ランドローバー・ディフェンダー90 75 thリミテッドエディション(4WD/8AT)/ルノー・ルーテシアE-TECHフルハイブリッド レザーパック(FF/4AT+2AT)/テスラ・モデルYパフォーマンス(4WD)
“100年に一度”にワクワク 2023.03.16 JAIA輸入車試乗会2023 年初の恒例行事であるJAIA輸入車試乗会に参加したwebCGこんどーは、「ランドローバー・ディフェンダー90」と「ルノー・ルーテシアE-TECHフルハイブリッド」「テスラ・モデルY」を連れ出し、これからのクルマとの付き合い方について考えた。
新たな歴史のはじまり
ランドローバー・ディフェンダー90 75thリミテッドエディション
これ、いい! 欲しい! そう思った。どこか懐かしいグラスミアグリーンのボディーカラーをまとった、ディフェンダー90が目の前にある。
今回試乗した「75thリミテッドエディション」は、ランドローバーのはじまりとなる「ランドローバー・シリーズI」が、1948年のアムステルダムモーターショーで発表されてから2023年で75周年を迎えることを記念した特別仕様車だ。ベースとなるのは上級グレード「HSE」で、2リッター直列4気筒INGENIUMガソリンエンジンを搭載している。
初代のイメージを現代的に昇華させたデザインは、シンプルで美しく、それでいてたくましさも感じさせる見事な出来栄えだ。
売れ筋の「ディフェンダー110」がラグジュアリーな雰囲気を醸し出すのに対して、この90はホイールベースを切り詰めただけなのにカジュアルさが際立って映る。実際に走らせても110とはだいぶ違う。見た目と同様に、軽快でスポーティーなのだ。路面の継ぎ目などでは突き上げを感じるけれど、意外や直進性の高さは抜群で、ロングツーリングも快適にこなす。エンジンも2リッターにしては十分なトルク感で、動力性能においても不満はない。
街なかでの使い勝手もいい。車幅についてはやや持て余すシーンもあるかもしれないが、110よりも断然小回りが利く。フロアが高いこともあってやや乗降しづらい後席についても、乗り込んでしまえば十分な広さがある。
2019年の日本でのお披露目の際に、デザインを担当したジェリー・マクバガン氏はこう語っていた。「110もいいのですが、私の家族は妻と娘だけですし、個人的には3ドアの90のほうがいいですね。あと、非常にシンプルなものですけど白塗りのスチールホイールも用意していて、それを装着すると、よりディフェンダーらしさが味わえると思います」
まれにみる傑作であるディフェンダーは、どのタイミングでどのモデルを手に入れても、長く付き合える一台になるだろう。
【スペック】
全長×全幅×全高=4510×1995×1970mm/ホイールベース=2585mm/車重=2180kg/駆動方式=4WD/エンジン=2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(最高出力:300PS/5500rpm、最大トルク:400N・m/2000rpm)/トランスミッション=8AT/燃費=8.3km/リッター(WLTCモード)/価格=1101万3000円
やればできる!
ルノー・ルーテシアE-TECHフルハイブリッド レザーパック
「輸入車No.1の低燃費」。こんな言葉がオフィシャルサイトを飾るフランス車なんて、初めて見た。
コピーは、「それは、静かなだけじゃない。環境に優しいだけじゃない。燃費が良いだけじゃない。その技術がもたらす走りは、ハイブリッドカーの常識を覆す。エンジンだけでも、モーターだけでも実現できなかった低速から高速まで、全速度域で驚愕(きょうがく)のレスポンスを生み出す。さあ、輸入車唯一(ルノー調べ2022年6月現在)のフルハイブリッドで、想像を超える、革命的な走りを。」と続く。
(従来のハイブリッドカーのように)退屈なクルマじゃありませんよ。走りもすごいですからね。というアピールである。
実際に乗ってみても、その走りのよさは際立っている。ボディー剛性の高さに加え、足まわりの仕上がりのよさが尋常じゃない。目地段差の大きな道路でも軽快にショックを吸収し、ワインディングロードでは絶大なる安心感をもって操ることができる。安定感、乗り心地、フラット感、ステアリングの正確性、しなやかさ、静粛性といったすべてが極めてハイレベルなのだ。
いっぽう低燃費のキモは、ルノーがF1パワーユニットの経験も生かして独自開発したという「E-TECHハイブリッド」だ。ドッグクラッチが使われるのが特徴で、エンジン単体での走行、EV走行、エンジンがEV走行をアシスト、エンジンで発電しながらのEV走行、を自在に使い分ける。機構的には全く異なるのだが、走行時の印象はトヨタの「THS II」にちょっと似ている。
ドライビングそのものを心底楽しめて、気がつけば燃費もいい。ルノー・ルーテシアE-TECHフルハイブリッドは、そんな“いいとこどり”のクルマである。ライバルは、新型「トヨタ・プリウス」か!?
【スペック】
全長×全幅×全高=4075×1725×1470mm/ホイールベース=2585mm/車重=1310kg/駆動方式=FF/エンジン=1.6リッター直4 DOHC 16バルブ(最高出力:91PS/5600rpm、最大トルク:144N・m/3200rpm)/メインモーター=交流同期電動機(最高出力:49PS/1677-6000rpm、最大トルク:205N・m/200-1677rpm)/サブモーター=交流同期電動機(最高出力:20PS/2865-1万rpm、最大トルク:50N・m/200-2865rpm)/トランスミッション=4AT(エンジン用)+2AT(モーター用)/燃費25.2km/リッター(WLTCモード)/価格=354万円
クルマなだけじゃない
テスラ・モデルYパフォーマンス
え、こんなになんにもないの!? 初めてテスラ・モデルYのインテリアに触れた人は、そう思うことだろう。ステアリングホイールと左右に伸びるコラムレバー、インストゥルメントパネルの中央に配された15インチのタッチパネルディスプレイ以外には何もないのだから。つまりはこのディスプレイだけで、走りに関することから車両のさまざまな機能に至るまで、全部設定できるようになっている。しかも操作用のアプリは頻繁にアップデートされるので、オーナーからすれば新鮮さが持続する。
テスラオーナーにとってスマホは必携のアイテムだ。テスラとのカーライフは、クルマとスマホとをつなぐところからスタートする。クルマに近づけばロックが解除され、ドライバーズシートに座ればシステムが起動する。アプリを使って充電状況を確認することもできるし、遠隔地からロックを操作することもできる。
今回のモデルYは、世界中で人気を博すSUVタイプの電気自動車だ。写真ではコンパクトに見えるかもしれないけれど、実物はかなり大きい。全幅は1.9mを超えていて、かなり存在感がある。ずんぐりむっくりのユーモラスなスタイルが特徴のモデルYだが、0-100km/hは3.7秒と、スーパースポーツカー並みの加速性能を誇る。シャシーは剛性感のかたまりだ。アンダーボディー後部を一体プレス成型しているのが効いている。
足まわりはかなり引き締められている。走りはすべてがダイレクトで、俊敏である。車高の高いSUVでありながらも、鷹揚(おうよう)さよりも運動性能を重視したのだろう。操舵に対してクイックに反応し、意のままに走る。
テスラには、とにかく独特の文化がある。ほかのクルマとは、ガラケーとスマホくらい違う。それはちょっと大げさだとしても、WindowsとMacぐらいは違う。モデルYの場合、ここ半年のあいだに80万円くらい「値下げ」されたのにも驚く。とにかくクルマへのアプローチの仕方が全然違う。そのぶん、これに慣れてしまうと離れがたい魅力にあふれていることは確かだ。
それが、いいことかどうかはわからないけれど。
【スペック】
全長×全幅×全高=4751×1921×1624mm/ホイールベース=2890mm/車重=2000kg/駆動方式=4WD/フロントモーター=水冷式ACインダクションモーター(最高出力:215PS/、最大トルク:240N・m)/リアモーター=水冷式AC永久磁石同期モーター(最高出力:320PS/、最大トルク:450N・m)/一充電走行距離=595km(WLTCモード)/交流電力量消費率=150Wh/km/価格=754万4600円
(文=webCG こんどー/写真=田村 弥、峰 昌宏/編集=近藤 俊)

近藤 俊
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