「日産GT-R」認定中古車へのプロセスを体験
2011.01.19 自動車ニュース「日産GT-R」認定中古車へのプロセスを体験
2011年1月16日、東京都武蔵村山市にある日産の中古車販売店「カーミナル東京」において、「GT-R認定中古車フラッグシップショップ」のオープニングイベントが開催された。
■日産のこだわり
東京都武蔵村山市といえば、かつてプリンス自動車工業から日産自動車に引き継がれた村山工場があった場所だ。村山工場といえば、スカイラインの生産施設として名をはせていた。つまり「スカイラインGT-R」生誕の地でもあった。
その跡地に2007年にオープンした日産の中古車専売店「カーミナル東京」で、ユーザー向けイベントが開かれた。同店は2010年12月に「GT-R認定中古車フラッグシップショップ」となり、それを記念したオープニングイベントだった。
GT-Rに認定中古車制度が導入されたのは2009年。GT-Rブランドを守り、育てたいという思いが誕生につながったのだという。 日産が認定中古車を用意するのはこれが初めてではないが、GT-Rでは条件をより厳格にしているという。
何よりもこだわっているのは、オリジナルであること。下取り時にノーマルであっても、過去の改造まで遡ってチェックする。たとえばマフラーは交換によるボディの焼けまでチェックし、ECUは診断の結果、交換歴がある個体は除外される。
取り扱いは、GT-Rの新車を販売する日産ハイパフォーマンスセンター(NHPC)と、中古車センターが行う。その中でフラッグシップショップとして選ばれたのがカーミナル東京なのである。いままで20台以上のGT-R認定中古車を販売してきた実績が評価されたようだ。
■通常の3倍!
この日は認定車設定プロセスの模擬実演も行われた。まず保証書やメンテナンスノートで保証や改造履歴のチェックを行った後、「コンサルト」と呼ばれるシステムを使って、エンジン/トランスミッション/VDC(横滑り防止装置)の使用状況を調べる。さらにシャシー部品や外装部品を目視するなどして、事故や社外パーツ使用の履歴を確認する。これらの結果をもとに認定の可否を判断したあと、一般的な査定を行う。
作業は特別な教育を受けた認定テクニカルスタッフ2名によって行われる。認定のための作業時間はボディが20分で、メカニズムが1時間。通常の中古車の査定は約30分というから、3倍近い時間を要していることになる。高品質中古車であることを証明する認定証が発行されることも特徴だ。
■認定中古車専用の「アドバンスキット」
今回のニュースはもうひとつある。認定中古車専用のパッケージオプションとして、昨年12月に「アドバンスキット」が用意されたことだ。
GT-Rには2009年、ユーザー向けに「バージョンアップキット」という名前のパッケージオプションが期間限定で用意された実績がある。エンジン/トランスミッションマウント、サスペンションのスプリング/ダンパーなどが内容となっていた。2010年のバージョンアップキットでは、ナビのバージョンアップを実施している。
今回のアドバンスキットは、2007〜09年モデルの認定中古車に適用されるもので、2010年モデルのフロントサスペンションスプリング/ショックアブソーバー/トランスバースアームブッシュ、ブレーキホース/フルード、リア側エンジンマウント、フロント側トランスミッションマウントのほか、ボディサイドのウェザーストリップ、英国サッチャム基準に準拠したアラームシステムが含まれている。
つまりアップデートとリフレッシュを兼ねたメニューであることが分かる。価格は取り付け工賃別で39万9000円。高いと思う人がいるかもしれないが、パーツ単品で購入するとはるかに高価になるという。
■アドバンスキットの効果を実感
今回はアドバンスキットの効果を体感すべく、カーミナル東京の敷地内に用意された1周約400mのコースで、 未装着車と装着車を乗り比べることができた。認定中古車の購入希望者であれば、ここで比較ができるという。中古車専売店としては異例の施設だ。
非装着車を試したあと、装着車に乗り換えると、まずはドアの閉まり感が違う。ウェザーストリップ交換の効果は絶大だ。そして走り出すと、リニアなステアリングフィールとフラットな乗り心地に驚かされた。というのも、走行距離は未装着車が1万8000km、装着車が2万9000kmと、後者のほうが多かったからだ。短いコースでここまで違いが体感できるとは思わなかった。
当日は開発総責任者の水野和敏氏とテストドライバー鈴木利男氏によるトークセッションも実施され、最後は会場全体が拍手で包まれた。さらにGT-R関連の福袋や非売品抽選会なども行われた。
中古車専用のアップデートメニューを用意することは、新車を作って売ることが本業の自動車会社にとって、本当はやりたくない行為かもしれない。でもこのクルマのすばらしさを多くの人に知ってもらうためには、効果的なプランだと思う。GT-Rを本気でスーパーカーブランドとして育てようという日産の情熱が感じられた、聖地・村山でのイベントだった。
(文=森口将之)
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