【F1 2022】オーストラリアGP続報:ルクレール&フェラーリの独り舞台 王者はマシンの信頼性に泣く

2022.04.10 自動車ニュース bg
F1第3戦オーストラリアGPを制したフェラーリのシャルル・ルクレール(写真)。開幕戦バーレーンGPに次ぐ今季2勝目、通算4勝目をポール・トゥ・ウィンで飾った。(Photo=Ferrari)
F1第3戦オーストラリアGPを制したフェラーリのシャルル・ルクレール(写真)。開幕戦バーレーンGPに次ぐ今季2勝目、通算4勝目をポール・トゥ・ウィンで飾った。(Photo=Ferrari)拡大

2022年4月10日、オーストラリアはメルボルンにあるアルバートパーク・サーキットで行われたF1世界選手権第3戦オーストラリアGP。開幕からの2戦を優勝と2位で終え波に乗るフェラーリ&シャルル・ルクレールが、3年ぶりの同GPで独り舞台を演じた。

ポイントリーダーとして乗り込んだオーストラリアGPで、ルクレール(写真)は盤石の走りで今シーズン2度目のポール奪取に成功。フェラーリがオーストラリアでポールを取ったのは2007年のキミ・ライコネン以来のことだ。決勝ではスタートから終始レースをコントロールし、セーフティーカーでリードを帳消しにされながらも最終的に20秒ものギャップを築き、見事ポール・トゥ・ウィンを達成。ファステストラップ、全周リードを加え、フェラーリにとっては2010年以来となる「グランドスラム」を成し遂げた。ルクレールのポイントリードは34点にまで拡大。向かうところ敵なしといった状況で、次戦イタリアでのエミリアロマーニャGPに凱旋(がいせん)する。(Photo=Ferrari)
ポイントリーダーとして乗り込んだオーストラリアGPで、ルクレール(写真)は盤石の走りで今シーズン2度目のポール奪取に成功。フェラーリがオーストラリアでポールを取ったのは2007年のキミ・ライコネン以来のことだ。決勝ではスタートから終始レースをコントロールし、セーフティーカーでリードを帳消しにされながらも最終的に20秒ものギャップを築き、見事ポール・トゥ・ウィンを達成。ファステストラップ、全周リードを加え、フェラーリにとっては2010年以来となる「グランドスラム」を成し遂げた。ルクレールのポイントリードは34点にまで拡大。向かうところ敵なしといった状況で、次戦イタリアでのエミリアロマーニャGPに凱旋(がいせん)する。(Photo=Ferrari)拡大
レッドブルのセルジオ・ペレス(写真)は、3番グリッドから2位フィニッシュ。スタートでルイス・ハミルトンに先を越されるも序盤のうちに3位奪還。チームメイトのマックス・フェルスタッペンが2位走行中にメカニカルトラブルでリタイアしたことで得たポジションだった。ドライバーズランキングでは現在30点で4位。チャンピオンのフェルスタッペンはさらに5点ビハインドの6位に沈んでいる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
レッドブルのセルジオ・ペレス(写真)は、3番グリッドから2位フィニッシュ。スタートでルイス・ハミルトンに先を越されるも序盤のうちに3位奪還。チームメイトのマックス・フェルスタッペンが2位走行中にメカニカルトラブルでリタイアしたことで得たポジションだった。ドライバーズランキングでは現在30点で4位。チャンピオンのフェルスタッペンはさらに5点ビハインドの6位に沈んでいる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

三者三様、3年ぶりのオーストラリアGP

開幕戦として予定されていた2020年のオーストラリアGPが、新型コロナウイルス感染者が出たことで直前に中止されてから2年。世界中で吹き荒れたパンデミックの嵐をくぐり抜け、F1が再びメルボルンに戻ってきた。

この間にコースの一部が改修され、ターン9のシケインが取り除かれたほか、ターン1をはじめいくつかのコーナーは拡幅され、従来のストップ&ゴーの単調なレイアウトから、よりオーバーテイクしやすいように高速化されたのだ。

新装されたアルバートパークでの優勝最有力候補は、今季開幕からの2戦とも絶好調だったフェラーリだ。実際、GPウイークが始まると、バックストレートではひどい“ポーポシング”を起こしマシンが小刻みに跳ねていたものの、「F1-75」はその挙動を許容しながら、中低速コーナーを中心に抜群の速さを見せていた。

俊足の跳ね馬に立ち向かうのは、ストレートや高速コーナーを得意とするレッドブル。しかし、前戦サウジアラビアGPで勝利したマックス・フェルスタッペンは、コース改修の影響からか「RB18」のバランスに苦しみ、タイヤのウォームアップにも手を焼いていた。

フェラーリ、レッドブルから大きく出遅れた8冠王者のメルセデスは、初日から悪戦苦闘。ポーポシングをはじめ今季型「W13」の特性をまだつかみかねており、メルボルンにもあえてアップデートパーツを持ち込まず、走り込みながらマシンの根本の理解に努めざるをえなかった。

三者三様、3年ぶりのオーストラリアGPは、連日記録的な数の大観衆が集まる盛況ぶり。パンデミック中の数々の制限と、鬱々(うつうつ)とした日々からの解放を印象づける、お祭り騒ぎの週末となった。

今季、予想以上に苦しい戦いを強いられているメルセデスだったが、フェルスタッペンのリタイアにも助けられ、結果的にはジョージ・ラッセル(写真)が6番グリッドから移籍後初の3位表彰台、ハミルトンも5番グリッドから4位でゴール。メルセデスはこのレースで最多得点を稼いだチームとなり、ランキングでも現在2位、まずまずのポジションにいる。しかし、オーストラリアGPではマシンアップデートはあえて持ち込まず、まだつかみかねている今季型「W13」の特性の理解に努めていたところに、ターボハイブリッド時代の巨人が抱える悩みの大きさがうかがえる。(Photo=Mercedes)
今季、予想以上に苦しい戦いを強いられているメルセデスだったが、フェルスタッペンのリタイアにも助けられ、結果的にはジョージ・ラッセル(写真)が6番グリッドから移籍後初の3位表彰台、ハミルトンも5番グリッドから4位でゴール。メルセデスはこのレースで最多得点を稼いだチームとなり、ランキングでも現在2位、まずまずのポジションにいる。しかし、オーストラリアGPではマシンアップデートはあえて持ち込まず、まだつかみかねている今季型「W13」の特性の理解に努めていたところに、ターボハイブリッド時代の巨人が抱える悩みの大きさがうかがえる。(Photo=Mercedes)拡大

3戦連続の一騎打ち、予選ではルクレールがポール

予選では、過去2戦と同様にフェラーリとレッドブルの一騎打ちとなるも、Q3で最速タイムをたたき出したのはルクレール。だが今回は僅差ではなく、2位フェルスタッペンに0.286秒という大きな差をつけ、バーレーンGPに次ぐ今季2回目、通算11回目のポールポジションを獲得した。

レッドブルのセルジオ・ペレスが予選3位。過去2戦で苦しんだマクラーレンは、ランド・ノリスが4位につけ、ルイス・ハミルトン5位、ジョージ・ラッセル6位のメルセデス勢の前からスタートとなった。久々の母国GPに気合十分のダニエル・リカルドはマクラーレンを7位に導き、アルピーヌのエステバン・オコンは8位。フェラーリのカルロス・サインツJr.は、Q3中の赤旗中断でアタックを諦めざるをえず、最後のラップでは冷えたタイヤでミスし、9位に沈んだ。

アルピーヌのフェルナンド・アロンソは、キレのある走りで上位を狙ったものの、油圧系トラブルでギアチェンジできずコースオフし壁にヒット、10番手からスタートすることに。また角田裕毅のアルファタウリは中団勢のなかでもまれ、チームメイトのピエール・ガスリーの2つ後ろ、13位だった。

開幕から2戦でいいところがなかったマクラーレンは、予選で2台そろってQ3に進み復調を印象づけたものの、予選4位のランド・ノリス(写真前)は「マシンは何も変えていない。コースがマシンに合っていただけ」と、今季型「MCL36」のパフォーマンスについてはまだ楽観していないようだった。母国の大声援を受けたダニエル・リカルド(同後ろ)は予選7位。レースでは2台そろってポイント圏内を走り、ノリス5位、リカルド6位とダブル入賞。これでマクラーレンは24点を獲得し、コンストラクターズランキング4位につけている。(Photo=McLaren)
開幕から2戦でいいところがなかったマクラーレンは、予選で2台そろってQ3に進み復調を印象づけたものの、予選4位のランド・ノリス(写真前)は「マシンは何も変えていない。コースがマシンに合っていただけ」と、今季型「MCL36」のパフォーマンスについてはまだ楽観していないようだった。母国の大声援を受けたダニエル・リカルド(同後ろ)は予選7位。レースでは2台そろってポイント圏内を走り、ノリス5位、リカルド6位とダブル入賞。これでマクラーレンは24点を獲得し、コンストラクターズランキング4位につけている。(Photo=McLaren)拡大

ルクレールがフェルスタッペンを率いてリード

過去4回のオーストラリアGPでは、ポールからの勝者はなし──そんなジンクスをものともせず、ルクレールは58周の独り旅に出かけるのだった。

スタートでトップを守り首位快走を続けたルクレールと比べ、もう1台の赤いマシンをドライブするサインツJr.は受難続きだった。9番グリッドから鈍い出だしでポイント圏外にダウン。焦りもあったか、3周目にはコースオフ、スピンを喫してリタイアとなってしまった。

グラベルにつかまったフェラーリを救出するため、バーチャルセーフティーカー、程なくしてセーフティーカーが出動し6周目まで先導。レースが再開すると、1位ルクレールと、スタートから2位をキープするフェルスタッペンの力の差がいよいよ明らかになりはじめ、15周目を過ぎるころにはルクレールのリードは6秒にもなっていた。

フェルスタッペンの左フロントタイヤはグレーニング(タイヤの“ささくれ”による一時的なパフォーマンス低下)が起きておりペースが上がらない。レッドブルは19周目にフェルスタッペンをピットに呼び、ミディアムタイヤからハードにチェンジ。スタートで出遅れるも3位を取り戻していたペレスも、21周目にハードに履き替えた。

先頭のルクレールはといえば、スタートタイヤのミディアムでまだ快調に飛ばし、23周目にタイヤ交換を済ませると、1位を譲ることなくコースに戻った。

アルファタウリは、接戦の中団チーム争いのなかでなかなか上位に食い込めず、それでもピエール・ガスリー(写真前)は予選11位から9位入賞でレースを終えることができた。スタートで2台を抜くも、セーフティーカー前にタイヤ交換したことで14位に後退。そこからの挽回劇だった。チームメイトの角田裕毅は、予選でコースオフするなどしてラップをまとめきれず13位。レースでは11位に上昇するもうまくマシンを手なずけることができず、15位と不本意な結果に終わった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
アルファタウリは、接戦の中団チーム争いのなかでなかなか上位に食い込めず、それでもピエール・ガスリー(写真前)は予選11位から9位入賞でレースを終えることができた。スタートで2台を抜くも、セーフティーカー前にタイヤ交換したことで14位に後退。そこからの挽回劇だった。チームメイトの角田裕毅は、予選でコースオフするなどしてラップをまとめきれず13位。レースでは11位に上昇するもうまくマシンを手なずけることができず、15位と不本意な結果に終わった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
チャンピオンに悪夢再び。レッドブルのフェルスタッペン(写真)は、初日からマシンのセッティングが決まらず、予選でルクレールのフェラーリに0.286秒ものギャップを築かれ2位。レースでも2位をキープするも、フェラーリを脅かすまでは至らなかった。58周レースの39周目、マシンの異常を感じ取った後にピットからの指示でストップ、3戦して2回目のリタイアを喫した。いまのレッドブルにとって、マシンの信頼性の確保が急務であることは言うまでもない。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
チャンピオンに悪夢再び。レッドブルのフェルスタッペン(写真)は、初日からマシンのセッティングが決まらず、予選でルクレールのフェラーリに0.286秒ものギャップを築かれ2位。レースでも2位をキープするも、フェラーリを脅かすまでは至らなかった。58周レースの39周目、マシンの異常を感じ取った後にピットからの指示でストップ、3戦して2回目のリタイアを喫した。いまのレッドブルにとって、マシンの信頼性の確保が急務であることは言うまでもない。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2010年以来のグランドスラム、ルクレール完勝

優勝争いに絡む気配はまったくなかったものの、善戦したのはメルセデス勢だった。ハミルトンはスタートで3位にジャンプアップ、ラッセルも5位に駒を進め、両車ともレースではペレスと接近戦を演じるまでパフォーマンスを上げてきていたのだ。

シルバーアローの2台で明暗が分かれたのが、セーフティーカーのタイミングだった。24周目、過去2戦をコロナ感染で欠場していたセバスチャン・ベッテルのアストンマーティンがクラッシュし、セーフティーカーが再び出動すると、まだタイヤ交換をしていなかったラッセルがピットに入り3位に上昇。既にピットストップ済みだったハミルトンは6位に落ちてしまった。

1位ルクレール、2位フェルスタッペン、3位ラッセル、そしてタイヤ無交換の4位アロンソ、5位ペレス、6位ハミルトンといった順位で27周目にグリーンフラッグが振られると、フェルスタッペンがルクレールの横に並んでターン1を目指すも、フェラーリが首位をキープ。この日トップ2台が最も接近した瞬間だったが、跳ね馬の走りに一切ほころびはなく、ルクレールは再び着々とリードタイムを増やしていった。

2位でよしとすることもできたフェルスタッペンに、開幕戦に続きまたも悪夢が訪れた。39周目、「変な液体の匂いがするぞ!」と無線で叫ぶワールドチャンピオンに、チームはマシンを止めろと指示を出し、3戦目にして2度目のリタイアが決まったのだ。

ライバル不在のルクレールは、最後の仕上げにとばかりに「ファステストラップ狙いにいこうぜ」とチームをあおり、その案に乗り気でないピットをよそに、最終周に最速タイムを記録。ポール・トゥ・ウィン、ファステストラップ、そして全周リードと、フェラーリにとっては2010年以来となる「グランドスラム」を達成し、さらにルクレールのポイントリードは34点にまで拡大した。

フェルスタッペンの脱落で2位をつかんだペレスだったが、チームの状況からすれば、その表情は浮かないものにならざるをえなかった。

メルセデス移籍後初の表彰台となる3位で終えたラッセルは、これでドライバーズランキング2位に上昇。さらにハミルトンも4位でゴールしたことで、苦戦中のシルバーアローは、なんとフェラーリに次ぐコンストラクターズランキング2位につけている。

こうした予想外の展開も、レッドブルの信頼性のなさからくるもの。2位走行中に2回リタイアしたフェルスタッペンが取りこぼしたポイントは実に36点。フェルスタッペンのランキングは6位である。仮に速さでフェラーリに勝てたとしても、完走できなければ意味はないのだ。

次の第4戦はイモラでのエミリアロマーニャGP。決勝は4月24日に行われる。

(文=bg)

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