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「レクサスLM」に3列シートモデルが登場! 「アルファード/ヴェルファイア」とはどこが違うのか

2024.05.22 デイリーコラム 工藤 貴宏
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同じ3列シート車でも600万円以上も違う

「レクサスLM」に新しいグレードが追加された。“バージョンL”と呼ばれる新グレードの注目点はシートレイアウトが3列となっていることだ。先行して販売されていた“エグゼクティブ”は2列シートだったから、そもそもシート配置が異なる。ちなみに“バージョンL”の価格は1500万円で、“エグゼクティブ”に比べると500万円(コンパクトカーのベーシックグレードが3台買える!)も安い。なんとお買い得な……!

でもLMに対して「お買い得」なんて言うと、聡明(そうめい)な読者諸兄からはおしかりの声が届くに違いない。お買い得感でいったら、トヨタの「アルファード」と「ヴェルファイア」のほうがよっぽどじゃないか!と。

ご存じのようにLMとアルファード/ヴェルファイア(以下、アルヴェル)はプラットフォームやフロアだけでなくアッパーボディーまで含めて基本骨格を共用する“兄弟”であり、ぶっちゃけLMとアルヴェルの最上級グレードは近い存在だ。だけど1500万円のプライスタグを掲げるLMの3列シートモデルに対し、アルヴェルの最上級グレード「エグゼクティブラウンジ」の4WDモデルはアルファードが872万円、ヴェルファイアが892万円と“大幅に”価格が安いのである。

いったいどこに600万円以上の違いがあるというのだろうか?

「レクサスLM“バージョンL”」は3列・6人乗りのシートレイアウトを備えた高級ミニバンだ。価格は1500万円で、先に発売された2列・4人乗りの“エグゼクティブ”よりも500万円安い。
「レクサスLM“バージョンL”」は3列・6人乗りのシートレイアウトを備えた高級ミニバンだ。価格は1500万円で、先に発売された2列・4人乗りの“エグゼクティブ”よりも500万円安い。拡大
トヨタの「アルファード」(写真)と「ヴェルファイア」は2023年にフルモデルチェンジ。高級感、ドライバビリティーとも先代モデルから大幅にレベルアップしている。
トヨタの「アルファード」(写真)と「ヴェルファイア」は2023年にフルモデルチェンジ。高級感、ドライバビリティーとも先代モデルから大幅にレベルアップしている。拡大
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見えないところが結構違う

分かりやすい違いといえば、見た目とパワートレインである。

見た目は好み次第だが、外板パネルがすべて異なるし、ボディーサイズもLMのほうが少しだけ大きい。

パワートレインはどちらもハイブリッドだが、LMのパワートレインが2.4リッターターボエンジンに6段ATを組み合わせた“パワー型”なのに対し、アルファードは2.5リッター自然吸気エンジン+電気式無段変速機の“燃費型”。「クラウン」でいえばスポーツグレードの「RS」に相当するパワフルなV6エンジン置き換えユニットを積むのがLMで、アルヴェルは「Z」などの“RS以外”が採用する“普通”のハイブリッドシステムである。

もちろんインテリアの仕立てにも差があり、ダッシュボードは別設計だし、シート表皮もLMの2列目が「Lアニリンレザー」なのに対してアルヴェルは「プレミアムナッパ本革」。オーディオはLMが「マークレビンソン」に対し、アルヴェルは「JBL」とブランドが異なる。

目に見えない部分ではあるが、LMはスポット溶接点の数を増していることなどから車体剛性も違う。ドライバビリティーも“アルヴェルより上”となっているのだ。

「レクサスLM」のパワートレインは2.4リッター4気筒ターボエンジンをベースとしたハイブリッドのみの設定。リアを独立したモーターで駆動する4WDで、システム最高出力371PSを発生する。
「レクサスLM」のパワートレインは2.4リッター4気筒ターボエンジンをベースとしたハイブリッドのみの設定。リアを独立したモーターで駆動する4WDで、システム最高出力371PSを発生する。拡大
「アルファード」「ヴェルファイア」とも最上級の「エグゼクティブラウンジ」のパワートレインは2.5リッターのシリーズパラレルハイブリッド(いわゆるトヨタ式ハイブリッド)。システム最高出力は250PSで、FFと4WDが選べる。
「アルファード」「ヴェルファイア」とも最上級の「エグゼクティブラウンジ」のパワートレインは2.5リッターのシリーズパラレルハイブリッド(いわゆるトヨタ式ハイブリッド)。システム最高出力は250PSで、FFと4WDが選べる。拡大

つまりはお金の問題じゃない

「結構違うね」「アルヴェルで十分では?」「あんまり変わらないのに、価格差ありすぎじゃない?」

いろんな意見があるだろう。

正直に言えば筆者も「価格の割には違いが少ない」と思わなくはない。言葉を選ばなければ「やっぱり高いなLM」「『ヴォクシー』の最上級グレードが1.5台買えるほどの差はないだろう」である。というかLMじゃなくてもアルファードの最上級グレードで十分ではないかと強く強く思う。

ただ、ひとつだけ確実に言えることもある。

それは「アルヴェルに比べて値段が高い、アルヴェルのほうがお買い得」などと考える人は、そもそもLMのターゲット層には入っていないということだ(筆者も含めて……)。こういうのは「どうせ買うならトヨタよりレクサス。価格のことなんて一切気にしない」という富裕層に向けた商品企画であり、商品と価格を比較したうえで悩むような人なんてハナから相手にしていないのだから。

「LM“バージョンL”」の特等席である2列目シートには特性の異なる2種類の衝撃吸収材が使われている。表皮はレクサスでは最上級の「Lアニリン」で、もちろんオットマンやヒーター/ベンチレーション機能などを完備。
「LM“バージョンL”」の特等席である2列目シートには特性の異なる2種類の衝撃吸収材が使われている。表皮はレクサスでは最上級の「Lアニリン」で、もちろんオットマンやヒーター/ベンチレーション機能などを完備。拡大
「アルファード エグゼクティブラウンジ」の2列目シート。こちらも900万円近い最上級グレードだけにオットマンやヒーター/ベンチレーションなどが備わっているが、表皮はプレミアムナッパ本革(十分に高級だが)。
「アルファード エグゼクティブラウンジ」の2列目シート。こちらも900万円近い最上級グレードだけにオットマンやヒーター/ベンチレーションなどが備わっているが、表皮はプレミアムナッパ本革(十分に高級だが)。拡大

比較なんてしない人に向けた商品

「そんな殿様商売!」と思うかもしれないが、従来世代からLMを売っている中国や東南アジアには現地価格1000万どころか1500万円(関税の影響で日本より高い!)を超えるようなアルファードの顧客がたくさんいて、彼らはLMへどんどん買い替えている。「どうせ買うなら高いほう。アルファードより上があるなら、それを買う。価格なんて気にしない」という富裕層がターゲットであり、そもそもLMはそういう人たちの求めに応じるかたちで生まれたクルマなのだ。そこがアルヴェルとの根本的な違いである。

LMは「比較なんてしない。どうせ買うなら高いブランド」と何の迷いもなく判断できる人のためのクルマであり、そう思えない人には無縁。それが答えなのだ。

クルマに限らずハイブランドとはそういうものだし、それを理解しないとレクサスLMというクルマの立ち位置を見誤ることになるだろう。

レクサスはこのところ1000万円オーバーのクルマを連発している。それは北米でのスタートから35年を経てブランドの価値が確立され、やっとその領域までたどり着いたことの証しといえるのではないだろうか。

大切なので最後にもう一度繰り返すが、レクサスLMは「アルファードがベースなのに1500万円はないだろう」と言うような人はそもそも対象としていないクルマなのだ(繰り返すが筆者も含む)。

(文=工藤貴宏/写真=トヨタ自動車/編集=藤沢 勝)

「LM“バージョンL”」は6人乗りのため3列目が2人掛け。運転席/助手席と同じセミアニリン本革が張られている。
「LM“バージョンL”」は6人乗りのため3列目が2人掛け。運転席/助手席と同じセミアニリン本革が張られている。拡大
現行の「アルファード/ヴェルファイア」は7人乗りのみの設定(今後8人乗りも出るらしい)で、3列目は3人掛けだ。
現行の「アルファード/ヴェルファイア」は7人乗りのみの設定(今後8人乗りも出るらしい)で、3列目は3人掛けだ。拡大
工藤 貴宏

工藤 貴宏

物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。

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