いまやクルマの生命線 半導体不足がもたらした自動車産業の窮状
2021.04.05 デイリーコラム車載半導体メーカーのトップ3が操業停止に
「泣きっ面に蜂とはこのことだな」。ルネサスエレクトロニクスの主力工場である那珂工場において、3月19日に火災が起きたというニュースを聞き、筆者がまず抱いた感想がこれだ。
ルネサスの火事はまさに最悪のタイミングで起きた。というのも、この火事の前から世界の半導体需給は逼迫(ひっぱく)し、半導体不足から完成車メーカー各社は減産や操業停止を迫られていたからだ。
現状を振り返ると、トヨタ自動車はチェコでの生産を3月22日から2週間停止しているほか、米国とメキシコの計4工場でも操業を一時停止している。ホンダもメキシコ、米国、カナダの合計5工場で3月22日から1週間ほど操業を止めた。いずれも、大手半導体メーカー大手である独インフィニオン・テクノロジーズやオランダNXPセミコンダクターズの米国工場が、米国南部を襲った大寒波で停止したのが主因だった。しかも、寒波が引き起こした大規模な停電は、半導体だけでなく、エアバッグに使うナイロン繊維などといった石油化学品の生産拠点にも影響を及ぼしていた。そこに起きたのがルネサスの火災だ。ルネサス、インフィニオン、NXPの3社は、世界の車載半導体メーカーのトップ3であり、その3社がそろって災厄に見舞われるという異常事態に陥ったのである。
それでなくとも、2020年の末から世界の半導体需給は、車載半導体に限らず逼迫していた。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で在宅勤務が広がり、世界中でパソコン需要が急増したからだ。そこに自動車販売の回復が重なり、IT分野と自動車分野で半導体を取り合う状況となっていた。
半導体不足がなぜこれほど自動車生産に影響を及ぼすのか。それは、いまや自動車が“半導体の塊”になりつつあるからだ。クルマの電子制御化やパワートレインの電動化の進展により、クルマ1台には少なくとも30個程度、多い場合には100個以上のECU(電子制御ユニット)が搭載されている。
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