元祖クロカン「ジープ・ラングラー」が11年ぶりにモデルチェンジ
2018.10.25 自動車ニュース![]() |
FCAジャパンは2018年10月25日、ジープブランドの本格クロスカントリーモデルである新型「ラングラー」の日本導入を発表した。発売は同年11月23日で、価格は459万円~530万円となる。
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まずは3モデルのラインナップでスタート
ジープのアイコン的存在であるラングラーが11年ぶりに全面改良された。従来型のイメージを強く受け継ぐエクステリアから単なるフェイスリフトモデルと疑いたくなるが、さにあらず。中身は劇的な進化を遂げており、悪路走破性能の強化と日常性向上の両面において、大きなアップデートが施された。
ボディータイプは、4ドアの「アンリミテッド」と2ドアのショートボディーの2種類。ただし後者は受注生産となる。主力となるアンリミテッドのボディーサイズは、全長×全幅×全高=4870×1895×1845mm(「スポーツ」グレードの値)、ホイールベース=3010mmと堂々たるもの。現行型比では、全長が165mm、全幅が15mm、ホイールベースが65mm拡大している。一方、より機動力に優れる2ドアは、全長×全幅×全高=4320×1895×1825mm、ホイールベース=2460mmとなっている。
グレード構成は、2ドアは「スポーツ」のみ、4ドアのアンリミテッドが「スポーツ」と「サハラ ローンチエディション」の2タイプとなる。このうち、ローンチエディションは、LEDライトシステムなどを備える上級グレード「サハラ」をベースとした導入記念特別仕様車で、レザーシート、前席シートヒーター、ステアリングヒーターなどを追加したものだ。
各モデルの価格は以下の通り。
- スポーツ:459万円
- アンリミテッド スポーツ:494万円
- アンリミテッド サハラ ローンチエディション:530万円
伝統のデザインと先進の装備を融合
懐かしさを覚えるデザインには、ラングラーの祖先である1955年誕生の民間用ジープ「CJ-5」のモチーフが積極的に取り入れられた。最も色濃く反映されているのがフロントマスクのデザインで、“セブンスロットグリル”に食い込んだ丸形ヘッドライトや逆台形のフロントフェイシアなどが特徴となっている。また、従来モデルからオープンドライブも楽しめる着脱式ハードトップ「フリーダムトップ」を継承。軽量化に加えて構造も見直すことで、より簡単に取り外しを可能としたほか、着脱式ルーフの弱点となりがちな雨漏り対策もしっかりと強化されている。
インテリアも、車両状況をつかみやすい水平基調のダッシュボードを中心に、「CJ」シリーズをほうふつとさせるデザインでまとめられているが、装備や機能は一気にモダナイズされた。具体的には、2眼式のアナログメーターパネルに7インチのフルカラーインフォメーションディスプレイを追加したほか、インフォテインメントシステムには最新世代の「Uconnect」を採用。オーディオやBluetooth機能などに加え、スマートフォンの各種機能を車載機器で操作できるようにする、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応している。システムは2タイプあり、スポーツがナビレスの7インチタッチパネルと8スピーカーの組み合わせ、サハラ ローンチエディションがナビゲーションシステム付き8.4インチVGAタッチパネルと、アルパイン製9スピーカー(ウーファー付き)の組み合わせとなる。
ターボエンジンとフルタイム四駆の採用に注目
行動力の源となるパワートレインには、改良を加えた3.6リッターV6 DOHCエンジンに加え、ダウンサイズユニットとなる新開発の2リッター直列4気筒ターボエンジンを「アンリミテッド スポーツ」に採用。V6が最高出力284ps/6400rpm、最大トルク347Nm/4100rpm、燃料消費率9.2~9.6km/リッター(JC08モード)となっているのに対し、直4ターボは最高出力272ps/5250rpm、最大トルク400Nm/3000rpm、燃料消費率11.5km/リッター(JC08モード)と、最大トルクと燃費性能でダウンサイズターボの強みを見せつけている。トランスミッションは全車トルコン式の8段AT。燃料が全車レギュラー仕様であることも付け加えておきたい。
クロカンのキモである4WDシステムにも手が加えられており、日本仕様ではラングラー史上初となる「フルタイムオンデマンド4×4システム」が全車に搭載された。この新機構はフルタイム4WDとパートタイム4WDの機能を併せ持ったもので、「4H AUTO」モードでは路面や天候状況に応じて前後軸の駆動力を自動で最適に配分。オン・オフ問わず快適で安全な走りを実現する便利なものだ。もちろんパートタイムモードも備えており、状況に合わせて「4H」と「4L」をマニュアル操作で選択可能。この際にはセンターデフロックが作動し、強力なトランクションが発生する。最小回転半径も4ドアが6.2m(従来型は7.1m)、2ドアが5.3m(同6.0m)と大幅に小さくなり、取り回しもしやすくなった。
ボディーパネルの軽量化にも取り組んでおり、ドアやフェンダーなどをアルミニウム化。またスイングゲートの骨格部分などにマグネシウムを使用するなど、強度にも配慮している。この結果、先代では2t超えだったアンリミテッドのボディーは、1.9t台へとシェイプアップした。
最後にクロカンとしての基本性能に触れておくと、最低地上高は200mmで、アプローチアングルは44°、ブレークオーバーアングルは27.8°(2ドア)、デパーチャーアングルは37°。渡河性能762mmで、けん引最大能力は1589kgとアナウンスされている。
クロカンとしての基本性能を磨き上げつつ、SUV的な利便性や快適性も高めてきた新型ラングラー。しかし、ボディー・オン・フレームの車体構造に前後リジッド式のサスペンション、水洗い可能なフロアなどを見れば、その軸足が依然として荒野に置かれていることは間違いない。すでに紹介した3モデルに加え、来春以降の予定で悪路走破性能を突き詰めた「ルビコン」の導入も計画されている。
(文=大音安弘/写真=FCAジャパン)