「ATのソレノイドって、なに?」
2010.07.31 クルマ生活Q&A トランスミッション「ATのソレノイドって、なに?」
「プジョー406ブレーク」に乗っています。先日、ATの調子が悪いのでディーラーで見てもらったところ、「ソレノイド不良」とのことで交換を勧められました。そもそもソレノイドって何でしょうか? また不良になってしまった原因はあるのでしょうか? 新車で購入してから5年経ちますが、週末しか乗らないため、走行距離はようやく3万kmです。また使用状況はほとんどが高速道路の走行です。交換には結構な金額がかかるため、今後のためにも教えてください。
ソレノイドとは「電流を流すことによって、コイル内に磁界をつくる筒型コイル」ですが、ATに使われる場合は「ATの変速を制御する油圧の経路の切り替え装置」と考えてください。
お乗りのプジョー406ブレークは、直4エンジン搭載モデルではないでしょうか? だとすると、使われているATは「AL4」と呼ばれる4段ATで、プジョーのほかルノー、シトロエンなどフランス車の多くのモデルに使われています。現在使われているAL4は改良が進み、以前のようなトラブルはないといわれていますが、かつては不調を訴える声をときおり聞きました。「ソレノイド不良」の直接の原因は不明ですが、私自身も実際に所有していた某車のAL4でトラブルを体験しています。ソレノイドの不調でシフトアップしなくなったため、ATを丸ごと交換したのです。
このようにソレノイドが不調になると、スムーズなシフトアップ/ダウンが行えなくなったり、シフトショックが大きくなったり、速度とアクセル開度に対して適切なギアを選択できずに走りがギクシャクしたり、といった症状が現れます。
高速道路の走行が主体という、一般的にはクルマへの負担が少ないとされる使用状況でATが不調になってしまったのはお気の毒ですが、ここはプロの診断を仰ぐほかに解決策はないでしょう。しかし、おっしゃるように修理費用は安くはないでしょうから、「不調の原因」「交換する部品は対策品か否か」「修理後に再度故障した場合の保証」などをはっきりと確認してから、修理を依頼されたほうがいいと思います。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。