インディアン・スーパーチーフ ダークホース(6MT)
ミルウォーキーとは違うのだよ 2025.05.09 JAIA輸入二輪車試乗会2025 アメリカの老舗インディアンモーターサイクルがリリースする、クラシックな大型クルーザー「スーパーチーフ」。車重335kgのビッグボディーながら、軽快でコーナーも苦にしないその走りは、ミルウォーキーのライバルとは一味も二味も違うものだった。ほかと比べて買うようなバイクじゃない
やっぱ予断はいかんよなー、と思わせてくれたのは、「インディアン・スーパーチーフ ダークホース」という長い名前のバイクである。車重が335kgもあって、排気量が1890ccもあって、さらに価格が328万円から! そりゃもう、いろいろがズシーンと重ったる……もとい、ヘビーなんだろうね! と思い込んでいざまたがって走らせてみたら、あれれ意外。引き起こしやすいじゃん、足つきいいじゃん、発進楽チンじゃん。
おおまか5種あるインディアンのラインナップだが、スーパーチーフはクルーザーファミリーの「チーフ」にカテゴライズされている。クルーザーとしてごくオーソドックスないでたちのスーパーチーフは、真っ黒なエンジン/マフラーと左右のリアバッグ、大きなウインドシールなどが備わったモデル。兄弟車の「スーパーチーフ リミテッド」とはカラーリングにのみ差異がある。
ワササササッ! とウエットともドライともいえるような独特のフィーリングで回転上昇する搭載エンジンは、「サンダーストローク116」と呼ばれる空冷Vツインだ。ボア×ストロークが103.2×113mmというロングなもので、これがたまらなく気持ちいい。味が濃いのに粗野じゃない? むちゃくちゃコワモテなのに常に笑顔を絶やさないナイスガイ? 極められた扱いやすさとロングストロークエンジンだけが持つ“ここでしか食べられない味”は、インディアンであればこそだろう。
JAIA試乗会、インサイドのテストコース。わりとタイトな間隔でレイアウトしてある連続パイロンを抜けるとき、1速ではちょっとローギアードで2速だとわずかにハイギアードという状況があった。でもいっぽうで、こんなにタイトなターンが左右に連続する道なんて、日常ほとんどないのも事実。インディアンは、もっと太くて真っすぐな道を往(ゆ)けばいい。ま、コーナリングも実はかなり得意なんだけどね。
クルーザーモデルとしてのクラシカルさ、シンプルさを旨としつつ快適さをプラスした立ち位置は、ぶっちゃけハーレーダビッドソンの「ヘリテイジ クラシック」と同じラインだが、中身の味つけは全然違う。国内外問わず、インディアンを求めるお客さんの多くはハーレーと比べて購入したりはしないそうだ。なにかにつけ比較しちゃうのは、われわれ二輪ギョーカイまわりの人間だけなんだろうな。
(文=宮崎正行/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2286×1080×1203mm
ホイールベース:1626mm
シート高:665mm
重量:335kg
エンジン:1890cc 空冷4ストロークV型2気筒OHV 2バルブ(1気筒あたり)
最高出力:--PS(--kW)/--rpm
最大トルク:156N・m(15.9kgf・m)/3300rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:--km/リッター
価格:328万円
◇◆JAIA輸入二輪車試乗会2025◆◇
【トップページへ戻る】
【前】モト・グッツィ・ステルビオ(6MT)
【後】インディアン・チーフテン パワープラス ダークホース ウィズ112パッケージ(6MT)

宮崎 正行
1971年生まれのライター/エディター。『MOTO NAVI』『NAVI CARS』『BICYCLE NAVI』編集部を経てフリーランスに。いろんな国のいろんな娘とお付き合いしたくて2〜3年に1回のペースでクルマを乗り換えるも、バイクはなぜかずーっと同じ空冷4発ナナハンと単気筒250に乗り続ける。本音を言えば雑誌は原稿を書くよりも編集する方が好き。あとシングルスピードの自転車とスティールパンと大盛りが好き。
-
BMW S1000RR(6MT) 2025.6.6 リッタークラスの4気筒エンジンに、ウイングレット付きのカウルを備えた「BMW S1000RR」に試乗。そのパフォーマンスは意外やストリートでも楽しめるものだったが、走っていると、やっぱりサーキットの景色が頭に浮かんでしまうのだった。
-
トライアンフ・スピードツイン1200RS(6MT) 2025.6.1 排気量1.2リッターの、巨大なパラツインエンジンを搭載した「トライアンフ・スピードツイン1200RS」。どう猛さとジェントルさを併せ持つブリティッシュロードスターは、ストリートを楽しむバイクの最適解ともいえる一台に仕上がっていた。
-
ロイヤルエンフィールド・ベア650(6MT) 2025.5.30 インドの老舗、ロイヤルエンフィールドが世に問うた新型スクランブラー「ベア650」。スペック的には尖(とが)ったところのない一台だが、このマシンが日本でも注目を集めている理由はなにか? どこか懐かしくもある、“普通のバイク”ならではの魅力に触れた。
-
ドゥカティ・スクランブラー ナイトシフト(6MT) 2025.5.25 人気の「ドゥカティ・スクランブラー」シリーズから、カフェレーサースタイルの「ナイトシフト」に試乗。伝統のLツインエンジンを搭載した軽快なロードスポーツは、どんなシーンでも乗りやすく、それでいてドゥカティらしいスポーツ性も備えたマシンだった。
-
ドゥカティ・ハイパーモタード698モノ(6MT) 2025.5.23 超軽量な車体をパワフルなエンジンで振り回す「ドゥカティ・ハイパーモタード」。その最新モデルが「ハイパーモタード698モノ」だ。車重はわずかに151kg! それを77.5PSの単気筒エンジンで駆るだいご味をリポートする。
-
NEW
レクサスLFAコンセプト
2025.12.5画像・写真トヨタ自動車が、BEVスポーツカーの新たなコンセプトモデル「レクサスLFAコンセプト」を世界初公開。2025年12月5日に開催された発表会での、展示車両の姿を写真で紹介する。 -
NEW
トヨタGR GT/GR GT3
2025.12.5画像・写真2025年12月5日、TOYOTA GAZOO Racingが開発を進める新型スーパースポーツモデル「GR GT」と、同モデルをベースとする競技用マシン「GR GT3」が世界初公開された。発表会場における展示車両の外装・内装を写真で紹介する。 -
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。








