WRCに日本ラウンドが復活!
新生「ラリー・ジャパン」はどんなラリーになる?
2019.10.14
デイリーコラム
来年の参戦チームは移動が大変そう
2020年の世界ラリー選手権(WRC)のカレンダーが発表され、2010年以来10年ぶりに日本ラウンドが開催されることが決定しました。2018年にWRC日本ラウンド招致準備委員会が立ち上がり、2019年の開催を目指して活動してきたものの、この年の実施はかなわず。招致準備委員会はその後も積極的に招致活動を展開し、今回の開催決定にこぎつけました。
2020年11月19日から22日にかけて、愛知県と岐阜県で行われることになった「ラリー・ジャパン」は、シーズン最終戦となる第14戦として開催。また、日本とともに、ケニア、ニュージーランドの復活も決定。その陰でフランス、スペイン、オーストラリアが姿を消すことになりました。見る側にとっては歴史あるサファリラリーやニュージーランドの復活は楽しみではあるけど、参戦する側にとっては、ロジスティックの時間や費用などがかさむことも事実。ラリーってお金がかかりますからねえ……。
リハーサルイベントのステージに高まる期待と不安
さて、復活が決まった新生ラリー・ジャパンは一体どんなラリーになるのでしょうか?
まず開催地である愛知県と岐阜県のエリアですが、全日本ラリーの一戦に数えられる新城ラリーや、女性ドライバーだけで争われるL1ラリーなどで開催実績のある地域。他にも中部の地区戦が開催されてきた場所でもあります。この11月にはリハーサルイベントであるセントラルラリー・愛知/岐阜が開催されるのだけど、公開されたステージをGoogleマップで調べてみたら、長年日本のラリーを取材してきたボクには「こんなとこでマジでやれんの?」と腰を抜かすような内容でした。
タイムを競うSS(スペシャルステージ)は、かつて北海道で行われていたころとは違ってグラベルではなくターマック(舗装路)。……というところまではいいのですが、基本的に新城ラリーやL1ラリーで使用されるステージとは違い、ほとんどのステージが新規に設定されたもの。中には2車線の県道も含まれていて、海外じゃ当たり前だけど集落の中を通るステージもあります。
ついに日本でもこんなラリーが見られるのか、と楽しみな反面、いきなりこんなステージを設定して大丈夫かいな? と心配になったことも事実。なんせ、慣れてないですからねえ、やる方も見る方も。あのイタリアですら、朝から家に閉じ込められていたステージ沿いに住んでるばあちゃんが、「あんたいつまでやってんのよ! あたしゃ早く買い物に行きたいのよ」(かなり意訳、っていうかほぼ想像)とオフィシャルに怒りをブチまけ、ボロボロの「フィアット・ウーノ」で黒煙まき散らしながら無理やり走り去って行く場面に遭遇したし。……あのばあちゃん、運転上手だったなあ。
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WRカーの走る姿を見られるチャンス
ヘッドクオーターやサービスパークはモリコロパークに設定されており、ここではサイクリングロードを使ったステージも。他にも岡崎中央総合公園でもスーパーSSが行われます。以前、撮影でこの公園に来たとき、適度なアップダウンやコーナーが連続する園内の道に、「ここでラリーできるやん!」なんて思っていたのだけど、本当にやるとは想像もしなかったなあ。
もちろん、これらのステージはセントラルラリーで使用するものであって、すべてがラリー・ジャパンでも使われるかは未定。ただ、翌週のWRCオーストラリア戦に移動する前に日本に立ち寄って、セントラルラリーのレッキ(ステージの下見)を行うチームもあるようなので、来年に向けた戦いはもう始まっているともいえるでしょう。
何はともあれ、久々に日本で開催されるWRC。今の規定のWRカーはとにかく速いんです。あの速さを日本で見られる貴重な機会なので、普段は海外観戦を強くオススメしてるボクですが、せっかくなのでぜひラリー・ジャパンも観戦してもらって、音や匂い、速さを体験してみてください。特に、ラリーなんて知らないし見たこともないよって人たちに強くオススメします。2004年に帯広で開催された最初のラリー・ジャパンを見に行って、人生を思いっきり踏み外したボクのような人が増えることを願っています。
(文と写真=山本佳吾/編集=堀田剛資)

山本 佳吾
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