開幕直前!
ジュネーブモーターショー2019の見どころは?
2019.03.04
デイリーコラム
例年以上に盛り上がる予感
2019年のジュネーブモーターショーは、3月5日のプレスデーにて開幕する。最近のモーターショーには、「メーカー側が参加するショーを吟味している」という傾向がある。つまり、すべてのモーターショーに均等に力を入れるのではなく、重要なところとそうでないところを選んでいるのだ。場合によっては参加を見合わせることもある。
例えば一昨年のフランクフルトショーは、日産と三菱、プジョー、FCAなどが欠席した。東京モーターショーからも、いくつかの海外ブランドの姿が見えなくなっているのが現状だ。また、昨年秋のパリモーターショーも、いまひとつ盛り上がりに欠けた。そうした中で、もともと高かった存在感が、相対的にさらに高まっているように思えるのがジュネーブモーターショーだ。ジュネーブのあるスイスには主だった自動車メーカーが存在しないため、ほとんどの自動車メーカーにとって、ホームではないけれど、アウェーでもない。いわば中立の地のモーターショーとなるのだ。つまり「欧州のモーターショー=ジュネーブモーターショー」ということで、「欧州マーケットにアピールするならジュネーブで!」という雰囲気になるのではないかと筆者は考えている。
実際に今年も、ドイツ勢にフランス勢、イタリア勢、日本勢が、満遍なく参加しており、しかも多くがワールドプレミアを用意している様子。今年のジュネーブモーターショーは、例年以上に盛り上がるのではないだろうか。
それでは、現時点で明らかになっている主な出展車両を紹介しよう。
一番張り切っているように見えるのがダイムラーで、多くのニューモデルを用意する。メルセデス・ベンツからは新型の「CLAシューティングブレーク」と「Vクラス」に加えて、電気自動車(EV)のコンセプトモデル「EQV」や改良型の「GLC」を出展。スマートからは「フォーイーズ+」を展示する。さらに、将来のフォーミュラE参戦をにらんだショーカーも発表するという。量産モデルにコンセプトカー、レーシングカーまでそろえたゴージャスな内容だ。
スーパースポーツは欠かせない
アウディは「Q4 e-tron」を、フォルクスワーゲンは「デューンバギー」を出展。どちらも電動車のコンセプトだ。また、BMWはマイナーチェンジした「7シリーズ」を披露するという。ポルシェは「次世代『マカン』はEVになる」とアナウンスした直後だけに、何かしらのサプライズを期待したい。
フランス勢の目玉はプジョーの新型「208」だろう。日本でも「205」「206」などがヒットしたコンパクトプジョーだけに、その出来栄えに注目だ。シトロエンは、キュートなEVの「AMI ONEコンセプト」とキャンピングカーの「スペースツアラー シトロエニストコンセプト」を出品。どちらもシトロエンらしいユニークさが満点だ。また、ルノーの人気モデル「クリオ(日本名:ルーテシア)」の新世代モデルも登場する。208とクリオというベストセラーカーが同時にデビューするというのは興味深いところだ。
さらに、フェラーリはV8搭載モデルの新型車「F8トリブート」を、ランボルギーニは「ウラカンEVOスパイダー」をお披露目するとそれぞれ発表。やはりジュネーブにはスーパースポーツが欠かせない。
日本勢も豪華ラインナップ
日本勢は、トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、スバル、三菱がそれぞれワールドプレミアを用意する。海外で日系ブランドがこれほどそろって出品するのは、最近では珍しい。
トヨタはホットハッチの「カローラGRスポーツ」とクロスオーバーの「カローラ トレック」の2台を出品。ホンダは、新しいEV「ホンダe」のプロトタイプを、日産はクロスオーバーの「ニッサンIMQコンセプト」を持ち込む。マツダでは、新世代商品群第2弾となる新型SUVに注目だ。スバルは「ヴィジヴ アドレナリン コンセプト」、三菱は「エンゲルベルク ツアラー」と、それぞれコンセプトカーを出品すると発表。量産モデルとコンセプトがそろう、華のあるラインナップだ。
開幕前にわかっているだけでも充実の内容である。しかも、開幕してみれば必ずサプライズがあるのがモーターショーの常。今年のジュネーブは、いつになく面白そうな予感が漂っている。
(文=鈴木ケンイチ/写真=ダイムラー、グループPSA、ルノー、フェラーリ、本田技研工業、スバル/編集=藤沢 勝)

鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
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