日産が新開発の電動パワートレインを公開 部品共用とモジュール化でコストを30%削減

2023.03.09 自動車ニュース webCG 編集部
日産自動車が発表した新開発の電動パワートレイン。左が「e-POWER」の「5-in-1」ユニット、右がEV用の「3-in-1」ユニット。
日産自動車が発表した新開発の電動パワートレイン。左が「e-POWER」の「5-in-1」ユニット、右がEV用の「3-in-1」ユニット。拡大

日産自動車は2023年3月9日、現在開発を進めている新型電動パワートレインの試作ユニットを公開した。

EV用の「3-in-1」は、モーターとインバーター、減速機をモジュール化したものだ。
EV用の「3-in-1」は、モーターとインバーター、減速機をモジュール化したものだ。拡大
「5-in-1」ではモーターとインバーター、減速機に加え、ジェネレーター(発電機)、およびエンジンからジェネレーターに動力を伝達するギア(増速機)もモジュール化される。
「5-in-1」ではモーターとインバーター、減速機に加え、ジェネレーター(発電機)、およびエンジンからジェネレーターに動力を伝達するギア(増速機)もモジュール化される。拡大
日産のパワートレイン開発を統括する、平井俊弘専務執行役員。日本国内における日産の電動車販売比率は、すでに50%を超えているという。
日産のパワートレイン開発を統括する、平井俊弘専務執行役員。日本国内における日産の電動車販売比率は、すでに50%を超えているという。拡大
発表会では「e-POWER」の開発を統括する、渋谷彰弘氏も登壇。「X-in-1」開発の狙いに加え、ショックのなさやスムーズな加速など、電動パワートレインの開発における日産のこだわりについても解説された。
発表会では「e-POWER」の開発を統括する、渋谷彰弘氏も登壇。「X-in-1」開発の狙いに加え、ショックのなさやスムーズな加速など、電動パワートレインの開発における日産のこだわりについても解説された。拡大

ユニットの小型軽量化は走りや静粛性の向上にも寄与

日産では現在、「アリア」や「リーフ」といった電気自動車(EV)用と、「ノート」や「キックス」「エクストレイル」などに設定されるシリーズ式ハイブリッドシステム「e-POWER」の、2種類の電動パワートレインを主にラインナップしている。

今回発表された新型パワートレインは、このEV用ユニットとe-POWERの主要部品を共用化し、モジュール化したものとなっており、日産では「X-in-1」と称している。具体的には、モーターとインバーター、減速機をモジュール化したEV用のユニットを「3-in-1」、これらに加えて発電機と増速機もモジュール化したe-POWERのユニットを、「5-in-1」と呼称している。

日産では現行モデルのEVやe-POWER車でも、モーターやインバーターなどの部品の共有化を進めてきたが、このX-in-1ユニットでは、それがさらに加速。主要な駆動部品の共有化とユニットのモジュール化により、パワートレインのコストは2019年比で約30%低減するとされている。これにより、e-POWER車については、2026年までに純エンジン車と同等の車両コストとすることを目指すという。

同時に、X-in-1ではユニットの小型・軽量化により、車両の走行性能や静粛性も向上。重希土類の使用量を1%以下(重量比)に抑えた、新開発モーターの採用も予定しているという。

日産は将来の電動化戦略について、2030年度までに「19車種のEVを含む27車種」にラインナップを拡充すると発表(参照)。試乗ごとに最適な電動車両を、最適なタイミングで投入するとしている。

(webCG)

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