第12回:CG ROBOT RACING TEAM 2019シーズンリポート Vol.5
晴天なれど波高し 2019.08.30 池島実紅の「挑戦! 86/BRZ Race」 前戦の富士ラウンドでは、井口卓人選手がいかにもベテランらしい巧みなレース運びで2位フィニッシュし、待望の今季初表彰台となったCG ROBOT RACING TEAM。チームはその余勢を駆って、TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Raceシリーズ第6戦、十勝ラウンド出場のため北海道へ。台風15号の影響を受けるコンディションの中、チーム一丸となっての力走がサーキットで注目を集めた。(『CG』2019年10月号から転載)
ゲンのよい十勝
全8大会からなるTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race 2019シリーズも、早くもこの十勝で6ラウンド目を迎えた。この十勝ラウンドのあとに控えるレースは、もてぎと岡山の2大会のみ。シリーズ終盤を迎え、タイトル争いもいよいよ佳境を迎えようとしている。
そんな大事なレースの舞台となる十勝スピードウェイは、CG ROBOT RACING TEAMにとって、実はとてもゲンのよいコース。2016年の当ラウンドで、見事ポール・トゥ・フィニッシュで井口卓人選手がシリーズ初優勝を手にした、そんな思い出深いサーキットなのである。井口選手といえば、前戦の富士大会で、今季初表彰台をチームにもたらしたドライバーである。好レースを期する漠とした思いとともに、チームは帯広市近郊の更別村にある十勝スピードウェイにやってきた。
案の定、プロフェッショナルシリーズに参戦する井口選手と久保凛太郎選手のふたりは、雨に見舞われた練習走行の段階から好タイムを連発。予選では井口選手が5番手、凛太郎選手は12番手からそれぞれ第1ヒートのスタートを迎えることになった。
14周で競われたこの第1ヒートでCG ROBOT RACING TEAMのふたりは大健闘。井口選手がポジションキープの5位でフィニッシュした一方で、凛太郎選手は5台をオーバーテイクする攻めのレースを展開。12番手スタートから大きくジャンプアップする7位でチェッカーを受けた。
受け入れがたし
チームが擁する2台のスバルBRZは快調そのもので、翌8月18日に同じく14周で展開される第2ヒートは期待大。日曜朝、第2ヒートのスタートを前にスバルのイメージである“六連星(むつらぼし)”を染め抜いた、大きな応援フラッグを振るスバルの大応援団が勢ぞろいするなど、スバリストたちからのたしかな追い風を感じながら、井口、凛太郎両選手は第2ヒートへと向かった。
が、レースが思いどおりに進むことはやはりまれのようで、まず、スタートよく飛び出し、レース序盤、3番手争いを展開していた井口選手が他車との接触によりポジションダウン。#88 CG ROBOT BRZ BSはボンネットが折れ曲がるほどのダメージを受けたが、井口選手はしぶとくレースを続ける。
その一方で、今度はなんと4番手にポジションアップしていた凛太郎選手が、前を行く#34佐々木雅弘選手と接近戦を繰り広げた末に、ラインをクロスさせながら1コーナーでパス。3番手に浮上してみせた! ……はずだったが、その直後、後続の#34佐々木選手と5番手の#7堤 優威選手が接触。3番手に浮上したばかりの凛太郎選手は、この接触でコントロールを失った佐々木車に追突される形で大きく姿勢を崩し、ダメージを受けた状態で順位を下げるという展開に。
結局、手負いの凛太郎選手はチェッカーを受ける前にピットインを敢行。一方の井口選手は粘り強い力走の末に5位でフィニッシュ。貴重な12ポイントをチームにもたらしてみせた。
それにつけても、井口、凛太郎の両選手は表彰台を狙えるだけの速さとポテンシャルを示していただけに、自分の預かり知らぬ理由でみすみすその好機を逃したダメージはことのほか大きい。チームスタッフは皆、いわく言いがたい心持ちで北海道を離れたのだった。
(文=早田禎久/写真=服部真哉)
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