ロイヤルエンフィールド・ベア650(6MT)
脱力系の魅力 2025.05.30 JAIA輸入二輪車試乗会2025 インドの老舗、ロイヤルエンフィールドが世に問うた新型スクランブラー「ベア650」。スペック的には尖(とが)ったところのない一台だが、このマシンが日本でも注目を集めている理由はなにか? どこか懐かしくもある、“普通のバイク”ならではの魅力に触れた。自然体で楽しめる
ロイヤルエンフィールドのマシンって、どれを見ても、とっても普通のバイクである。「昔、こういうバイクってなかったっけ?」と思ってしまうのだけれど、それが今人気になっているのは、現代の道路事情やライダーの求めるフィーリングにマッチしているからなのだろう。
今回試乗したベア650は、2000rpmから4000rpmの鼓動感とトルクが実に気持ちいい。ストリートなら自由自在に加速してくれるし、スポーティーに走ることもできる特性だ。高回転まで簡単に回ってしまうけれど、7000rpmくらいで唐突にリミッターが作動してあまり気分がよくないので、中速域を重視して走っていたほうが楽しい。ちなみに、スロットルは開け始めが若干ドンツキ(唐突にパワーが出る)気味。排気量が650ccなので扱いにくいというほどではないが、このくらいの開度は穏やかな設定にしているバイクが多いので、ちょっと気になった。
ハンドリングはフロント19インチらしく、ステアリングに入力してやると素直にバンクしていく。安定感がかなり強めの設定だ。17インチのスポーツバイクから乗り換えたら「曲がらねえ」と面食らうかもしれないが、“立ち”が強いのではなくジワッとバンクしていくだけのこと。慣れたらフロントの絶大な安心感とともに楽しく走ることができるだろう。
乗っていて違和感があったのはシートの真ん中、ちょうど座る部分がへこんでいること。加えてシートが前下がりになっているから、股間がかなり窮屈な感じがする。足つきを考慮してのことかもしれないが、もしオーナーになって気になるようなら、カスタムシートなどに変更すればいいだろう。
デュアルパーパスタイヤやゼッケンプレート、アメリカのオープンエリアとして知られているビッグベア(Big Bear)から取ったネーミングなど、イメージ的にはスクランブラーなのだが、つくりは若干、中途半端な感じもする。でも、それこそがベア650の個性。マジで走るのでなければ、どんな楽しみ方もできるということなのである。そんな脱力系な雰囲気が、このバイクの一番の魅力なのかもしれない。
(文=後藤 武/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2216×855×1160mm
ホイールベース:1460mm
シート高:830mm
重量:214kg
エンジン:648cc 空油冷4ストローク直列2気筒SOHC 4バルブ(1気筒あたり)
最高出力:47PS(34.9kW)/7150rpm
最大トルク:56.5N・m(5.8kgf・m)/5150rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:--km/リッター
価格:99万円~101万5300円
◇◆JAIA輸入二輪車試乗会2025◆◇
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後藤 武
ライター/エディター。航空誌『シュナイダー』や二輪専門誌『CLUBMAN』『2ストマガジン』などの編集長を経てフリーランスに。エアロバティックスパイロットだった経験を生かしてエアレースの解説なども担当。二輪旧車、V8、複葉機をこよなく愛す。
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