フェラーリの快進撃にレッドブルの苦悩
白熱のF1 2018はここが見どころ
2018.07.27
デイリーコラム
打倒メルセデスのためにフェラーリが取った「秘策」
史上最多タイの21戦で争われる2018年のF1も、先のドイツGPで折り返しの11戦を終えた。今季前半戦は、5連覇を目指す王者メルセデスの4勝に対し、2008年以来のタイトル獲得に燃える挑戦者フェラーリも4勝と実力伯仲。コンストラクターズランキングでも、メルセデス310点対フェラーリ302点と僅差で首位の座を争っている。これに、3勝を記録しているレッドブルを加えた3強による白熱のシーズンが展開中である。
今季目覚ましい飛躍を遂げたのがフェラーリ。2017年の全20戦で5勝、5回のポールポジションという戦績を残したスクーデリアは、今年前半11戦だけで4勝とポール5回を記録した。その躍進の原動力となっているのが、進化したパワーユニットだ。
カナダGP、イギリスGPなど、これまでメルセデスが強さを発揮していたパワーサーキットでのレースでも、シルバーアローを上回るパフォーマンスを披露。特に超高速シルバーストーンでのイギリスGPでは、予選でフェラーリを駆るセバスチャン・ベッテルが、メルセデスの雄、ルイス・ハミルトンのポールタイムに0.044秒差まで迫り、レースでは赤いマシンが1-3フィニッシュを決め、見事に“銀の牙城”を崩した。さらにカスタマーチームであるハース、ザウバーも、いまや予選Q3進出、さらにはポイントスコアラーの常連となりつつあり、パワーユニット戦争で形勢逆転が起きつつある。
このパワーユニットには、打倒メルセデスのためにフェラーリが取った「秘策」が隠されているという。内燃機関やターボ、回生システム「ERS」やバッテリーなど、さまざまな要素が複雑に絡み合うF1のパワーユニットにあって、フェラーリが着目したとされるのが、ERSの一部として運動エネルギーを回生する「MGU-K」と、畜電・放電を担うバッテリーの仕組みだった。ルール上、MGU-Kには回生・放出できるエネルギー量が決められており、センサーがそれをチェックしているのだが、フェラーリはバッテリーを二重化することで、レギュレーションの制限以上のアドバンテージを得ている……との嫌疑がシーズン序盤に持ち上がったのだ。調査に乗り出したFIA(国際自動車連盟)は、この「ツインバッテリー」を違法とはしなかったのだが、ライバルチームが「してやられた」と舌打ちしている様は容易に想像できる。
レッドブルのボス、クリスチャン・ホーナーも「今年のベンチマークだ」と認める強力なパワーユニットをもってすれば、夏休み明けに行われるベルギーGPのスパ・フランコルシャン、続く地元イタリアGPのモンツァなど、フェラーリが名うてのハイスピードコースで連勝する可能性もある。そうなれば、スクーデリアが久々のタイトルを手にすることができるかもしれない。
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