ボルボXC90 D5 AWDインスクリプション(4WD/8AT)
現時点での決定版 2019.05.24 試乗記 「ボルボXC90」のクリーンディーゼル搭載車は、ガソリン車やPHVも選べるXC90において、今後メインになると期待されるモデル。その乗り味を確かめるべく、初夏を迎えた山形・庄内平野を中心にステアリングを握った。撤退なんて先の話
XC90にディーゼルモデルが追加されたことを、意外に思う向きもあるかもしれない。
最近のボルボは、パワートレインや安全にまつわる将来戦略を積極的に発信して、世の耳目を集めることを企業戦略とする。それはそれでいいのだが、それゆえ情報だけがひとり歩きして、今現在の彼らの現実が分かりにくくなっている側面もなくはない。
たとえば、ボルボが発信した将来戦略で最近話題になったものに「全車の最高速度を180km/hに制限」という発表があるが、それもあくまで2020年以降の話である。また、彼らは2017年にも「全車電動化」や「ディーゼルの開発から撤退」というパンチの効いた宣言や発表をしているが、2019年5月現在のボルボはそこのいずれも実現していない。ただ、かといって彼らがウソをついたわけでもない。
まず全車電動化については、正確には「2019年の新規発売車より、全モデルになにかしらの電動パワートレイン車を用意していく」という内容であり、ここでいう“電動”には電装を48V化して10ps程度のスターター兼発電機(ISG)を内蔵する、いわゆるマイルドハイブリッドも含まれる……というか、当面はそれが主力になるだろうし、それもラインナップの一角として提供しながら順次拡大していくものであって、いきなり全車を例外なく電動化するという意味でもない。
もうひとつのディーゼル開発撤退も、世界的なディーゼルばなれを受けて、あくまで「次世代ディーゼルの新開発はしない」が正確な内容である。既存のディーゼルエンジンは今後も必要な改良を施しつつ、市場ニーズに応じて最大限に使い切るのが大前提だ。
しかも、これらはすべてボルボ本社がグローバルに向けた宣言・発表であり、日本でのボルボは、そこに日本法人独自の戦略も加わるから、なおさらややこしい。最新の「XC40」や「V60」が日本ではガソリンのみの設定であることも、どうしても前記のディーゼル撤退にからめて考えたくなるが、欧州ではどちらにも普通にディーゼルの設定がある。
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