MINIクーパーS クロスオーバーALL4(4WD/6AT)【ブリーフテスト】
MINIクーパーS クロスオーバーALL4(4WD/6AT) 2011.05.23 試乗記 ……499万7000円総合評価……★★★★
MINIファミリーに追加された、5ドアのニューフェイス「クロスオーバー」。
なかでも最もパワフルな4WDモデルを駆って、その実力を確かめた。
こんな「MINI」があってもいい
これまでに乗ったMINIファミリーのなかで、総合的に見て一番印象がいい。唯一の違和感は、もはや「ミニ」という名前がふさわしくないという点か。
その昔だって、「マキシ」まであったのだから名前にこだわる必要もないが、例えば「BMW X5」ベースの大きなクロスオーバー「X6」を思えば、これはミニだと納得できるかも知れない。
試乗してのインプレッションは項目ごとに後述するが、スタイリングだけを見るならば、標準型「ONE」のクロスオーバーはMINIらしいが、「クーパーS」の口元はちょっと“不満顔”でいただけない。逆に言えば、MINIの嫌いな人(?)は、コレを買って自分なりにカスタマイズするチャンスかもしれない。
オプション込みで500万円近い価格を考えると、この手のSUVなり4WDのミニバンなど、選択範囲はかなり広がる。そう考えた時、充実した内容の割には、サイズも適度に小ぶりだし、外観もカワイイ……となると、やはり「MINI」を名乗る意味はあるのだと思う。
どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「MINIクロスオーバー」は、MINIファミリーのなかで最も大きなボディをもつ5ドアハッチバック車。日本では2011年1月にデビューした。FF車だけでなく、一部グレードでは4WD車も選べる。
デザインは、内外装ともに、他のMINIファミリーをイメージさせる個性的な意匠を採用。いっぽうで、大人4人が快適に乗車できる室内空間(定員4名)や、実用車として十分な容量(350〜1170リッター)の荷室も与えられている。
なお、海外市場では日本と異なり「MINIカントリーマン」の名で呼ばれる。
(グレード概要)
グレードは、大きく分けて3種類。エンジンのパフォーマンス順に、184psの1.6リッター直4ターボエンジンを搭載する最上級の「クーパーS クロスオーバー」。その下の「クーパー クロスオーバー」(122psの1.6リッターNA)。さらに、「ONE クロスオーバー」(98psの1.6リッターNA)と続く。
「クーパーS」のみ4WDモデル「ALL4」が用意される。今回のテスト車はこのモデル。各グレードとも、内外装のドレスアップパーツから細かなアクセサリーまで、多くのオプションが用意される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
好き嫌いはあるかもしれないが、インパネは凹凸の強い立体的な造形。適度に光り物を配した処理などにより、豪華に見える。スイッチ類も数多く、それだけでも装備品が豊富なことがうかがえる。
センターに据えられた大きなメーターはどの席からも見やすく、皆で確認することができる。電子制御のデバイスも“はやりモノ”はほとんど完備しており、好みの調整も利く。ヘッドランプは操舵(そうだ)角に追尾してコーナーの奥を照らす。
(前席)……★★★★
シートはやや小ぶりながら横方向のサポートがよろしく、座り心地は良好。クルマ自体の動きはコンディションのよい道においてはフラット感もあるが、路面によってボディの上下変位がやや繁忙な部類。ただしランフラットタイヤであることを考慮すれば、ゴツゴツ感は少ないといえる。ストローク感も加わり、総合的に評価してMINIシリーズ中で最良の乗り心地だ。フェンダーの谷、ボンネットの膨らみが少し見える前方の眺めも上々。
(後席)……★★★★
4人乗りという割り切りゆえ、居住空間は十分。プロペラシャフトの通る中央のトンネル部分もカップホルダーなどを配するアイデアで、有効利用。
乗り心地は前席とそう変わらないが、ロードノイズなどはやや大きめ。低めに座るシートの乗降性は角を丸めた処理で悪くないが、ドアオープン時にリアタイヤがホイールハウスからやや露出するため、場合によっては乗降時に衣服を汚すおそれがある。この部分のドア内側には、なんらかの対策が必要だ。ガラスサンルーフは前後同時にチルトアップする。前はインナースライドでシェードも備わる。これらにより天井は相当厚くなっているが、ヘッドクリアランスは十分。
(荷室)……★★★
外観からの想像以上に、広い空間が確保されている。内張りの処理も丁寧で、ここも“室内の一部”として扱われている。リアシートはダブルフォールディングではないが、背もたれを倒せばフロアとフラットになる。
ランフラットタイヤの採用によりスペアタイヤの出し入れは不要。施錠開錠はリモコンキーによるが、キーをもったまま状態を確認しようとエンブレムに触れると開いてしまう。わかっていれば問題なし。
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【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
低回転からトルクがあって、回さずとも悠々と静粛に走れる。その一方で4000rpm以上の高回転域はやや音量も大きくなる。以前は横置き4気筒特有のアイドル振動がやや気になったものだが、随分改良されてきて今では合格点。
砂利の浮いたような路面でラフにスロットルを開けても4WDゆえ無用なホイールスピンもなく、発進はいつでもスムーズだ。スロットルのオン/オフによるピッチ方向の挙動変化やGの変化もマイルド。振る舞いには高級感がある。
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(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
車高が上がってバウンドストロークが増した感覚。MINIシリーズ中、最も優雅な身のこなしをみせる。そのうえで、ロールやピッチ方向の無駄な動きも少なく、ソリッドな挙動を示す。重心高が上がったぶん腰高な傾向を示すかといえばそうでもなく、接地感も上々。車両重量は1.5トンと重く、軽快な感覚こそそがれるが、エンジンパワーは十分。決して鈍足なわけではない。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2011年5月10日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2011年
テスト車の走行距離:5567km
タイヤ:(前)225/45R18(後)同じ(いずれも、ピレリP7 cinturato)
オプション装備:ジンジャーパッケージ(4万円)/シナモンパッケージ(11万円)/5スター・ダブル・スポーク・コンポジット(20万5000円)/クロームラインインテリア(2万2000円)/アームレスト(2万5000円)/前席シートヒーター(5万2000円)/コクピットサーフェス(2万6000円)/レインセンサー(2万4000円)/harman/kardon製HiFiラウドスピーカーシステム(12万円)/レザーラウンジシート(32万円)/電動ガラスサンルーフ(18万円)/プライバシーリアガラス(4万円)/アダプティブヘッドライト(4万円)/スモーカーズパッケージ(3000円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:188.3km
使用燃料:19.59リッター
参考燃費:9.6km/リッター

笹目 二朗
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