「シフトダウン時に回転を合わせないのはなぜ?」

2011.03.05 クルマ生活Q&A 松本 英雄 トランスミッション

「シフトダウン時に回転を合わせないのはなぜ?」

先日とあるウェブサイトで、F1ドライバーが「スバル・インプレッサ」を駆り、サーキットで全開走行している動画を見ました。経験したことのない速度域の世界が展開していてとてもおもしろかったのですが、ひとつ気づいたことがあります。インプレッサは6段MTだったのですが、車載カメラが捉えたドライバーの操作を見た限りでは、シフトダウンする際にブレーキペダルとクラッチペダルだけしか踏んでいないようなのです。つまりヒール&トウをしていないように見えたのですが、シフトダウン時に回転を合わせないで大丈夫なのでしょうか? それとも最近のラリーカーには特殊な仕掛けでもあるのですか?

お答えします。その動画を見ていないので、インプレッサがどういう仕様なのか私にはわかりませんが、考えられる理由としては、6段MTのギア比がクロスレシオなため、ヒール&トウをして回転を合わせる必要がないとドライバーが判断したのではないでしょうか。あるいはノーマル車のトランスミッションには装備されていない、シフトダウン時に電子制御で回転数を上げてくれる、いわゆるオートブリッピング機能が備えられていたとか。いずれにしても言えるのは、ドライバーがヒール&トウの必要性を感じなかったからしていない、ということです。

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。