンネットなどをメニューに加えてほしかった。全車に採用するのはまだ先としても、こうしたスペシャル仕様なればこそ、多少価格が高くなっても内容で納得できるユーザーは、快く理解を示すのではなかろうか。
(文=笹目二朗/写真=荒川正幸)

笹目 二朗
-
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.9.2 BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.9.1 2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。
-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
NEW
北米産の800万円級SUV「トヨタ・ハイランダー」「日産ムラーノ」「ホンダ・パスポート」で一番“買い”なのはどれか?
2026.9.4デイリーコラム特例により国内導入されることになった北米生産のジャパニーズSUVは、3車種ともにサイズと価格帯が接近している。では、そのなかで最も“買い”なのは? それぞれの仕様を見比べてみた。 -
ホンダがコンセプトモデル「アキュラ・ネクセラ ビジョン」を発表 次世代デザインを読み解く
2026.9.3デイリーコラム本田技研工業の米国現地法人アメリカン・ホンダモーターが、アキュラブランドの次世代デザインを示すというコンセプトモデル「ネクセラ ビジョン」を初公開した。バタフライドアを採用するこのスポーツカーは、次世代アキュラの何を表現しているのか。 -
BMW iX3 50 xDrive Mスポーツ(後編)
2026.9.3あの多田哲哉の自動車放談ワインディングロードで新型「BMW iX3」のステアリングを握った多田哲哉さんは、その走りに感心した様子。どんなところが優れているのか、トヨタのエンジニアの視点で語ってもらおう。 -
新型「三菱パジェロ」の外装・内装を写真でチェックする
2026.9.2画像・写真5年間のブランクを経て、三菱のフラッグシップSUV「パジェロ」がついに復活! 「グランドカリスマ -泰然自若-」をコンセプトにデザインされた本格クロスカントリーモデルは、どのような姿をしているのか? 内外装の詳細を、写真で紹介する。 -
復活の決め手はこっくりさん!? 新生「三菱パジェロ」誕生の経緯とその狙い
2026.9.2デイリーコラム5年間の沈黙を経て、ついに登場した新型「三菱パジェロ」。スリーダイヤモンドが誇る荒野のフラッグシップは、いかにして復活を遂げたのか? 開発の経緯や内外装デザインの詳細、パワートレインに見るクルマの“狙い”をリポートする。 -
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。





























