インディアン・チーフテン パワープラス ダークホース ウィズ112パッケージ(6MT)
豪快の極み 2025.05.11 JAIA輸入二輪車試乗会2025 排気量1834ccの「パワープラス」エンジンを搭載した、「インディアン・チーフテン パワープラス ダークホース」に試乗! アメリカのモーターカルチャーに精通したライターの後藤 武が、豪快極まるビッグクルーザーの魅力をリポートする。二輪界のアメリカンマッスルカー
やっぱりアメリカのバイクはこうじゃなきゃいかんと、チーフテン パワープラスに乗って思った。これぞ二輪版アメリカンマッスルという感じ。なんたって水冷の「パワープラス」エンジンが素晴らしい。2000rpmも回っていれば十分。そこからスロットルを開ければ、最大181.4N・mという鬼トルクでぶっ飛んでいく。引っ張れば1834ccの大排気量ながら6000rpmまできれいに伸びていく。とってもパワフルでスポーティー。アメリカンマッスル好きなテスター、ゴトーは、スロットルを開けるたびにドキドキ・ワクワクしてしまったほどである。
しかも、これで終わりではない。モードセレクターを「スポーツ」にすると、さらに過激になる。レスポンスもパワー感も激変。低回転でスロットルを開けるとドンツキ(スロットルを開けると突然パワーが出る)気味になるから、低速で走っているときは使いにくいほどだ。でもモード切り替えでは、これくらい豹変(ひょうへん)したほうが面白いと個人的には思う。嫌だったらスポーツモードを使わなければいいだけのことである。逆に「レイン」モードにすると、借りてきたネコ状態。
ビッグツインのパルスは強めだけれど、硬質な感じではないので走っていて心地よい。トップギアだと車速70km/hでエンジン回転は1500 rpmくらいだから、普通に流しているときはその鼓動感を存分に楽しめる。撮影部隊を置き去りにして狭い試乗会場を飛び出し、海岸沿いの西湘バイパスを流したいという衝動をおさえるのに、必死になってしまったほどである。
ハンドリングはビッグバイクらしく安定感が強めだけれど、基本的にはすごく素直でセルフステア(バンクさせたときにフロントタイヤが内側に切れていくこと)も自然だから、とても乗りやすい。バンク角はそんなに深いわけじゃないけど、コーナリングを楽しむくらいだったら十分。ただし、タイトなコーナーの切り返しはヨッコイショと声が出てしまうくらい重い。
フロントブレーキは利きが甘くて、ハードにブレーキングするときは思いっきりレバーを握らないといけなかった。フロントキャリパーはブレンボなのだが……新車でアタリが出ていないんじゃ? と一瞬思ったが、そんなレベルではないので、レバー比の関係かもしれない。でもそんなことは、四輪のアメ車好きなゴトーにとっては気にもならない。こんだけトルクがあるんだからいいじゃんと思えてしまう。細かいことなどどうでもよくなってしまうような、豪快なバイクであった。
(文=後藤 武/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2503×1066×1237mm
ホイールベース:1668mm
シート高:672mm
重量:366kg(燃料非搭載時)/382kg(燃料搭載時)
エンジン:1834cc 水冷4ストロークV型2気筒SOHC 4バルブ(1気筒あたり)
最高出力:126HP(94kW)/5500rpm
最大トルク:181.4N・m(18.5kgf・m)/3800rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:--km/リッター
価格:453万円
◇◆JAIA輸入二輪車試乗会2025◆◇
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後藤 武
ライター/エディター。航空誌『シュナイダー』や二輪専門誌『CLUBMAN』『2ストマガジン』などの編集長を経てフリーランスに。エアロバティックスパイロットだった経験を生かしてエアレースの解説なども担当。二輪旧車、V8、複葉機をこよなく愛す。
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