ダイハツ・ムーヴXリミテッド(FF/CVT)【ブリーフテスト】
質実剛健 2011.03.08 試乗記 ダイハツ・ムーヴXリミテッド(FF/CVT)……134万1000円
総合評価……★★★
5代目となるダイハツの軽ワゴン「ムーヴ」に試乗。使い勝手から走りまで、その実力を確かめた。
定番ならではの安心感
日本人の“アシ”として、すっかり定着した「ダイハツ・ムーヴ」。初代を見たときは、少し不細工なデザインに戸惑ったが、旧型の4代目からはすっかりあか抜けて、ワンモーションフォルムのハイトワゴンスタイルには親しみを感じるし、すっきりとしたインテリアデザインも嫌みがない。さらに、必要十分な走行性能とコンパクトカー顔負けの広い室内、そして、軽自動車ならではの低いランニングコストを手に入れたムーヴが、人気を集めるのは当然のことだろう。
プラットフォームだけでなくイメージまでも旧型から受け継ぐ5代目ムーブは、新鮮さには欠けるけれど、見方を変えれば、定番のスタイルとして定着したといえる。正直なところ面白みはないが、手軽な移動の道具として付き合うのであれば、いまや選択肢から外せない存在だろう。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1995年の初代誕生以来、「スズキ・ワゴンR」とともにトールワゴン軽乗用車市場をけん引してきた、ダイハツを代表する軽ワゴン。5代目となる新型では、ハイブリッド車を除くガソリン車トップとなる27.0km/リッター(ムーヴ「X」、「Xリミテッド」のFF車、ムーヴカスタム「G」のFF車)の10・15モード燃費を実現。同時に装備の充実や安全性向上も図られた。
(グレード概要)ラインナップは、歴代モデル同様、標準モデルの「ムーヴ」とスポーティな「ムーヴカスタム」の2シリーズが用意される。取材車「Xリミテッド」は、カーナビや「nanoe(ナノイー)ディフューザー」が標準装備されるムーヴの最上級グレード。なお、アイドリングストップ装置の「eco IDLE(エコアイドル)」は、「Xリミテッド」「X」「フロントシートリフトX」に標準で備わる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
インストゥルメントパネルは、基本的な形状は旧型に似ているが、ダッシュボードの上部をシンプルにしたことで開放感がアップしている。センターのアナログメーターは、このグレードでは回転計が省かれ、速度計だけになる。表示が大きく確かに見やすいが、あまりに大きすぎてデザインのバランスが悪い。
前席まわりには、これでもか! というくらいの収納スペースが用意される。運転席側、助手席側それぞれに用意される"インパネアッパーボックス"はとくに重宝する。人気の"nanoeディフューザー"はこのXリミテッドに標準装着。女子にアピールするには、VSC(横滑り防止装置)より大切なデバイスなのだろう。
(前席)……★★★
フロントのベンチシートは左右独立型で、運転席はスライド、リクライニングに加えて、シートリフターが付く。このグレードならチルトステアリングが標準装着となるから、好みのシートポジションがとれるのがうれしい。シートの座り心地はソフトだが、案外ホールド性は良く、数時間の移動なら不満はなかった。アームレストも便利な機能。インパネシフトの動きが渋いのが気になる。
(後席)……★★★★
240mmのロングスライドが可能なリアシートは、一番前の位置でもなんとか座れるし、一番後ろなら十分すぎるほどのレッグルームが確保され、楽な姿勢がとれる。シートは座面部分が左右一体型のため、スライドの位置を左右別々に設定できないが、背もたれは独立してリクラインが可能である。
あり余るヘッドルームや大きなサイドウィンドウなどのおかげで開放感も抜群だ。
(荷室)……★★★★★
リアシートが一番後ろの状態では、奥行きは30cmほどと狭いが、必要に応じて前にスライドさせることで大きな荷物も搭載可能。荷室からリアシートのスライド操作ができるのも便利だ。もちろん、リアシートを倒せばさらに大きな荷物を収納することができる。その際、荷室とシートの隙間がフロアボードでカバーされるのは、日本メーカーらしい心遣い。床下収納もあり、小物の収納にも困らない。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
660ccの自然吸気エンジンは、“ecoドライブモード”の加速はのんびりとしているが、それなりにアクセルペダルを踏んでやれば、必要十分な加速が得られる。ただし、高速では追い越しがつらい場面もあった。その際、ノイズが高まるのは、小排気量3気筒エンジンだけに致し方ない。
アイドリングストップは、再スタートのレスポンスはさほど遅くないが、その直後に軽いショックが伝わるのが気になった。
試乗中はとくにエコドライブを心がけたつもりはないが、ドライブコンピューターの数字を見るかぎり平均燃費は16km/リッター台とまずまず。丁寧な運転を心がければ、さらに燃費は伸びるはずだ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
一般道では、多少タイヤの硬さを感じたり、また、時折、ピッチングなどの余分な動きが見られる。高速ではピッチングが目立ってくるが、それでも乗り心地は十分に快適なレベル。前席に比べ、後席は上下の動きが大きいものの、不快というほどではない。
ステアリングの中立付近がやや頼りないが、直進安定性は十分な出来。街乗りに不満はない。
(写真=小林俊樹)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2011年2月3日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2010年
テスト車の走行距離:1400km
タイヤ:(前)155/65R14(後)同じ(いずれも、ブリヂストンECOPIA EP150)
オプション装備:オプション色シルキーマルーンクリスタルメタリック(2万1000円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:268.3km
使用燃料:16.48リッター
参考燃費:16.28km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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