トヨタRAV4 PHVブラックトーン プロトタイプ(4WD/CVT)/RAV4 PHV Gプロトタイプ(4WD/CVT)
Fun to Driveを拡張せよ 2020.06.18 試乗記 グローバルで高い人気を誇るトヨタのミドルサイズSUV「RAV4」に、プラグインハイブリッド車の「RAV4 PHV」が登場。95kmの距離をゼロエミッションで走れるエコロジカルな新モデルは、同時に電動車ならではの“走る楽しさ”も追求した一台となっていた。システム出力306PS、0-100km/h加速6秒フラット
同一車型にして年間販売台数は約100万台と、ベストセラーとしてトヨタの屋台骨を支えるRAV4に追加されたグレードがトヨタいわくの「PHV」。「プリウス」に次いでのPHEV=プラグインハイブリッド車だ。
ベースとなるのは「RAV4ハイブリッド」だが、フロントモーターは「3NM」から「5NM」へと型式が変更されており、最高出力は182PS(134kW)を発生。RAV4ハイブリッド比で実に1.5倍の出力向上だ。この高出力モーターはEV走行時の主動力となり、空気抵抗の大きいSUVにして100km/hオーバーの高速巡航を可能としている。ちなみに、リアモーターの型式や出力はハイブリッドと同じで「4NM」の54PS(40kW)だ。
この前後モーターと、177PS(130kW)を発生する「A25A−FXS」エンジン(2.5リッター直4自然吸気)の組み合わせからなる駆動システムの総合出力は306PS(225kW)。全開時の0-100km/h加速は6.0秒と、“SUVにしてエコカー”というイメージとはかけ離れたパフォーマンスを誇る。
今回、トヨタはRAV4 PHVを上市するにあたり、単なる環境性能向上のみならず、「電動化ならではのファン・トゥ・ドライブを提供する」という趣旨で臨んでいる。このスペックにはその意が表れているというわけだ。
容量18.1kWhのバッテリーがかなえる環境性能
RAV4 PHVに搭載されるバッテリーは、RAV4ハイブリッドと同じニッケル水素式ではなくリチウムイオン式を採用。前後席間のフロアボードに配されるその容量は実に18.1kWh。電気自動車(BEV)の「三菱i-MiEV」が16kWhと聞けば、その大容量ぶりがわかるだろう。満充電からのEV走行可能距離はWLTCモードで95kmと、日常的な行動範囲なら余裕でまかなえるレンジに達している。
興味深いのは、これほどの容量を擁していながらCHAdeMO等の急速充電に対応させなかった点だ。開発陣はランニングコストやBEVへの配慮を理由に挙げるが、現状のBEVの普及率やユーザビリティーを考えると、プリウスPHVのようにオプションとして選択肢を用意しておいてもよかったのではとも思う。ちなみに、普通充電で空からの満充電に要する時間は、200Vで5.5時間、100Vでは27時間となる。PHEVのユーザーは約8割が戸建てに住んでいるというデータもあるが、ガレージに200Vの充電環境を設置して深夜電力で充電するというのがコスパ的にも最も優れた使い方といえるだろう。
当然ながらRAV4 PHVは、駆動用バッテリーが空になってもハイブリッド車ならではの良好な燃費をマークする。RAV4ハイブリッドと比較しても、用いるバッテリーがリチウムイオン式であるぶん充放電速度はPHVのほうが有利かもしれない。が、それを帳消しにするのが同等装備比で210kgほど重くなった車重だ。試せたわけではないが、結果的にはRAV4 PHVの実燃費はハイブリッドより若干劣ることになるだろう。ただし走行中に駆動バッテリーを充電する「バッテリーチャージモード」や、駆動用バッテリーを効率的に温存する「HVモード」などのドライブモードを使えば、目的地でのバッテリーの活用幅をうんと高めることも可能だ。
ちなみにRAV4 PHVは、満充電の駆動用バッテリーから最大1500Wの電力を、バッテリーのみで約7時間、エンジン併用で約3日間供給することができる。豊田社長は先の東日本大震災時に電動車の給電能力を強化することを表明していたが、この「PHV」シリーズと燃料電池車「MIRAI(ミライ)」は、ひとつの到達点と認められる機能を備えているといえるだろう。
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加速はもちろんコーナリング性能も優秀
先の「ハリアー プロトタイプ」と同様、まだナンバーが未装着ということもあり、RAV4 PHVの試乗は同じクローズドコースでの実施となったが、これがかえって、このクルマの動的特性を明快に体験させてくれることとなった。
まず驚かされるのが圧倒的なパワー&トルクで、これはRAV4ハイブリッドとは明らかに一線を画している。袖ヶ浦フォレストレースウェイの直線は公称で400mと短いが、100km/hオーバーくらいからのフル加速でストレートエンドの速度は160km/h超えと、スポーツモデルとしてみても結構な加速力をみせてくれる。そこからのフルブレーキングは重量が効いてかなりシビアだが、姿勢は安定している。そもそもそういうことをするクルマではないのは百も承知だが、欧州スポーツSUVくらいのことはできてしまうところに、PHEVの新常識が感じられる。
走りの気持ちよさという点でいえば、コーナリングさえ一家言あるのがこのクルマだ。普通のRAV4に比べると床面にバッテリーを積むがゆえのあからさまな低重心化、そして床面に組んだバッテリーフレームの副次効果として得られる高い剛性感など、動的質感を高める要素はそろっている。軽くはない車体が右に左にストレスなく向きを変えるのには、リアモーターを積極的に多用する新しいパワートレインのセットアップも奏功している。
官公庁向けの廉価仕様があってもいい
結果的にRAV4 PHVの運動性能は、Cセグメント級のホットハッチにも迫るくらいのところを備えているといえるだろう。あまりの“意のまま”ぶりに、思わず雪が恋しくなったほどだ。あるいはプレミアムなパワー&ドライブトレインとして、お披露目されたばかりの新型ハリアーに搭載しても面白いと思った。
が、返す返すもこれらはRAV4 PHVに与えられた“余技”である。ハイブリッドを軸に、電動化の優位を拡張するというトヨタがみせた新たな可能性ではあるが、このクルマ最大の存在意義は、やはり環境負荷の高いSUVのナリをしながらの、環境性能も含めた社会親和性の高さだろう。
個人的にはプリウスやミライでは足を延ばせない場所にも向かわねばならぬ自治体の災害対策車や、NEXCOの道路巡回車など、豊かな電気マネジメント性能を生かせるシーンに向けた、より簡素で廉価なビジネスパッケージがあってもいいのではないかと思う。このご時世、補助金をたんまりいただくのもしのびないという意識の高いユーザーにも、よりシンプルな仕様の方がウケるのではないだろうか。
(文=渡辺敏史/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
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テスト車のデータ
トヨタRAV4 PHVブラックトーン プロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4600×1855×1695mm
ホイールベース:2690mm
車重:1920kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:177PS(130kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:219N・m(22.3kgf・m)/3600rpm
フロントモーター最高出力:182PS(134kW)
フロントモーター最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)
リアモーター最高出力:54PS(40kW)
リアモーター最大トルク:121N・m(12.3kgf・m)
システム最高出力:306PS(225kW)
タイヤ:(前)235/55R19 101V M+S/(後)235/55R19 101V M+S(ヨコハマAVID GT S35)
燃費:22.2km/リッター(WLTCモード)
価格:539万円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:939km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
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トヨタRAV4 PHV Gプロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4600×1855×1690mm
ホイールベース:2690mm
車重:1900kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:177PS(130kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:219N・m(22.3kgf・m)/3600rpm
フロントモーター最高出力:182PS(134kW)
フロントモーター最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)
リアモーター最高出力:54PS(40kW)
リアモーター最大トルク:121N・m(12.3kgf・m)
システム最高出力:306PS(225kW)
タイヤ:(前)225/60R18 100H/(後)225/60R18 100H(ダンロップ・グラントレックPT30)
燃費:22.2km/リッター(WLTCモード)
価格:469万円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:322km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)

渡辺 敏史
自動車評論家。中古車に新車、国産車に輸入車、チューニングカーから未来の乗り物まで、どんなボールも打ち返す縦横無尽の自動車ライター。二輪・四輪誌の編集に携わった後でフリーランスとして独立。海外の取材にも積極的で、今日も空港カレーに舌鼓を打ちつつ、世界中を飛び回る。
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