トヨタが「RAV4 PHV」を発表 95kmのモーター走行が可能なプラグインハイブリッドモデル

2020.06.04 自動車ニュース webCG 編集部
トヨタRAV4 PHVブラックトーン
トヨタRAV4 PHVブラックトーン拡大

トヨタ自動車は2020年6月4日、ミドルクラスSUV「RAV4」のプラグインハイブリッド車「RAV4 PHV」を間もなく発売すると発表した。

「RAV4 PHVブラックトーン」には5種類のカラーリングが用意される。
「RAV4 PHVブラックトーン」には5種類のカラーリングが用意される。拡大
ルーフライニングまで黒で統一されたインテリア。
ルーフライニングまで黒で統一されたインテリア。拡大
シートは全車合成皮革だが、グレードによって表皮の種類やデザインが異なる。
シートは全車合成皮革だが、グレードによって表皮の種類やデザインが異なる。拡大
荷室はやや床面が高くなっているものの、490リッターの容量を確保。
荷室はやや床面が高くなっているものの、490リッターの容量を確保。拡大
メーターのインフォメーションディスプレイには、「RAV4 PHV」専用の表示が追加されている。
メーターのインフォメーションディスプレイには、「RAV4 PHV」専用の表示が追加されている。拡大
パワーユニットは、「RAV4」のハイブリッドシステムをベースに充電機構を追加するとともに、高出力化が図られている。
パワーユニットは、「RAV4」のハイブリッドシステムをベースに充電機構を追加するとともに、高出力化が図られている。拡大
床下に配置された大容量のリチウムイオンバッテリー。
床下に配置された大容量のリチウムイオンバッテリー。拡大
ラゲッジスペースに備わる最大1500Wのアクセサリーコンセント。
ラゲッジスペースに備わる最大1500Wのアクセサリーコンセント。拡大
ビークルパワーコネクターを使えば、普通充電用のインレットからも電気を取り出せる。
ビークルパワーコネクターを使えば、普通充電用のインレットからも電気を取り出せる。拡大
フロントまわりでは、グリルやバンパー下部のリム、LEDヘッドランプなどが「RAV4 PHV」専用の装備やデザインとなる。
フロントまわりでは、グリルやバンパー下部のリム、LEDヘッドランプなどが「RAV4 PHV」専用の装備やデザインとなる。拡大
ブラック塗装と切削光輝仕上げを組み合わせた19インチの専用アルミホイール。
ブラック塗装と切削光輝仕上げを組み合わせた19インチの専用アルミホイール。拡大
全6色のボディーカラーのうち、「エモーショナルレッドII」(左)は「RAV4 PHV」の専用色となる。
全6色のボディーカラーのうち、「エモーショナルレッドII」(左)は「RAV4 PHV」の専用色となる。拡大
テールゲートに装着される「RAV4 PHV」のバッジ。
テールゲートに装着される「RAV4 PHV」のバッジ。拡大

高い環境性能に加え「走る楽しさ」も追求

トヨタRAV4は、オンロードでの快適性や普段使いでの利便性を重視したクロスオーバーSUVとして、1994年に登場。現行型は2019年4月に発売された5代目にあたり(4代目は日本未導入)、オフロードを想起させる力強いスタイリングや、3種類の4WDシステムが実現する高い走行性能など、従来モデルとは異なる力強さ、たくましさを強調したキャラクターで人気を博している。

今回発表されたRAV4 PHVは、上述の現行型RAV4をベースに新開発のプラグインハイブリッド機構を搭載した新モデルである。開発コンセプトは「E-Booster」というもので、トヨタは同車を「RAV4の持つ高い基本性能をベースに、プラグインハイブリッドシステムの潜在能力を生かして、さらなる『Fun to Drive』を追求したモデル」と説明している。

パワーユニットは2.5リッター直4ガソリンエンジンにリダクション機構付きプラグインハイブリッドシステム「THS II Plug-in」を組み合わせたもので、前軸側と後軸側にそれぞれモーターを搭載。ベースとなるハイブリッド車よりインバーターとフロントモーターを高出力化することで、306PS(225kW)のシステム最高出力を実現している。これにより、RAV4 PHVは0-100km/h加速が6.0秒という優れた加速性能を実現。車体底部へのバッテリーの搭載に伴う低重心化により、乗り心地の改善や走行安定性の向上も果たしているという。

また新開発のバッテリーは総電力量18.1kWhのリチウムイオン式で、最大で95km(WLTCモード)のEV走行距離を実現。ハイブリッド燃費は22.2km/リッターで、55リッターの燃料タンク容量とも相まって、満タン・満充電の状態からであれば1300km以上の走行が可能とされている。充電は単相AC200V/16Aと単相100V/6Aに対応しており、前者であれば約5時間30分で、後者であれば約27時間で満充電が可能だ。バッテリーや充電機構については高効率なパッケージングも特徴で、ラゲッジスペースにはスペアタイヤを搭載しながらも、490リッター(5人乗車時)の容量を確保している。

最大1500Wの外部給電機能を全車に採用

RAV4 PHVでは、パワーユニット以外にも各所が独自の仕様となっている。車体ではモーター走行時の静かさを追求するべく吸遮音材の配置を最適化。前後ショックアブソーバーの摩擦特性や減衰力特性を見直すことで、コーナリング時の高い操縦安定性や重厚感のある乗り心地を実現したという。

エアコンについても、外気の熱を利用するヒートポンプ式とすることで電力消費を軽減。スマートフォンのアプリやスマートキーを用いてエアコンを遠隔操作できるリモート空調システムも採用しており、リチウムイオンバッテリーの電気を使い、最大で20分間、車内の冷暖房が可能となっている。

また装備類では、アウトドアレジャーはもちろん停電時・災害時に役立つ外部給電機能が標準で備わる点も大きな特徴だ。出力は最大1500W(AC100V)で、ラゲッジスペース右側壁のコンセントに加え、付属のビークルパワーコネクターを使えば、普通充電用のインレットからも給電が可能。ドアやテールゲートを閉じた状態でも、外部への電力供給ができるようになった。給電モードは「EV給電モード」と「HV給電モード」の2種類で、後者ではバッテリー残量が所定値を下回るとエンジンが始動し、発電しながら給電を継続。ガソリン満タンの状態であれば、1500Wの最大出力で約3日間、電力を供給し続けられるという。

このほかにも、マルチメディアシステムには大型9インチのディスプレイオーディオとDCM(車載通信機)を標準装備しており、SmartDeviceLinkやApple CarPlay、Android Autoといった携帯端末との連携機能に対応。予防安全システムは自転車や夜間の歩行者も検知可能な最新式の「Toyota Safety Sense」で、自車周辺の俯瞰(ふかん)画像を表示するパノラミックビューモニターや、ドライバーの視点移動を低減するヘッドアップディスプレイも装備されている。

内外装に見るPHVならではのディテール

デザインの面でもベース車との差異化を図っており、エクステリアでは専用のフロントグリルやフロントバンパーモール、LEDデイライト、ブラック塗装と切削光輝仕上げを用いた19インチ専用アルミホイールを採用。インテリアはルーフライニングやピラー、オープントレーなども含め、全体をブラックで統一しており、インストゥルメントパネルやドアトリム、シートなど、各所にレッドステッチを施すことでスポーティー感を強調している。

グレードは「G」「G“Z”」「ブラックトーン」の3種類で、Gにはファブリックの快適性と革のような質感を併せ持つレザテックの、その他2グレードには横基調のキルティング意匠とレッドリボン装飾を用いた合成皮革表皮のシートを採用。温熱快適シート(運転席・助手席)やシートヒーター(リア左右)に加え、G“Z”とブラックトーンでは運転席と助手席にベンチレーション機能も設定している。

ボディーカラーはRAV4 PHV専用色の「エモーショナルレッドII」を含む全6色の設定で、ブラックトーンにはルーフやドアミラーを黒で塗り分けた、5タイプのツートンカラーを用意している。

(文=webCG/写真=向後一宏)

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