【F1 2018 続報】第17戦日本GP「勝者の貫禄、敗者の美学」

2018.10.07 自動車ニュース
F1第17戦日本GPを制したメルセデスのルイス・ハミルトン(写真右から2番目)、2位に入ったメルセデスのバルテリ・ボッタス(同左端)、3位でレースを終えたレッドブルのマックス・フェルスタッペン(同右端)。(Photo=Red Bull Racing)
F1第17戦日本GPを制したメルセデスのルイス・ハミルトン(写真右から2番目)、2位に入ったメルセデスのバルテリ・ボッタス(同左端)、3位でレースを終えたレッドブルのマックス・フェルスタッペン(同右端)。(Photo=Red Bull Racing)拡大

2018年10月7日、三重県の鈴鹿サーキットで行われたF1世界選手権第17戦日本GP。今シーズン前半を沸かせた「メルセデス対フェラーリ」の2強対決は、後半になるとスクーデリアが自滅を繰り返し、そしてシルバーアローがますますその強さを誇示したのだった。

スタートでトップを守ったポールシッターのハミルトン(写真先頭)。2位ボッタス、3位フェルスタッペンらの後ろでは、8番グリッドから出走したセバスチャン・ベッテルのフェラーリがトロロッソの2台をかわし、6位に上がった。(Photo=Red Bull Racing)
スタートでトップを守ったポールシッターのハミルトン(写真先頭)。2位ボッタス、3位フェルスタッペンらの後ろでは、8番グリッドから出走したセバスチャン・ベッテルのフェラーリがトロロッソの2台をかわし、6位に上がった。(Photo=Red Bull Racing)拡大
初日のフリー走行で「このトラックは最高だね!」と無線で叫んだメルセデスのハミルトン(写真)。文字通りに解釈すれば鈴鹿サーキットへの賛辞にもなるが、タイトルを争うフェラーリ&セバスチャン・ベッテルへの、自らの好調さを示すメッセージとも受け止められた。実際その後もハミルトン自身が「最高のパフォーマンス」を披露し、3回のフリー走行すべてでトップ、予選でも今季8回目、通算80回のポールポジションを獲得することに。さらにレースでは、パワーユニットに違和感を抱きつつもトップを快走。イタリアGPから4連勝、今シーズン9勝目、そしてメルセデス移籍後50回目の勝利を飾った。いまや勝者の貫禄を漂わせるハミルトンは、このレース6位に終わったベッテルとのポイント差を67点にまで拡大。早ければ次戦アメリカGPで、自身5度目のタイトル獲得を決められるところまできた。(Photo=Mercedes)
 
初日のフリー走行で「このトラックは最高だね!」と無線で叫んだメルセデスのハミルトン(写真)。文字通りに解釈すれば鈴鹿サーキットへの賛辞にもなるが、タイトルを争うフェラーリ&セバスチャン・ベッテルへの、自らの好調さを示すメッセージとも受け止められた。実際その後もハミルトン自身が「最高のパフォーマンス」を披露し、3回のフリー走行すべてでトップ、予選でも今季8回目、通算80回のポールポジションを獲得することに。さらにレースでは、パワーユニットに違和感を抱きつつもトップを快走。イタリアGPから4連勝、今シーズン9勝目、そしてメルセデス移籍後50回目の勝利を飾った。いまや勝者の貫禄を漂わせるハミルトンは、このレース6位に終わったベッテルとのポイント差を67点にまで拡大。早ければ次戦アメリカGPで、自身5度目のタイトル獲得を決められるところまできた。(Photo=Mercedes)
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前戦ロシアGPでメルセデスからのチームオーダーを受け、勝利を僚友ハミルトンに譲ったボッタス(写真)。鈴鹿ではチームメイトに終始リードされ、トップを奪ったのは予選Q2のみ。決勝では、2番グリッドからそのポジションをキープ。終盤にフェルスタッペンからの突き上げにあうも無事に乗り切り、2位でチェッカードフラッグを受け、メルセデスの1-2に貢献した。(Photo=Mercedes)
前戦ロシアGPでメルセデスからのチームオーダーを受け、勝利を僚友ハミルトンに譲ったボッタス(写真)。鈴鹿ではチームメイトに終始リードされ、トップを奪ったのは予選Q2のみ。決勝では、2番グリッドからそのポジションをキープ。終盤にフェルスタッペンからの突き上げにあうも無事に乗り切り、2位でチェッカードフラッグを受け、メルセデスの1-2に貢献した。(Photo=Mercedes)拡大

鈴鹿、30回目のメモリアルGP

ヨーロッパ発祥のF1にあって、ホンダが孤軍奮闘の末に世界一の座にまで上りつめた1980年代──日本人がその奮闘ぶりを目の当たりにできる機会は、1987年にようやく訪れた。この年の11月1日に行われた、鈴鹿サーキットでの最初の日本GPは、ウィリアムズ・ホンダを駆るネルソン・ピケとナイジェル・マンセルの激しいタイトル争いとなったのだが、予選でのマンセルのクラッシュ&欠場により早々にピケの戴冠が決定。レースではライバルのフェラーリ&ゲルハルト・ベルガーに優勝をさらわれ、サーキットのオーナーでもあるホンダにとってはやや微妙な結末となった。

こうして始まった鈴鹿でのF1は、2007年から2年間はトヨタに横やりを入れられ富士スピードウェイでの開催となったものの、今年30回目のメモリアルレースを迎えることとなった。

1980年代後半にはアイルトン・セナとアラン・プロストの歴史に残る対決(と接触)があり、1990年代にもミハエル・シューマッハーとデーモン・ヒル、ヒルとジャック・ビルヌーブらによる、チャンピオンを賭けたトップドライバー同士の一騎打ちが繰り広げられた。また1990年代後半からの、シューマッハーとミカ・ハッキネンによる激しくもフェアな戦いは見るものにスポーツの素晴らしさを伝え、2000年にハッキネンを倒し、フェラーリでの初タイトルを鈴鹿で決めたシューマッハーは、のちにここでの勝利を「生涯最高」と語っていたほどだった。

2004年は台風の影響で日曜日に予選・決勝を行う史上初の“ワンデーGP”として行われ、シューマッハーが鈴鹿で最多となる6勝目をマーク。2005年には、17番グリッドからスタートしたマクラーレンをドライブするキミ・ライコネンが最終周でトップを奪い大逆転勝利をおさめ、観客を大いに沸かせた。

また1990年に鈴木亜久里が、2012年には小林可夢偉が母国で3位表彰台を獲得。日本人初の“フルタイムF1ドライバー”中嶋 悟は、1987年の鈴鹿F1初戦で6位入賞を果たし、また4年後の引退レースでは、日本のパイオニアの最後の勇姿を見ようと多くのファンがサーキットに詰めかけた。さらに佐藤琢磨は、2002年から3年連続して鈴鹿で入賞。こうした日本人ドライバーの幾多の活躍も、記録と記憶に残っている。

数々の名勝負が繰り広げられた鈴鹿は、世界最高峰のドライバーが絶賛する名コースだ。息つく暇を与えない「S字」、ささいなミスでも大きな痛手となる「デグナー」、そしてバックストレート直後に全開で駆け抜ける「130R」と、チャレンジングなコーナーだらけ。コースと壁が近いこともあり、新人はもちろんベテランドライバーまでもクラッシュの餌食となる、難攻不落のサーキットである。

当初は入手困難なプラチナチケットだったものの、近年は観客数が落ち込み心配の種となっていた。しかし、今年からホンダがタイトルスポンサーとなり、また開催契約も2021年まで延長されることが発表された。ドライバーやチーム、マシンは時代とともに変われど、エントラントとして、またプロモーターとして、名実ともに日本のF1を支えているのは変わらずホンダ。そんな印象を強くした、30回目のメモリアルレースとなった。

タイトル争いとは無縁のレッドブルの“暴れん坊”フェルスタッペン(写真奥)は、フェラーリの2台を相手に丁々発止とやりあった。3番グリッドからスタートで3位をキープするも、オープニングラップのシケインでコースオフ。戻る際にキミ・ライコネン(同手前)と接触し、5秒加算のペナルティーを受けることに。セーフティーカー後、今度はベッテルとスプーンコーナーで当たったのだが、いずれでもポジションを失うことなく走り続け、鈴鹿で3年連続の表彰台となる3位でゴール。レース後、接触の責任は自分にはないと言い張っていたが、ベッテルらはそうは見ていないようである。(Photo=Red Bull Racing)
タイトル争いとは無縁のレッドブルの“暴れん坊”フェルスタッペン(写真奥)は、フェラーリの2台を相手に丁々発止とやりあった。3番グリッドからスタートで3位をキープするも、オープニングラップのシケインでコースオフ。戻る際にキミ・ライコネン(同手前)と接触し、5秒加算のペナルティーを受けることに。セーフティーカー後、今度はベッテルとスプーンコーナーで当たったのだが、いずれでもポジションを失うことなく走り続け、鈴鹿で3年連続の表彰台となる3位でゴール。レース後、接触の責任は自分にはないと言い張っていたが、ベッテルらはそうは見ていないようである。(Photo=Red Bull Racing)拡大
レッドブルのダニエル・リカルド(写真)は、予選Q2でスロットルアクチュエーターのトラブルが起き出走ならず、15番グリッド。セッション後、今年度重なるトラブルへのいら立ちを隠さなかったのだが、レースでは持ち前の切れ味あるドライビングが復活。抜きにくい鈴鹿でオーバーテイクを繰り返し、結果4位。笑顔が戻った。(Photo=Red Bull Racing)
レッドブルのダニエル・リカルド(写真)は、予選Q2でスロットルアクチュエーターのトラブルが起き出走ならず、15番グリッド。セッション後、今年度重なるトラブルへのいら立ちを隠さなかったのだが、レースでは持ち前の切れ味あるドライビングが復活。抜きにくい鈴鹿でオーバーテイクを繰り返し、結果4位。笑顔が戻った。(Photo=Red Bull Racing)拡大

メルセデスが予選で最前列独占、フェラーリは作戦失敗で後方に

残り5戦となった2018年のチャンピオンシップは、メルセデスのルイス・ハミルトンが前戦ロシアGPでチームメイトのバルテリ・ボッタスに譲られるかたちで3連勝を飾り、最大のライバルであるフェラーリのセバスチャン・ベッテルに対し50点ものリードを築いて日本にやってきた。鈴鹿でもその勢いにのって、ハミルトンは3回のフリー走行すべてでトップタイムをマーク。一方いよいよ苦しい立場に追い込まれたフェラーリは、一番やわらかいスーパーソフトタイヤを多く持ち込むというアグレッシブな作戦に打って出るも戦況は思わしくなく、ベッテルはタイヤのブリスター(火ぶくれ)やグリップ不足に悩まされた。

土曜午後の予選は、台風の影響もあり時折雨が降り、また強い風に見舞われる中行われたのだが、トップ10グリッドを決めるQ3が始まると、スクーデリアがまたしても自滅の道を歩んでしまう。路面のほとんどはドライで、これから天候が崩れるかもしれないという段階で、フェラーリの2台は弱雨用のインターミディエイトタイヤで出ていった。対してメルセデスを含むライバルチームはドライタイヤを選択。「これはドライだろ?」とベッテルにも指摘され、赤の軍団はアタックせずにタイヤを履き替える始末だった。

歯車がかみ合わないフェラーリを尻目に、ハミルトンが最速、ボッタスが2番手と、銀のチームが1-2。続く2度目のアタックのタイミングになると、今度は雨がひどくなり、結果、ハミルトンが今季8回目、鈴鹿で2回目のポールポジションを獲得。歴代最多ポール記録は節目の80回に達した。そして2位にボッタスがつけ、メルセデスは今シーズン6回目の最前列独占を実現した。

フェラーリは、ライコネンが悪化するコンディションの中でなんとか4位につけるも、ベッテルはスプーンカーブで大きくはみ出すなど一周をまとめきれず9位。エステバン・オコンの降格ペナルティーで8番グリッドに繰り上がったが、後方スタートの劣勢は否めなかった。

シルバーアローに次ぐ3位は、レッドブルのマックス・フェルスタッペン。僚友ダニエル・リカルドはQ2でパワーロスを訴え出走ならず、15番グリッドに沈んだ。5位と好位置につけたハースのロメ・グロジャンの後ろには、トロロッソの2台がつけ、ブレンドン・ハートレー6位、ピエール・ガスリー7位とホンダのお膝元で健闘した。レーシングポイント・フォースインディアのオコンは、フリー走行中の違反で8位から3グリッド降格。チームメイトのセルジオ・ペレスが9番グリッド、ザウバーのシャルル・ルクレールは10番グリッドにそれぞれ繰り上がった。

スポンサーのフィリップ・モリスとのコラボレーションによる新カラーリングを発表したフェラーリは、すべてが裏目に出てしまった。一番やわらかいスーパーソフトタイヤをしこたま用意し、ソフト、ミディアムを必要最低限しか持ち込まなかったのだが、いざ走り始めてみるとブリスター(火ぶくれ)とグリップ不足に悩まされ、メルセデスの後塵(こうじん)を拝し続けた。さらに変わりやすい天候の中行われた予選Q3では、ドライタイヤで出走したライバルとは逆の弱雨用インターミディエイトを選択。しかし路面はドライ向きで、アタックせずすぐさまピットへ。この余計な周回で時間を無駄にし、セッション後半に雨が降ったことでライコネン4位、ベッテル(写真)は9位、他車の降格ペナルティーで8番グリッドと後方に沈んだ。レースでは好スタートで4位まで上がったベッテルだったが、フェルスタッペンを抜く際に接触し最後尾に後退。6位まで挽回したものの、鈴鹿で失ったポイントは大きく、ハミルトンとの差は67点にまで拡大。自身5度目の戴冠はほぼ絶望的となった。ライコネンは、表彰台を狙える位置にいながらピットストップ作戦で足を引っ張られ5位。(Photo=Ferrari)
スポンサーのフィリップ・モリスとのコラボレーションによる新カラーリングを発表したフェラーリは、すべてが裏目に出てしまった。一番やわらかいスーパーソフトタイヤをしこたま用意し、ソフト、ミディアムを必要最低限しか持ち込まなかったのだが、いざ走り始めてみるとブリスター(火ぶくれ)とグリップ不足に悩まされ、メルセデスの後塵(こうじん)を拝し続けた。さらに変わりやすい天候の中行われた予選Q3では、ドライタイヤで出走したライバルとは逆の弱雨用インターミディエイトを選択。しかし路面はドライ向きで、アタックせずすぐさまピットへ。この余計な周回で時間を無駄にし、セッション後半に雨が降ったことでライコネン4位、ベッテル(写真)は9位、他車の降格ペナルティーで8番グリッドと後方に沈んだ。レースでは好スタートで4位まで上がったベッテルだったが、フェルスタッペンを抜く際に接触し最後尾に後退。6位まで挽回したものの、鈴鹿で失ったポイントは大きく、ハミルトンとの差は67点にまで拡大。自身5度目の戴冠はほぼ絶望的となった。ライコネンは、表彰台を狙える位置にいながらピットストップ作戦で足を引っ張られ5位。(Photo=Ferrari)拡大

ベッテル、アグレッシブに攻めて接触、最後尾へ

決勝日は前日と打って変わって秋晴れ。気温29度、路面温度は40度を超えるなど週末一番の暑さとなった。上位10台のうち、フロントローのメルセデスとグロジャン、ルクレールが真ん中の硬さのソフトタイヤ、その他は最もやわらかいスーパーソフトを履いて、53周レースへと旅立っていった。

シグナルが消えると、1位ハミルトンから5位グロジャンまでがグリッド順のままターン1へ。その後方では、ベッテルが好スタートを決めトロロッソの2台を抜き、さらにスプーンコーナーでグロジャンを豪快にオーバーテイク、一気に5位まで駒を進めた。続くシケインで3位フェルスタッペンが止まりきれずコースオフ、戻る際にライコネンと軽く接触したことで、ベッテルは4位に上昇、ライコネンは5位に後退。程なくして3位を走る“暴れん坊”フェルスタッペンに、5秒加算のペナルティーが言い渡された。

ハースのケビン・マグヌッセンのタイヤがブロー、コース上にマシンの破片が散らばったことでセーフティーカーが導入された。8周目にレースが再開すると、ここまでアグレッシブな走りを見せていたベッテルが、スプーンカーブでスピードに乗り切れていなかったフェルスタッペンのインに飛び込んだ。しかし2台は接触、フェルスタッペンはコースにとどまることができたものの、ハイリスクな動きを選んだベッテルはスピンしてコース外にはじき出され、最後尾19位からの挽回を余儀なくされた。

15番グリッドから瞬く間に入賞圏に入ってきたのはリカルドだった。13周目にはガスリーをかわし6位、翌周グロジャンを追い抜き5位にまでポジションを上げ、今度は4位ライコネンに照準を合わせたのだが、ここでもフェラーリの不手際があった。

18周目にライコネンがピットインし、スーパーソフトからミディアムに履き替えると、赤いマシンはトラフィックの中に戻されてしまい、前車を抜くために余計なタイムと労力をかけることに。その後、22周目に3位フェルスタッペンがソフトタイヤに換装しコースに復帰すると、ペナルティーで5秒長く止まったにも関わらず、レッドブルはフェラーリの前に入ることができた。ライコネンは表彰台を狙える好機を生かせなかったばかりか、その後さらにリカルドにも先行を許し、5位に後退した。

ロメ・グロジャン(写真)は、現役ドライバーの中でリードラップがハミルトン、ベッテルに次いで多い(26周)というゲンのいい鈴鹿で、今季10戦連続となるQ3進出を果たし、予選5位と好位置につけた。レースでは、リカルド、ベッテルら3強ドライバーの追い上げにあい、またペレスに抜かれてしまい8位入賞。惜しい結果となったが、コンストラクターズランキングで4位ルノーを11点差で追っていたハースは、その差を8点にまで縮めることができた。(Photo=Haas)
ロメ・グロジャン(写真)は、現役ドライバーの中でリードラップがハミルトン、ベッテルに次いで多い(26周)というゲンのいい鈴鹿で、今季10戦連続となるQ3進出を果たし、予選5位と好位置につけた。レースでは、リカルド、ベッテルら3強ドライバーの追い上げにあい、またペレスに抜かれてしまい8位入賞。惜しい結果となったが、コンストラクターズランキングで4位ルノーを11点差で追っていたハースは、その差を8点にまで縮めることができた。(Photo=Haas)拡大
ただでさえプレッシャーのかかるお膝元の鈴鹿サーキットにあって、ホンダは1週間前のロシアGPでいったん取り下げた新型「スペック3」パワーユニットを完調にしなければならないという重責を負うことに。フリー走行では、ピエール・ガスリー(写真)がパワー低下などを訴え周回数を伸ばすことができなかったが、雨と風で難しいコンディションの中で行われた予選では、トロロッソはハンガリーGP以来となる2台そろってのQ3進出に成功。ブレンドン・ハートレーはキャリアベストの6位、ガスリーは7位と健闘した。レースでは、ガスリーが6~7位にとどまり、30周してピットインしソフトタイヤを履くと、35周して再びポイント圏の10位まで順位を戻した。しかし前を走る強敵レーシングポイント・フォースインディア勢を攻略できず、逆に終盤カルロス・サインツJr.に抜かれてしまい11位。惜しくも入賞を逃した。ハートレーは早々にポイント圏外に後退してから挽回できず、13位完走。(Photo=Toro Rosso)
ただでさえプレッシャーのかかるお膝元の鈴鹿サーキットにあって、ホンダは1週間前のロシアGPでいったん取り下げた新型「スペック3」パワーユニットを完調にしなければならないという重責を負うことに。フリー走行では、ピエール・ガスリー(写真)がパワー低下などを訴え周回数を伸ばすことができなかったが、雨と風で難しいコンディションの中で行われた予選では、トロロッソはハンガリーGP以来となる2台そろってのQ3進出に成功。ブレンドン・ハートレーはキャリアベストの6位、ガスリーは7位と健闘した。レースでは、ガスリーが6~7位にとどまり、30周してピットインしソフトタイヤを履くと、35周して再びポイント圏の10位まで順位を戻した。しかし前を走る強敵レーシングポイント・フォースインディア勢を攻略できず、逆に終盤カルロス・サインツJr.に抜かれてしまい11位。惜しくも入賞を逃した。ハートレーは早々にポイント圏外に後退してから挽回できず、13位完走。(Photo=Toro Rosso)拡大

ハミルトン、4連勝で早ければ次戦タイトル決定

メルセデス勢は、24周目にボッタス、次いでハミルトンをピットへと呼び、双方にミディアムタイヤを与えてコースに戻した。これで上位陣のタイヤ交換が一巡し、1位ハミルトン、4秒半差で2位ボッタス、トップから15秒遅れて3位フェルスタッペン、4位リカルド、5位ライコネンという位置関係となった。

順調に周回を重ねているかに見えた首位ハミルトンは、ペースこそ悪くはなかったものの、パワーユニットに違和感を覚えていた。2位にチームメイトを従えている状況では、ハミルトンの敵はマシンやパワーユニットの信頼性のみ。とはいえ、メルセデスも終盤にきて3位フェルスタッペンの猛追にあい、ボッタスが防戦に追われた際には少々肝を冷やしたに違いない。

昨年に続き鈴鹿でポール・トゥ・ウィンを達成したハミルトンは、9月の第14戦イタリアGPから負けなしの4連勝。このレースを6位で終えたベッテルに対し、67点もの差をつけることができた。残り4戦で得られるポイントは最大で100点。つまり次戦アメリカGPでハミルトンが優勝、ベッテルが3位となれば、ハミルトンの5度目のタイトルが決まる計算になる。勝者の貫禄を漂わせるハミルトン&メルセデスにとって、5連勝することは十分可能に見える。しかし、いまのベッテル&フェラーリが逆転勝利を飾ることは、残念ながらなかなか想像しづらいのではないだろうか。

鈴鹿での30回のF1では、15人の勝者が誕生してきたが、その陰では数多くの敗者も生まれてきた。昨年もここで苦杯をなめたフェラーリが、また同じように惨敗を繰り返したことに、マシンのみならず組織としての脆弱(ぜいじゃく)さを指摘せずにはいられない。追い詰められた末、「自分たちは、無謀であってもギャンブルに出るしかない」という意識しかフェラーリにないとすれば、その戦い方はあまりに稚拙にすぎないだろうか。仮にも、選手権が始まった年から参戦している、歴史と伝統ある最古参チームなのだ。正攻法で戦い、気持ちよく敗れるという「敗者の美学」を求めても、決して酷ではないはずなのだが。

次からはアメリカ大陸での戦いが3回続く。第18戦アメリカGPの決勝は、10月22日に行われる。

(文=bg)

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