ホンダNSXタイプS(後編)

2021.12.16 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 設計が古い初代「ホンダNSX」には、時代特有のネガがある。いっぽうで、いまのクルマでは得難い美点も……! 名車の誉れ高いMRスポーツカーに試乗した谷口信輝が、その走りについて熱く語った。
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レベルの低さは否めないが……

トランクルームに備え付けられていた6連装のCDチェンジャーを見つけて「なつかしー!」と絶叫した谷口信輝。今回のテーマは2004年式の「ホンダNSXタイプS」だが、ここであらためて試乗した印象を谷口に語ってもらうことにしよう。
「ボディー剛性をはじめとしていろいろな部分がマイルドに感じられるけれど、それもまったく嫌な気はしないというお話はもうしましたよね(前編参照)。ただね、コーナリングのマナーなんかは、最近のスポーツカーとはだいぶ違いますね」

さしもの初代NSXも、現代のスポーツカーに比べると見劣りするところがあると谷口は言うのである。まずは、その話に耳を傾けてみることにしよう。
「コーナーに進入していきますよね。そうすると、足まわりへの入力に対してボディーがちょっとしなっちゃうみたいです。だからフロントが少し逃げるような感じがします」

これを聞いた編集部Sが「やっぱり、現代のスポーツカーと比べると見劣りしますか? エンジンパワーとかも物足りないですか?」と畳みかけるように質問した。
「まあ、エンジンパワーも足りないですし、運動性能も人馬一体感も、現代のスポーツカーに比べたら物足りないですよ。ボディー剛性、重量バランスの仕上がり、足の味つけまで、最新のスポーツカーと比較したらレベルは低いですよね」
 
谷口は渋々という感じで、そう認めたのだが、どうもこの話題がツボにはまったようで、編集部Sはさらに「レベルが低いって、どういうことですか?」と質問を投げかけた。
「やっぱり、思いどおりには曲がらない。その理由としては、フロントとリアの限界値の違いがすごく影響していて、このクルマはフロントのほうが限界値が低い。だから、基本的にアンダーステアなんです。ただね、タイヤを替えるだけでも、多少は変わるかもしれませんね。なにしろ、この30年間のタイヤの進化ってすごいから」

続いて谷口は、クルマとタイヤは二人三脚のように足並みをそろえて進化してきたという自説を唱え始めたのである。

 
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