「ベントレー・ブロワー」や「アストンマーティンDB5」が復活! 名車の“継続生産”は英国ブランドにお任せあれ
2019.10.02 デイリーコラムきっかけはアストンマーティン
近年、クラシックカーを取り巻く世界の中で、コンティニュエーション(Continuation)という言葉を目にするようになった。辞書(Weblio)によれば、続けること、継続、連続、持続、存続、(中断後の)継続、再開、などとある。クラシックカーの話題には、この中の「(中断後の)継続」が当てはまるだろう。
以前にニュースで報じたように、最近ではベントレーが1929年のレーシングモデル「ブロワー」を12台復刻生産すると発表しているが、こうした動きはここ数年、英国の高級車メーカーで活発化している。アストンマーティンは2017年にコレクター向けに25台の「DB4GT」のコンティニュエーションモデルを手がけると、2019年には「DB4GTザガート」の復刻を、2020年には「DB5」のコンティニュエーションを手がけると発表した。
メーカー自身による過去の例には、1987年にアストンマーティンが歴史的人気モデルである1961年「DB4GTザガート」を継続生産したのが、先駆的な試みとして記憶されている。その際には、25台の生産を計画してシャシーナンバーが割り振られながら未完に終わった残り4台を忠実に複製し、「サンクションII」として販売した。
ジャガーも活発で、1957年のブラウンズレーン工場の火災で生産されずに終わった9台の「XKSS」を継続生産すると2018年に発表している。それに先だって、これまた少量生産されたライトウェイト「Eタイプ」の再生産を手がけて話題となった。
さらに、しばらく乗用車生産を休止していたアルヴィスも、1937年に登場した「4.3リッター」シリーズと、65年登場の「TE21」シリーズの2車種を再生産すると発表した。4.3リッターシリーズは第2次大戦によって生産されなかった77台を製作する計画だ。
英国ブランドで盛んな理由
コンティニュエーションカーはベースがあるレストア車ではないため、「(中断後の)継続」だとメーカーは主張するものの、現在の法規には沿っていない部分が多く、一部の例外を除いて、ナンバーを取得して公道を走行することは想定していない。
こうした“コンティニュエーション”についての説明を聞くと、それではレプリカとどう違うのかとの疑問が湧き上がってくるのは当然のことだ。人気のあるクルマなら、玉石混交だとしても、レプリカがたくさん存在しているからだ。「シェルビー・コブラ427」や「フォードGT」「ブガッティ・タイプ35」などはその典型だろう。
ブガッティ・タイプ35は現在、メーカーが当時生産した台数をはるかに超える数の車両が存在するという。ブガッティに限らず、オーナーズクラブや専門修理工場によって、現在でも補修部品が作られている場合には、一台を新規に製作することは十分に可能なのである。
レプリカやコンティニュエーションカーなど、歴史的車種の復刻生産が英国に多く見られるのは、ヒストリックカーが趣味の対象として根付き、修理や保存、社会的な使い方が確立されているという事情が大きく関係している。メーカー内だけでなく、小規模ながら高い技術を持つ専門修理工場が多く存在し、それらが“ビレッジ・インダストリー”として集合することで一連の流れができ、大きな経済効果をもたらしている。
“コンティニュエーション”車を定義する
精巧なレプリカは「だます」とか「だまされる」という低い次元の話ではなく(それもあろうが)、オリジナルが希少ゆえに価格が高騰したことや文化的価値が高まったことから出現したといえよう。本物が欲しいが高騰してしまったので諦めて、レプリカで“活発に楽しむ”という例も少なくない。富豪のエンスージアストには、本物をレースやラリーなどで激走させて消耗することがはばかられるため、本物と見分けがつかないほど精巧なレプリカを製作して、真贋の2台をガレージに収めている例もあると聞いたことがある。コンティニュエーションカーならメーカーが生産したものなので、レプリカより“血統がいい”といえる。
腕のいい職人が丹精込めて組み上げたものは、名画の模写のように“複製芸術”といえよう。コンティニュエーションカーの販売先は、実はすでに本物を持つコレクターたちが多いのではなかろうか。
さて、ここで“コンティニュエーション”車を定義づけておくことにしよう。それは「現存するメーカーが、過去に生産していたクルマを一定期間の中断を経て、原型を忠実に再生産したクルマ」ということになる。付帯事項として、「過去にはクルマを生産しており、その後クルマを生産中止あるいは転業したが、会社自体は存続していること」「原型を忠実に再現することは必須だが、安全や環境に配慮して目立たぬように改造を図ることだけは許容する」。こうしておけば万全だろう。
ヒストリックカーの希少モデルも価格は、今後も高騰することは明らかだ。思う存分走りたいとの欲求をかなえてくれそうな、コンティニュエーションカーの出現は今後も続くことになると思われる。願わくば、比較的安価で入手できる歴史的なスポーツレーシングカーも継続生産されてほしいと思うのだが。
(文=伊東和彦<Mobi-curators Labo.>/写真=アストンマーティン、ジャガー、アルヴィス、webCG/編集=藤沢 勝)

伊東 和彦
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