公道デビューが待ちきれない! 2023年発売(予定)の注目バイク3選
2022.12.16 デイリーコラムストリートバイクの理想形!?
海外のショーで数多くのニューモデルが発表されてうれしいかぎり。どれも魅力的だなと思うのだけれど、個人的にストリートを走るのであれば、使い切れないハイパフォーマンスより常用域での楽しさが重要。さらにゴテゴテしたバイクはちょっと気恥ずかしいので、普段着っぽい格好で乗っても違和感がなく、それでいてファッショナブルなバイクがいいなと思う。そういう観点で見ると、気になるのは「ホンダCL500」だ。
CLはホンダが1960~1970年代に販売していたスクランブラーモデルにつけていた名前だ。当時は本格的なオフロードバイクが少なかったので、オンロードバイクにオフの装備を装着したスクランブラーが主流だった。「CL450」の場合は、「CB450」にアップタイプのマフラーとオフロードでのコントロール性を考えたハンドルを装着。DOHCツインのパワーで、豪快な走りを身上としたバイクである。
新型CL500は、「レブル500」をベースにして車体、エンジンともに変更が加えられているのだが、レブルとはかなり走りの印象が違うだろうなと思うのは、タイヤサイズがフロント19インチ/リア17インチになっているから。大径フロントタイヤが生み出すシットリしたハンドリングと元気のいいレブル500のエンジンの組み合わせで、理想的なストリートバイクの走りが実現されているのではないかと思う。
ホンダが、往年の名車をイメージして大人気になっている新型の「ハンターカブ」や「ダックス」に比べると、オマージュの度合いやスクランブラー的な雰囲気はそれほど強くないが、逆にシンプルなデザインだからカスタムがやりやすそうだという点もポイント。アフターマーケットからパーツが登場してくれば、かなり盛り上がりそうな予感がする。いろいろと可能性がありそうで、大注目の一台なのである。
電動化してもファン・トゥ・ライドは健在か?
もう一台の注目は、トライアンフの「スピードトリプル765」。ハイパフォーマンスなバイクは対象外と書いたが、コイツだったらサーキットメインのバイクとして使ってみたい。もともとストリートトリプルは車体サイズとパワー感がちょうどいい感じだし、自由自在感のあるハンドリングや3気筒が高回転までブン回るフィーリングが官能的で、マイ・フェイバリット・スポーツバイクの一台。それがMoto2で培った技術とともに進化したのだから面白くないはずがない。
最もスポーティーな「RS」なんて、この車体サイズで130PSも発生している。排気量が大きくなったことで高回転の気持ちいい回り方がどんなフィーリングに変化しているのか、とても気になるところ。サーキットでの走りを追求して変更が加えられた車体や足まわりも含め、サーキットで走らせたいバイクNo.1である。
最後の一台は、カワサキのEVバイク「Z」。数年前、カワサキが本格的な電動スポーツバイクの開発をスタートさせたと聞いて、登場してくるのを楽しみにしていたのだ。エンジンフィーリングをつくり込むのが得意なカワサキが提唱する、電動のエキサイトメントがどんなものなのか? 試乗したくてウズウズしている。
日常の足として考えた場合、電動はとても魅力的なのだけれど、今回発表されたモデルを実際に購入検討するかと言われたら引っかかるのがデザイン。もう少しシックな感じのモデルが加わってくれるとがぜん購入意欲が湧いてくるのだが……。ネイキッドバイクの場合はエンジンやマフラーが外観で大きなポイントになるので、昔のモデルをモチーフにするのは難しいだろうが、電動であれば新しいユーザーも目を向けることだろう。そんななかには僕と同じように感じるライダーもいるのではないかと思うのである。
今のところは先進性をイメージさせるデザインになることは当然だと思うけれど、電動の特徴を生かしたうえで、日常生活に自然に溶け込むような大人っぽいデザインが新たに誕生してくれることを望みたいものである。
(文=後藤 武/写真=河野正士、カワサキモータースジャパン、トライアンフ モーターサイクル、本田技研工業/編集=堀田剛資)
◇◆こちらの記事も読まれています◆◇
◆【画像・写真】モーターサイクルショー「EICMA 2022」の会場から
◆【コラム】排ガス規制でサヨウナラ!? 新車を買うなら今しかないオススメ絶版バイク3選
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |

後藤 武
ライター/エディター。航空誌『シュナイダー』や二輪専門誌『CLUBMAN』『2ストマガジン』などの編集長を経てフリーランスに。エアロバティックスパイロットだった経験を生かしてエアレースの解説なども担当。二輪旧車、V8、複葉機をこよなく愛す。
-
トヨタ車はすべて“この顔”に!? 新定番「ハンマーヘッドデザイン」を考える 2025.10.20 “ハンマーヘッド”と呼ばれる特徴的なフロントデザインのトヨタ車が増えている。どうしてこのカタチが選ばれたのか? いずれはトヨタの全車種がこの顔になってしまうのか? 衝撃を受けた識者が、新たな定番デザインについて語る!
-
スバルのBEV戦略を大解剖! 4台の次世代モデルの全容と日本導入予定を解説する 2025.10.17 改良型「ソルテラ」に新型車「トレイルシーカー」と、ジャパンモビリティショーに2台の電気自動車(BEV)を出展すると発表したスバル。しかし、彼らの次世代BEVはこれだけではない。4台を数える将来のラインナップと、日本導入予定モデルの概要を解説する。
-
ミシュランもオールシーズンタイヤに本腰 全天候型タイヤは次代のスタンダードになるか? 2025.10.16 季節や天候を問わず、多くの道を走れるオールシーズンタイヤ。かつての「雪道も走れる」から、いまや快適性や低燃費性能がセリングポイントになるほどに進化を遂げている。注目のニューフェイスとオールシーズンタイヤの最新トレンドをリポートする。
-
マイルドハイブリッドとストロングハイブリッドはどこが違うのか? 2025.10.15 ハイブリッド車の多様化が進んでいる。システムは大きく「ストロングハイブリッド」と「マイルドハイブリッド」に分けられるわけだが、具体的にどんな違いがあり、機能的にはどんな差があるのだろうか。線引きできるポイントを考える。
-
ただいま鋭意開発中!? 次期「ダイハツ・コペン」を予想する 2025.10.13 ダイハツが軽スポーツカー「コペン」の生産終了を宣言。しかしその一方で、新たなコペンの開発にも取り組んでいるという。実現した際には、どんなクルマになるだろうか? 同モデルに詳しい工藤貴宏は、こう考える。
-
NEW
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
NEW
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
NEW
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
NEW
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。 -
NEW
トヨタ車はすべて“この顔”に!? 新定番「ハンマーヘッドデザイン」を考える
2025.10.20デイリーコラム“ハンマーヘッド”と呼ばれる特徴的なフロントデザインのトヨタ車が増えている。どうしてこのカタチが選ばれたのか? いずれはトヨタの全車種がこの顔になってしまうのか? 衝撃を受けた識者が、新たな定番デザインについて語る! -
NEW
BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ(FR/8AT)【試乗記】
2025.10.20試乗記「BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ」と聞いて「ほほう」と思われた方はかなりのカーマニアに違いない。その正体は「5シリーズ セダン」のロングホイールベースモデル。ニッチなこと極まりない商品なのだ。期待と不安の両方を胸にドライブした。