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BMW CE 02(RWD)

街乗りフリースタイル 2024.02.28 試乗記 佐川 健太郎(ケニー佐川) BMWからスタイリッシュな新型電動バイク「CE 02」が登場。世界初公開以来、「こういうのが欲しかったんだよ!」というドンピシャなキャラクターで注目を集めているニューマシンは、期待どおりの実力を備えているのか? ポルトガル・リスボンで確かめた。
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フル充電で90km、軽やかに街を舞う

BMWモトラッドからおしゃれな電動バイクが登場した。CE 02の開発コンセプトは「eパルクーラー」。都会を舞台に、ビルからビルへ飛び移り、軽々と障害物を越えていくエクストリームスポーツの世界観をイメージしているとか。低く長い車体や小さなホイール、平たいベンチシートは、まるでキックボードのような雰囲気だ。二輪のEVというと電動自転車を思い浮かべる人も多いと思うが、これは別モノ。街を遊び場に変える自由でエキサイティングな乗り物なのだ。

BMWモトラッドはこれまでにも、いち早くEVを市販化してきた。2017年の「Cエボリューション」に続き、2022年には400ccクラスの「CE 04」を投入。そして3機種目となるCE 02は、日本の軽二輪(250cc)クラスに相当する定格出力6kW、最高出力11kW(15PS)のモデルである。リチウムイオンバッテリーからの電力でモーターを回し、ベルトドライブで後輪を駆動する仕組みで、最高速は95km/h、一充電走行距離はフル充電で約90kmと公表されている。BMWの調査では、従来の電動バイクユーザーの一日平均走行距離は、約10kmだとか。ということで、この走行距離は日常使いとして十分なレベルとの判断だ。

ちなみに欧州向けには、最高速が45km/hに制限されたAMライセンス用の4kW仕様も用意。国によっては14歳の若者でもCE 02に乗ることができる。

2023年7月に発表された「BMW CE 02」。その独創的なスタイルから、BMWは同車を「eモーターサイクルでもeスクーターでもない、新しい都市向け電動ビークル『eパルクーラー』」と表している。
2023年7月に発表された「BMW CE 02」。その独創的なスタイルから、BMWは同車を「eモーターサイクルでもeスクーターでもない、新しい都市向け電動ビークル『eパルクーラー』」と表している。拡大
「eパルクーラー」という製品コンセプトは、街や森などで自由にスタートとゴールを決め、走ったり跳んだり登ったりしてゴールを目指すフランス発祥のスポーツ「パルクール」に由来するものだ。
「eパルクーラー」という製品コンセプトは、街や森などで自由にスタートとゴールを決め、走ったり跳んだり登ったりしてゴールを目指すフランス発祥のスポーツ「パルクール」に由来するものだ。拡大
48Vの電動パワートレインは、モーター、バッテリーともに空冷式。11kWモデルのバッテリー容量は3.92kWhで、一充電走行距離は約90kmと公称されている(WMTCモード)。
48Vの電動パワートレインは、モーター、バッテリーともに空冷式。11kWモデルのバッテリー容量は3.92kWhで、一充電走行距離は約90kmと公称されている(WMTCモード)。拡大
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BMWらしさと遊び心あふれる機能

車体はスチール製フレームに倒立フロントフォークと片持ち式リアスイングアーム+モノショックを装備。ブレーキは前後シングルディスクブレーキで、14インチのキャストホイールにワイドサイズのタイヤを組み合わせる。ユニークな見た目に反してというか、その中身は比較的オーソドックスな構成といえるだろう。このあたりは、実用面や信頼性を考えての選択と思われる。

ライディングモードにはEVらしい遊び心を感じる呼び名がついている。スタンダードモデルのモードは2種類で、標準モードの「フロー(Flow)」は穏やかな出力特性で中程度のエネルギー回生がある街乗り向き、「サーフ(Surf)」はダイレクトな加速とエネルギー回生ゼロによる惰性走行が可能な高速走行向きのモードとなる。さらに上級版の「ハイライン」仕様には、出力特性が最もアグレッシブで回生も強力な「フラッシュ(Flash)」モードが追加される。

また、手元のスイッチを押しながらスロットルを回すとバックする便利なリバース機能も装備。そのほかにもフロントABSに加え、オートマチックスタビリティーコントロール(ASC)や回生スタビリティーコントロール(RSC)が後輪スリップを抑えてくれるなど、安全面も抜かりない。というように、機能面ではBMWらしい充実したものが与えられているのが特徴だ。

「CE 02」は、車両骨格にねじり剛性の高い鋼管製のダブルループフレームを採用。フロントにはφ37mmの倒立テレスコピックフォークを、リアには鋳造アルミ製の片持ちスイングアームとダイレクトピボット式のショックアブソーバーを組み合わせる。
「CE 02」は、車両骨格にねじり剛性の高い鋼管製のダブルループフレームを採用。フロントにはφ37mmの倒立テレスコピックフォークを、リアには鋳造アルミ製の片持ちスイングアームとダイレクトピボット式のショックアブソーバーを組み合わせる。拡大
計器類の役割を担う3.5インチのTFTディスプレイ。車速やバッテリー残量などの情報が表示される。
計器類の役割を担う3.5インチのTFTディスプレイ。車速やバッテリー残量などの情報が表示される。拡大
左のスイッチボックスには、モーターの力で車体を後退させるリバース機能のスイッチを配置。制御ひとつでモーターを逆回転させられる、電動バイクならではの便利機能だ。
左のスイッチボックスには、モーターの力で車体を後退させるリバース機能のスイッチを配置。制御ひとつでモーターを逆回転させられる、電動バイクならではの便利機能だ。拡大

電動モーターの魅力を実感

今回試乗したのはゴールドの倒立フォークや3色シート、グリップヒーターなどの装備が追加された上級バージョンのハイライン仕様だ。

ポップでおしゃれ感漂うCE 02は、最近よく街で見かけるようになった“電チャリ”と125ccのミニモトを融合したような、新感覚の乗り物である。またがってみると車体は実にコンパクト。足もとは前後ともに14インチの小径ホイールで、車重も132kgと原付二種のスクーター並みの軽さだ。シート高も750mmと低めで、足つきはべったり。おまけにリバース機能も付いているので駐車場での取り回しは楽々である。ライディングポジションはシートに真っすぐ腰を下ろし、幅広のハンドルバーに手を伸ばすリラックスしたものだが、気分によってリアステップに足を乗せれば、体が前傾してスポーツバイク風にも楽しめる。

さすがは電動モーター。スロットルをひねった瞬間からグイッと前に飛び出すトルク感がすごい。クラッチもギアチェンジもないので操作も簡単そのもの。しかも、加速が滑らかでシームレス。初速はまさにガソリン車以上だ。ゼロ発進から最大トルクが出るので上り坂も得意。エンジンバイクのようにエンストの心配もないので、Uターンも気が楽だ。制御系の進化も目覚ましい。特に極低速でもスロットル操作だけで“半クラ”並みに速度を微調整できるのには感心した。

サスペンションもしっかりしていて、路面の凹凸をきれいに吸収。リスボンの石畳でも「ミシュラン・シティーグリップ」が安心感のあるグリップを発揮してくれた。ちなみにABSはフロントブレーキのみだが、利きは自然でスポーティーな走りも楽しめる。逆にリアブレーキはABSがないので、軽い車体も相まって、その気になればブレーキターンも簡単にできちゃうなど、遊び心を満たしてくれる。

コンパクトで軽量な車体とトルクフルなモーターの特性で、走りは軽快そのもの。ギアチェンジの手間もなければ、エンストの心配もない。
コンパクトで軽量な車体とトルクフルなモーターの特性で、走りは軽快そのもの。ギアチェンジの手間もなければ、エンストの心配もない。拡大
フラットなシートの形状はスケートボードをモチーフにしたとのこと。シート高は全車共通で750mmとなっており、オプションでコンフォートシート(写真)も用意されている。
フラットなシートの形状はスケートボードをモチーフにしたとのこと。シート高は全車共通で750mmとなっており、オプションでコンフォートシート(写真)も用意されている。拡大
タイヤサイズは、前が120/80-14、後ろが150/70-14。試乗車にはミシュランのスクーター/コミューター用タイヤが装着されていた。
タイヤサイズは、前が120/80-14、後ろが150/70-14。試乗車にはミシュランのスクーター/コミューター用タイヤが装着されていた。拡大
気分が乗ってきたら、リアステップに足を乗せて前のめりに「CE 02」を走らせてもいい。実際、0-50km/h加速は3秒と実は俊足なのだ。
気分が乗ってきたら、リアステップに足を乗せて前のめりに「CE 02」を走らせてもいい。実際、0-50km/h加速は3秒と実は俊足なのだ。拡大
充電口は車体の左側に装備。充電に要する時間は0.9kW充電器で312分、1.5kW充電器で210分(25℃)……と公称されているが、電気事情が異なる日本に導入される場合、このあたりの数値がどうなるのかが気になる。
充電口は車体の左側に装備。充電に要する時間は0.9kW充電器で312分、1.5kW充電器で210分(25℃)……と公称されているが、電気事情が異なる日本に導入される場合、このあたりの数値がどうなるのかが気になる。拡大
BMWモトラッドでは、電動バイクの管理やツーリングに便利なスマートフォン向けのアプリも用意。「ハイライン」仕様ならクレードルに装着したスマートフォンを、バイク側のスイッチで操作することもできる。
BMWモトラッドでは、電動バイクの管理やツーリングに便利なスマートフォン向けのアプリも用意。「ハイライン」仕様ならクレードルに装着したスマートフォンを、バイク側のスイッチで操作することもできる。拡大
日本語の公式サイトも開設され、さまざまな情報が発信されている「BMW CE 02」。日本の公道で走る姿を見る日が楽しみだ。
日本語の公式サイトも開設され、さまざまな情報が発信されている「BMW CE 02」。日本の公道で走る姿を見る日が楽しみだ。拡大

景色を楽しみ風のように走る

郊外まで足を延ばして幹線道路も走ってみた。サーフモードではスロットルオフしてもブレーキ回生が働かず、慣性走行で滑らかに走るのが気持ちいい。スロットルを開けても振動や熱もなく、音も静かで風のように走る。環境負荷への心のありようか、街の風景がいつもより鮮明に美しく見えるのは気のせいか。つかの間のクルージングを快適に楽しめたのは、オプションのハイスクリーンと20mm肉厚なコンフォートシートのおかげもある。じんわりと温かいグリップヒーターも薄手のグローブにはありがたかった。これらのアクセサリー装備があれば、週末のワンデーツーリングも十分に楽しめそうだ。EVならではの快適性とバイクらしいアクセントが絶妙に調和しているのがCE 02の魅力だとあらためて感じたのだった。

試乗では、坂の多いリスボンの街なかを緩急つけながら約60km走ったが、メーター表示では充電残量20%でまだ20km走れる余裕があった。チャージに関しては、フル充電までに要する時間は通常の0.9kW充電器で5時間12分。1.5kW急速充電器だと3時間30分まで短縮できる。実感としてバッテリーの持ちは悪くないし、街なかでの使い勝手のよさも抜群。デザイン、機能性、走りのよさと、あらゆる面でBMWらしさが光っていた。日本での発売が楽しみである。

(文=ケニー佐川/写真=BMWモトラッド、ケニー佐川/編集=堀田剛資)

BMW CE 02
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「BMW CE 02」と筆者。
「BMW CE 02」と筆者。拡大

【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=1970×876×1140mm
ホイールベース:1353mm
シート高:750mm
重量:132kg
モーター:交流同期電動機
最高出力:15PS(11kW)/5000rpm
最大トルク:55N・m(5.6kgf・m)/0-1000rpm
トランスミッション:--
一充電走行距離:90km(WMTCモード)
交流電力量消費率:6.0kWh/100km(WMTCモード)
価格:--円

佐川 健太郎(ケニー佐川)

佐川 健太郎(ケニー佐川)

モーターサイクルジャーナリスト。広告出版会社、雑誌編集者を経て現在は二輪専門誌やウェブメディアで活躍。そのかたわら、ライディングスクールの講師を務めるなど安全運転普及にも注力する。国内外でのニューモデル試乗のほか、メーカーやディーラーのアドバイザーとしても活動中。(株)モト・マニアックス代表。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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