第137回:世俗を捨てよスーパーカー!
2019.07.09 カーマニア人間国宝への道現代のフェラーリに幻滅
30年前、初めてフェラーリ(「テスタロッサ」でした)を運転させていただいた時、私は「このクルマは治外法権だ! 他のクルマとは何万光年も離れた、神のような存在だ!」と打ち震えた。それは、世俗的な良識や規制の埒外(らちがい)にある、世俗的な目的を持たない世界唯一の自動車芸術だと感じたからだ。
それから30年。「SF90ストラダーレ」なるニューモデルの発表を聞いて、現代のフェラーリは、世俗中の世俗に堕(お)ちたと悟るしかない。
SF90ストラダーレは、780psのV8ターボエンジンと、計220psを発生する3基の電気モーターを積み、合計最高出力1000psを誇るフェラーリ初のプラグインハイブリッド・ミドシップ4WD車で、その乾燥重量は1570kgだという。
フロント左右のモーターの駆動力をコントロールすることで、コーナリングを助けるという部分も含め、メカの構成は「ホンダNSX」そっくりだ。初代に続いてフェラーリがNSXの影響を受けたということか。ちなみにNSXのV6ターボは507ps、モーターは前が37ps×2、後ろが48psで、システム最高出力581ps。車両重量は1800kgとなっている。
車両重量については、フェラーリは常に「乾燥重量」というものを発表している。オイルや冷却水などの液体を除いた、カラカラのミイラみたいな状態の重さで、実際の重量とはかなり異なる。
私が以前所有していた「458イタリア」は、乾燥重量1380kgとなっていたが、車検証上はなんと1580kg。オイルや冷却水だけで200kgもあるのかぁ!? という感じだが、とにかくフェラーリの「乾燥重量」は、実際の重量より200kgくらい軽いと考える必要がある。つまりSF90ストラダーレの車両重量は、NSXとほぼ同じだろう。

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
NEW
第639回:自動車文化を盛り上げたい! トーヨータイヤの“バーチャルオートサロン”訪問記
2021.1.27エディターから一言「東京オートサロン」の中止もなんのその! トーヨータイヤがオンラインコンテンツ「TOKYO AUTOSALON 2021 Special Site」を公開。世界各国のカーガイが登場するリポートからは、「こんな時こそ盛り上がりたい! 盛り上げたい!」という熱い思いが感じられた。 -
NEW
メーカーの知恵の見せどころ コロナに効く自動車技術はあるか!?
2021.1.27デイリーコラム世の中がコロナ禍の影響を受けるようになってはや1年、自動車業界にはどんな変化があっただろうか? 抗ウイルスを意識した技術や製品に焦点を当てつつ、コロナ時代のカーライフについて考えた。 -
NEW
シトロエンC3シャイン<エメラルドインテリア>(FF/6AT)【試乗記】
2021.1.27試乗記マイナーチェンジで見た目の印象が強まった、シトロエンのコンパクトハッチ「C3」。そのステアリングを握ったなら、つくり手のポリシーを感じるほどの、個性的な乗り味にも驚かされることだろう。 -
ヤマハ・トリシティ300(CVT)【レビュー】
2021.1.26試乗記フロントに2つのタイヤが付いた、ちょっと変わったオートバイ。ヤマハが提案する新型三輪モデル「トリシティ300」に乗ったなら、普通の二輪車とはかなり違ったバイクライフが送れるに違いない。 -
トライアンフ・トライデント660
2021.1.25画像・写真トライアンフの新型モーターサイクル「トライデント660」が、東京・渋谷の「代官山 蔦屋書店」に展示された。新開発の水冷3気筒エンジンを搭載した、軽快なミドルクラス・ネイキッドモデルの詳細な姿を、写真で紹介する。 -
月に1度の特別なメールマガジン『月刊webCG通信』 EVは選べる時代! あなたのチョイスは?
2021.1.25From Our StaffwebCG執筆陣によるコラムや月間アクセスランキング、読者アンケートなど、さまざまなコンテンツを通して自動車業界の1カ月を振り返る『月刊webCG通信』。2月号では、ついに“選べる時代”を迎えた電気自動車について、読者の皆さまのご意見を大募集いたします!