今度の7代目は買いなのか?
新型「スバル・レガシィ」に思うこと
2019.02.22
デイリーコラム
サイズとデザインは好印象
シカゴモーターショーでベールを脱いだ次期型7代目「レガシィ」(セダン)。現時点で分かっていることは限られているが、“スバリスト”目線の偏った(?)感想を述べさせていただく。
まずはエクステリア。基本的にはキープコンセプトなので違和感はなく、洗練度を増した印象を受ける。ボディーサイズは意外と肥大化しておらず、日本仕様の現行型「レガシィB4」と比べて、全長が40mm伸びただけだ。ホイールベースは2750mmで現行型と変わらず。前後のオーバーハングが伸びたということになるが、プラットフォームはもちろん新世代のSGP(スバルグローバルプラットフォーム)で、全面刷新。ボディー骨格を組み立ててからアウターパネルを溶接するフルインナーフレーム構造が初めて採用されるなど、これまでのSGP車から一歩踏み込んだものになっている。
歴代レガシィを乗り継いでいるユーザーからは、「フロントまわりからAピラーにかけてのデザインに名車の誉れ高い4代目モデルの面影がある」と評されるなど、筆者の知る範囲では、おおむね現行型より好評だ。リアビューについては「現行型『インプレッサG4』に酷似」との声もあるが、同じブランドのセダンのデザインが似たものになるのは世界的な傾向でもある。
レガシィは5代目モデルで肥大化と北米市場への傾注が明らかとなり、現行型の6代目では、レガシィの代名詞でもあった「ツーリングワゴン」が消滅。パワートレインからはターボエンジンとMTがなくなり、日本仕様は6気筒も設定されなくなったことで、「良くも悪くも4代目モデルまでのレガシィとは別のクルマになった」と認識するスバリストは多い。
レガシィに、昔のような過激な類いのスポーツ性を求める向きには「レヴォーグ」と「WRX S4」がその受け皿になっていることもあって、レガシィに対してある意味“諦めの境地”に達してしまったファンも少なくない。しかし、次期型はボディーサイズの拡大が最小限だったことと、デザインに4代目モデルを思い出させてくれる部分が見られるのは、サプライズともいえるうれしいポイントだ。
いよいよ6気筒は絶望的
インテリアについては、「今どきの主流となっている大型ディスプレイを中心としたデザイン」という印象。「インプレッサの豪華版」とされるレヴォーグや「フォレスター」の内装とは完全に異なるテイストということで、レガシィの伝統のひとつである「内装デザインは他車と共通ではなくレガシィ系専用」という差別化は、新型でも継承された。これもスバリスト的には歓迎したいポイントといえる。
パワートレインについては、ファンの間では賛否が分かれるところ。上級グレードは従来の6気筒(EZ36)に代わり、2.4リッター直噴ターボ4気筒のFA24を搭載。これは北米専売車「アセント」にも搭載されるユニットで、FA20ターボをベースにボアを拡大し、燃焼室やポート形状の見直しを図ったものだ。
今の世情からして6気筒が追加される可能性は低く、おそらく、ついにスバル製水平対向6気筒エンジンが消滅することになる。6気筒は現行モデルの日本仕様にも未設定だったし、2.4リッターターボは最高出力、最大トルクともに3.6リッターの6気筒を超えているので性能的には向上するとはいえ、スバリストの心情としては寂しさを禁じ得ない。
2.4リッターターボのほか、フォレスターでデビューした2.5リッター直噴のFB25自然吸気エンジンも用意される、日本仕様の現行モデルは6気筒はおろかターボも設定がなかったので、日本仕様もこの2本立てとなれば、現状よりはエンジンラインナップが充実することになる。
アセントに積まれる2.4リッターターボよりも、もっとハイチューンなスペックであれば、守旧派のレガシィファンはなお歓迎したところだが、今のレガシィはプレミアムコンフォート色の強いサルーンということで、それは期待薄だろう。
セダンは日本でも続けてほしい
そんな次期型レガシィに最も期待できる部分は、乗り味の良さ。進化熟成が図られた新世代プラットホームSGPでフラッグシップ車を作るのだから、ファンの期待値は超絶に高い。
最新のスバル車は、エンジンやトランスミッションに関しては玄人筋から否定的な意見が挙がることが多い一方、SGPがもたらす乗り味については幅広い層から高い評価を受けているので、次期型レガシィの走りも操縦性と乗り心地が高次元で両立されたものになるはずだ。
また、細かいところでは、スバルお得意のアルミ製ロアアームの復活と、ダンパーが新設計である点にも注目だ。レガシィといえば、2代目モデルの後期型からビルシュタインの倒立式ダンパーを採用したり、現行モデルでも「スタブレックス・ライド」というKYB製ダンパーを新しく採用したりするなど、ダンパーにこだわるところも伝統のひとつで、次期型にもそれが継承される。
受動安全性や乗員保護性能については、再び世界トップを狙えるレベルに仕立てられているだろう。運転支援の「アイサイト」については国内販売車の方が先行したシステムになっており、北米仕様車には遅ればせながら「ツーリングアシスト」が採用される。法的に日本より自動運転技術を商品化しやすいアメリカなのだから、日本のユーザーがうらやましくなるような劇的な進化を見せてほしかったところではある。
これまでのスバルの新型車公開パターンからすると、2019年4月のニューヨークショーでワゴンボディーの「アウトバック」が公開され、秋の東京モーターショーで日本初公開、という流れが予想される。
次期型の日本仕様はアウトバックのみとなり、セダンのB4は国内から消滅するとのうわさはかなり前から広がっているが、実際、国内のB4の販売台数は、ついに2ケタにまで落ち込んでしまった(2018年12月時点)。そんな惨状にあるB4が、次期型から国内で売られなくなるのも致し方なし……ではあるものの、国内のレガシィがアウトバックのみとなってしまうと、実益の面はともかく、イメージ的には大きなダウンになりかねない。国内の高級セダン市場そのものが冷え込んで久しく、「トヨタ・クラウン」の圧倒的な一人勝ちが続いているとはいえ、逆にクラウンや欧州車勢のシェアを奪う余地は残されているわけだから、日本市場でも次期型B4を投入してほしいと願うばかりである。
(文=マリオ高野/写真=スバル/編集=関 顕也)

マリオ高野
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