第38回:カーライフのお供に感謝
2021.03.18 バイパーほったの ヘビの毒にやられまして 拡大 |
アメリカのマッチョなスポーツカー「ダッジ・バイパー」がわが家に来て満5年。方々直して健康になったクルマとは裏腹に、あれやこれやの備品・消耗品が、このほど賞味期限を迎えた。今までカーライフを支えてくれたそれらに感謝し、品評を開陳する。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
8リッターV10で合法トリップ
私の記憶が確かなら……たいていの場合確かではないのだが……わが家にバイパーがやってきたのは2016年10月。気づけばオーナー歴も6年目に突入していた。気の多いギョーカイ関係者からは「まだ売んないの?」なんて言われたりするが、なにをおっしゃるウサギさん。前任だった「ローバー・ミニ」の所有歴(10年)を思えば、むしろこれからが本番でしょう。遠慮なく遊び倒す所存ですよ。
その一環というわけではないが、過日、記者&バイパーはついにサーキットデビューを果たした。といっても鈴鹿サーキットとか富士の本コースとかじゃなくて、筑波の「コース1000」……要するに筑波サーキットのショートコースなんですけどね。
「下手の横好き」とは言ったもので、普段はのほほん運転が板についている記者だが、こうした走行会にはちょくちょく参加している。ウデが上がってる実感はないが、おつむと筋肉を酷使するスポーツとしてシンプルに楽しいし、定期的にこのクルマの挙動を思い出すことは、安全運転にもつながると思うのだ。……というのは建前で、記者の場合はただただ8リッターV10を床まで踏んづけたいという、サルのような欲望が動機である。ヒャッハー。
ただ、こうして走行会で遊ぶとなると問題になるのがタイヤの消耗。この日のイベントは朝から晩まで走り倒すストロングスタイルだったが、昼ごろには、早くも隣パドック(という名の駐車枠)のワーゲン乗り氏に指摘を受けた。
「タイヤ、なんかおかしくないですか?」
「そうなんですよ。前のタイヤはもう替えて3年半で、すっかりゴムが硬化しちゃって」
「いや、後ろもおかしいと思うんですけど」
「? いや、後ろは1年前に履き替えたばかりですよ」
と言ってバイパーの後ろ脚をのぞき込み、戦慄(せんりつ)した。ミゾというミゾがすっかり消滅していたのだ。
あれもこれも賞味期限
バイパーを含め、マッチョなアメリカンスポーツがガソリン好きなのは知られているが、実はゴムも好物であるのはあまり知られていない。油断するといつの間にかリアタイヤが消えているからオーナーは要注意である。
それにしても、前回は交換してから2年以上もったというのに、今回は1年チョイですか(嘆息)。これはアライメントが狂っていたのか。空気圧の管理が悪かったか……。いや、アライメントも空気圧の管理も、以前のほうがダメダメだぞ。もちろん、タイヤを替えてから異常に走行距離が伸びたなんてこともない。むしろ、コロナ禍でイベントが立ち枯れとなったため、オドメーターの伸びは鈍っているはずなのだ。
この件については、「空気圧を高く設定しすぎたのでは?」「バイパーで一日中サーキットを走ってりゃ、そりゃタイヤはなくなりますよ」などなど、知人や業界関係者よりさまざまな考察をいただいているのだが、恐縮ながら当事者としては、今のところどれもフに落ちない感じ。なんにせよ、ことによってはリアタイヤが1年でダメになることは分かりました。次からは、タイヤ選びも考えんとなあ。
それにしても、ちょうど“そういうサイクル”に入ったのか、今冬はタイヤ以外にも、当連載で触れてきた備品・消耗品がことごとく賞味期限を迎え、買い替えやメンテナンスに万札が飛んでいった。とほほである。しかし、毎回記事内容がとほほ自慢というのもつまらないので、今回はこれを機に、記者&バイパーまわりの主な備品・消耗品の批評を開陳させていただく。いずれも3~4年の使用を経ての評価なので、トーシロの意見とはいえ多少は参考になるもののはず。ご笑覧あれ。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
【その1】カバーライトのボディーカバー
なんだかんだで、いい買い物したなぁと思えたのがこちら。「みんな使ってるし」と考えもなしにポチッた一品だが、届いてみると厚みがあって質感がよく、通気性、耐候性も申し分なかった。裏地はうっすら起毛していて、これなら「ボディーとのこすれが気になる」なんて御仁も安心。それでもすり傷がつくのではと気になる人は、クルマをお古の毛布かなんかでぐるぐる巻きにするしかないでしょう。
あと、地味にうれしかったのがちゃんとバイパーに合うサイズがあること。前後の裾に強めのゴムが入っていることもあって、フィット感はなかなかのもの。この点は、見た目はもちろん風に対する強さにもつながるのでご注意を。あんまりカバーがあおられると、ボディーとこすれたりゴミをはらんだりしてクルマに傷をつけるし(経験者談)、後述の通り、破ける原因にもなるのでね。
耐久年数は、「日なたで野ざらし駐車、一度かけたら次に乗るまでかけっぱなし」という過酷な使用状況で、だいたい3年。「いや、お前4年くらい使ってたやんけ」というツッコミが聞こえてきそうだが、最後の1年は気合とDIYでもたせた感じだ。
具体的にどこがダメになるかというと、まずは生地の合わせ目。重みのある材質のために負担がかかるようで、台風一過にチェックしたらそこが裂けていた。風の強い日はフロントバルクヘッドのあたりをヒモやベルトでひと巻きして、風をはらむのを防いでやるといいでしょう。
もうひとつ、耐久年数にかかわる劣化として挙げられるのが、生地表面のハゲ。恐らくは紫外線によるものだろうが、細かくひびが入り、ぽろぽろとはがれてしまうのだ。既述の通り保管場所がもろに日なただった記者の場合、これが深刻だった。もっとも、日陰保管の知り合いからは「カバーにカビが生える」(←これはカバーライトに限らず)という報告もあるので、これについては痛しかゆしか。
これら2件の劣化により、このほどついに廃棄となったカバーライトだが、前項で述べた走行会でちょうどアウトレット品が販売されていたので再購入。現在は2代目が元気に活躍中である。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
【その2】ネグローニのドライビングシューズ
カバーライトと並ぶお気に入りの一品。バイパーでのお出かけはもちろん、ロータスやらモーガンやらケータハムやらといった、足元の狭い3ペダル車の取材時にも重宝した。
ソールの張り出しがなく、靴底がカカトの後ろ側まで回り込んでいるので、運転時にフットスペースのあれやこれやに靴が引っかからない(普通のものだと、場合によっては靴同士が引っかかったりする)……のはドライビングシューズとして当たり前。気に入っているのは、軽かったり、生地が柔らかくて履き心地がよかったりして、普段使いでも痛痒(つうよう)がないところだった。
この手のシューズにしてはデザインがしっとりしている点も◎。仕事柄、メーカーさん&インポーターさんのもとに広報車を借りに行く機会も多いのだが、無駄にバッシュを履きたがる高校生じゃあるまいし、カラフルなス〇ルコやらプー〇やらで電車に乗るのは気恥ずかしいのである。
そんなわけで、ロケにドライブに普段使いにと愛顧していたネグローニだが、かような酷使が災いしてか、このほどついにソールに穴が開いた。こりゃ買い替えかな、と思ってホームページを拝見したら、1万2000円+税でもろもろ修理してくれるとのこと。ウェブで注文して靴を郵送すれば施工してくれるというのが、なんともナウでトレンディーである。まぁ記者の場合、せっかくなので墨田区の工場兼ショールームを訪問させていただきましたが(皆さんとのトークが楽しかったです)。
ちなみに、ブランドに疎い記者は、このとき初めてネグローニがMade in Japanのメーカーだと知った(ホントは購入の際に店員さんから説明されていたのだろうが、完全に忘れていた)。日本における服飾産業の厳しさを知る縫製職人の息子にとって、ちょっと驚きの事実だった。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
【その3】トーヨー・プロクセスR888R
今回の記事を書くきっかけにもなった(このタイミングで賞味期限が切れた)、トーヨーのサーキット用タイヤ。4輪ともに2017年5月に装着。後輪のみ2019年9月に交換し、今日に至る。
この製品については、これまでにもたまに感想を述べてきたが、まあトーヨーさまがおっしゃっていた通り、サーキットへの往復、つまり公道走行にも普通に使えるタイヤだった。最初は左右非対称パターンなのに回転方向の指定がない=装着すると右と左でタイヤの模様が逆になる仕様(というか見た目)にぎょっとしたもんだが、使用上は特に問題ナシ。「ぶーん……」というかすかな音以外、気になるノイズもなかったし、ミゾがあるうちは雨の日も普通に走れた。
ハイグリップタイヤ特有のゴムの柔らかさゆえか、サイドウォールがゴツいわりに乗り心地はしっとり。荒れた路面でもザラゴロは控えめで、総じて下手な公道用タイヤよりよっぽどコンフォートだったと思う。一方で個人的にネックに感じられたのが、わだちや凹凸に敏感で挙動を乱しやすいこと。もっとも、高いグリップ力と切り立ったサイドウォールを思えば仕方ないことでしょう。そもそもこれは、普通のタイヤじゃないんだから。
肝心のグリップ力については、メーカーいわく「公道走行を犠牲にした製品には劣る」とのことだったが、それでも記者には猫に小判。4輪新品時の粘着っぷりは戦慄ものであった。ただし、「Sタイヤは生もの」という定説通り、そのパフォーマンスは永続的なものではなく、かつ性能低下のギャップも大きめ。記者のごとき鈍感なドライバーでも、四半期に一度の走行会で「ん?」「あれ?」と感じられるほどだった。それでも“本気仕様”のタイヤと比べればもつ方……というのは、そこそこにサーキット走行をたしなむ知人の弁である。
それに、経年劣化ですっかり潤いが枯れたフロントも、公道での使用に不安・不満を感じることはなかった。サーキット走行の練習用としてはもちろん、コトによっては「ちょっと変わったスポーツタイヤ」としても使える、存外に柔軟なタイヤなのではないかと思う。……メーカーは推奨しないと思うけど。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
普通のタイヤを履かせてください
そんなこんなで、カバーライトやネグローニともども世話になってきたR888Rだが、冒頭で述べた通り、このほどついに何度目かの臨終を迎えた。フロントについては完全に賞味期限切れ。走行会では頭っからコースを飛び出し、記者はバイパーのオフロード性能を実践で試す羽目になった。一方リアは、自身の手で引導を渡した次第である。
そうとなれば交換だが、カバーライトやネグローニとは違い、こちらはR888R→R888Rの乗り継ぎではなく、他銘柄に変更することに。別にパチパチ君でも不満はないのだが、そろそろサーキット用じゃなくて、フツーのタイヤで公道を走る感覚を思い出したくなったのだ。
とはいえ、何度も言っているように、345/30R19(リア)なんてサイズのタイヤなぞ、そうあるものではない。少ない選択肢の中から、今回は「ニットー・インヴォ」をコレクションズさん(毎度おなじみ相模原のモパー屋さん)経由でお取り寄せすることに。ついでに走行会後のメンテナンス兼1年点検的なものもお願いすることにした。
当初は「クルマを塩漬けにするつもりはないし、取り寄せに時間がかかるようなら他の方法も考えないとなあ」などと心配していたのだが、恐らくは業者さんin USAであるにもかかわらず、意外にも(失礼!)スケジュール通りにタイヤが到着。あとは点検でやっかいなものが検出されないことを祈るばかりである。まぁこれも冒頭で述べた通り、今までに一通り直してきたので大丈夫でしょう、多分。……恐らく、十中八九。
大丈夫だよね?
(webCGほった)

堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
-
【番外編】バイパー、磐越を駆ける 2026.1.27 webCG編集部員が、排気量8リッターの怪物「ダッジ・バイパー」で福島・新潟を縦走! 雄大な吾妻連峰や朋友との酒席で思った、自動車&自動車評論へのふとしたギモンとは。下手の考え休むに似たり? 自動車メディアの悩める子羊が、深秋の磐越を駆ける。
-
【番外編】バイパー、事故に遭う ―東京の片隅で垣間見た現代ニッポンの縮図― 2025.8.26 インバウンドでにぎわう令和の日本で、webCG編集部員と「ダッジ・バイパー」を襲ったささやかな悲劇とは? 「まさか自分が(笑)」なんて油断しているところに襲ってくるのが事故というもの。読者諸氏の皆さんも、運転には気をつけましょうね。
-
【番外編】バイパー、能登へ行く 2025.1.9 排気量8リッターのアメリカンマッスルカー「ダッジ・バイパー」で目指すは深秋の日本海。その旅程で記者が覚えた、AIやデンキに対する考えとは? 最後の目的地である能登半島の突端で思ったこととは? webCG編集部員が、時代遅れの怪物と中部・北陸を駆ける。
-
第47回:114万9019円の愉悦 2022.12.21 限りある石油資源をむさぼり、今日も生ガスをばらまいて走るwebCG編集部員の「ダッジ・バイパー」。今年に入り、ずっと不調だった毒ヘビが、このほど整備から帰ってきた。どこを直し、どう変わったのか? どれくらい諭吉が飛んだのか!? 赤裸々にリポートする。
-
第46回:クルマを買い替えようとして、結局やめた話 2022.10.3 アメリカの暴れん坊「ダッジ・バイパー」に振り回されてはや6年。webCGほったの心に、ついに魔が差す? 読者諸兄姉の皆さまは、どんなタイミングでクルマの買い替えを考えますか。お金ですか? トラブルですか? 記者の場合はこうでした。
-
NEW
実力検証! SUV向けプレミアムタイヤ「ブリヂストンALENZA LX200」を試す
2026.3.62026 Spring webCGタイヤセレクション<AD>目指したのは、人気車種となっているSUVとのベストマッチ。ブリヂストンが開発した新プレミアムタイヤ「ALENZA(アレンザ)LX200」は、どんな乗り味をもたらすのか? モータージャーナリスト石井昌道が試乗を通して確かめた。 -
NEW
BYDシーライオン6(FF)
2026.3.6JAIA輸入車試乗会2026“中国の新興ブランド”BYDにあこがれは抱かずとも、高コスパの評判が気になる人は多いだろう。では、日本に初導入されたプラグインハイブリッド車のデキは? 初めて触れたwebCGスタッフがリポートする。 -
NEW
実に3年半ぶりのカムバック 「ホンダCR-V」はなぜ日本で復活を果たしたのか?
2026.3.6デイリーコラム5代目の販売終了から3年半のブランクを経て、日本での販売が開始された6代目「ホンダCR-V」。世界的なホンダの基幹車種は、なぜこのタイミングで日本復活を果たしたのか? CR-Vを再販に至らしめたユーザーの声と、複雑なメーカーの事情をリポートする。 -
「ジープ・アベンジャー4xeハイブリッド」発表会の会場から
2026.3.5画像・写真ジープブランドのコンパクトSUV「アベンジャー」に、4WDのハイブリッドバージョン「アベンジャー4xeハイブリッド」が追加された。その発表会(2026年3月5日開催)の場に展示された同モデルの外装・内装を写真で紹介する。 -
スバル・トレイルシーカーET-HS プロトタイプ(4WD)【試乗記】
2026.3.5試乗記スバルから本格的な電気自動車の第2弾となる「トレイルシーカー」が登場。前後のモーターから繰り出すシステム最高出力はドーンと380PS。ただし、それをひけらかすような設定にはしていないのがスバルらしいところだ。スノードライブの印象をお届けする。 -
ホンダ・インサイト
2026.3.5画像・写真4代目はまさかの電気自動車(BEV)! ハイブリッドからBEVへ、4ドアセダンからSUVへと変身して、「ホンダ・インサイト」が復活を遂げた。ドアトリム/ダッシュボードヒーターにアロマディフューザーと、新たな快適装備を満載したその姿を、写真で紹介する。






















































