ホンダ、次世代モビリティの実証実験計画を発表
2010.12.20 自動車ニュースホンダ、次世代モビリティの実証実験計画を発表
本田技研工業は2010年12月20日、埼玉県と共同で実施する次世代パーソナルモビリティを用いた実証実験の計画を発表。実証実験で使用する車両やソーラー充電ステーションを、埼玉県のホンダ和光ビルで公開した。
■「フィットEV」など4車種で
この実証実験は、2010年12月15日の米国カリフォルニア州トーランス市での開始発表に続くもので、日本では今回が初公開となる。国内では埼玉県のほか熊本県でも実施し、中国での展開も検討しているという。
実験に使われるのは、先月のロサンゼルスオートショーで発表された「フィットEV」と、同ショーで技術概要が公開されていた「インスパイア」のプラグインハイブリッドカー(PHV)、今月16日にリース販売が開始された電動2輪車「EV-neo」、2006年より販売している電動カート「モンパル ML200」の4車種となる。
さらにこの実験では、情報ネットワークサービス「インターナビ・プレミアムクラブ」の情報通信技術を活用することで、スマートフォンを使ったEVやPHVの充電スタンド検索やタイマー充電などもできる。ソーラーパネルはグループ会社のホンダソルテック製を採用し、1日で最大EV4台分の走行エネルギーを発電するという。
ホンダではこの実験を通して、次世代パーソナルモビリティの実用性や利便性、太陽光発電など再生可能エネルギーの活用効果、情報通信技術の活用による使い勝手や利便性を検証したいとしている。太陽光発電、電動車両、情報通信の3分野を自社で賄えるメリットを生かしたプロジェクトといえるだろう。
■環境の異なる3都市で実施
ホンダと埼玉県は2009年3月、「環境分野における協力に関する協定」を締結している。今回の実証実験はこれに基づくもので、さいたま市、熊谷市、秩父市という、異なる環境を持つ3都市で実施する。ちなみに埼玉県は今月、経済産業省が制定した「EV・PHVタウン構想」モデル地域に選定されている。
さいたま市では駅周辺を拠点としたEVと電動二輪車の共同利用、熊谷市では籠原駅を起点としたEVとPHVのパーク&ライド、秩父市ではモンパルによる高齢者移動機会の創出と、車種や目的も都市によって異なっている。
これとは別に埼玉県庁では、ソーラー水素ステーションを開設することで、燃料電池自動車「FCXクラリティ」を使用すべく、特区申請を行っているという。
この日は説明会の後、車両やソーラー充電ステーションが公開されただけでなく、伊東孝紳社長自らステアリングを握ってのフィットEVとインスパイアPHVのデモ走行も行われた。
ただし実験に使用する車両の導入台数はEV、PHVともに5台ずつであり、運用方法や課金の有無については各自治体で協議予定と、現時点では不確定な部分もある。
昨年EV・PHVタウン構想のモデル地域に選定された長崎県では、五島列島に「三菱i-MiEV」100台をレンタカーとして導入している。多くの人にEVやPHVの魅力を知ってもらうためには、数に勝るものはないのも事実である。
伊東社長就任後、それまでとは一転して電動化に突き進むするホンダがどれだけ追い上げを見せられるか、興味をもって見守りたい。
(文=森口将之)
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